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車輪を再発明するという発想

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どうする? 日本企業
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イノベーションとリ・インベンション(再発明)の境界は曖昧になってきていると思います。iPhoneを技術の視点で見れば、はたしてイノベーションだったのかを疑問視し、リ・インベンション(再発明)ではなかったのかとする人もいますが、人々のモバイル空間での「できること」を塗り替えたことは疑問の余地がありません。

ご紹介したい本があります。『どうする 日本企業』です。筆者は神戸大学大学院経営研究科の三品教授。これまでも、日本の上場企業がオイルショックのあたりから、売上は伸ばしてきたけれど営業利益は下がり続けてきたことをデータで示し、日本の企業が取り戻さないといけないのは経営戦略だとした『戦略不全の論理』などの優れた研究がありますが、今回の『どうする 日本企業』は非常に読みやすいのでお勧めします。

発想の転換が必要だということは誰もが感じていることだと思いますが、残念ながら私たちは思い込みの世界の住人であり、発想を転換するためには、これまで常識として当たり前のように思われていたことに疑問を投げかけ、問うてみることが必要になってきます。

第二章「本当にイノベーションですか」では、セイコーのクオーツの成功とその後の凋落を取り上げ、マーケティングなきイノベーションの辿った道について書かれています。

第三章「本当に品質ですか」では、ヤマハは世界では後発にもかかわらず、それまでは工芸品だったピアノの大量生産方式を完成させ世界を席巻しました。しかし、それも長続きせず、新興国に市場を奪われていきます。半導体や、携帯、液晶テレビとまったく同じです。

第四章「本当に滲み出しですか」では、多角化経営、総合の罠を鉄鋼業を例にして示され、また技術過信が生んだ悲劇も語られています。

第五章「本当に新興国ですか」では、新興国市場を考える場合に想定しておかなければならない諸問題が取り上げられています。

一貫して主張されているのは多くの企業が、あるいは日本そのものが唱えている「成長戦略」の危うさです。実際には「成長戦略」はことごとく失敗してきたわけですが、重要なことは、次の視点です。
成長は結果として実現するもので、目標は、「事業活動を通して世の中にもたらす変化」という言葉で語るべきです。
しかし、いま語られている多くのイノベーションの危うさは、それが技術革新と理解されてしまっていることです。とくに日本が得意とする素材や部品、また産業機械の技術イノベーションは、新興国がカネで買えるもので、それらを輸出することは、新興国の競争力を高め、やがて日本が最終製品での競争力を失う原因になっていることにはやく気づくべきなのです。

イノベーションが誤解されたままの日本では、むしろ、車輪を新しい視点で見直し、再発明し、世の中を変えていく志、それが結果としては技術シーズの寄せ集めだとしても「車輪を再発明する」リ・インベンションではないかという筆者の主張は共感できます。

そしてそういった強い志は、結びの言葉にあるように「個人が持つもの、卓越した個人の心の叫びに従うもの」であり、スティーブ・ジョブスがそのことを示してくれました。アゴラで、ジョブスをオーケストラの指揮者に例えましたが、三品教授は、日本は柔らかな発想力と強い志をもった経営の指揮官を育てることを提唱されていますが、重要な視点だと思います。

イノベーションの指揮者としてのスティーブ・ジョブス : アゴラ - ライブドアブログ :頭を切り替え、発想を変えよう、あるいは自らが変わって行こう、また志にしたがってビジネスを変える人材を育てることが、日本の元気を取り戻すもっとも重要な鍵だと思います。

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