軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで、大学生など15人が死亡したスキーバス転落事故から、今日15日で4年がたちました。現場に建てられた「祈りの碑」には、昨日今日と、犠牲になった大学の関係者、遺族、地元の住民などが、たくさんの花を手向けている、とニュースが流れています。
4年前の朝、比較的碓氷バイパスに近い我が家で、朝早くからヘリコプターの音に目覚めたのを思い出します。安全第一を無視した貸し切りバスツアーの問題が多く指摘され、国交省は、貸し切りバス事業の許可に更新制を導入するなど85項目の対策を策定しました。
しかし、各地で実施しているバス事業者への巡回指導は、まだ全国的には十分な態勢が整っていません。また、国の基準の下限運賃を下回る「実質上限割れ」の可能性がある事例が、全国18事業所でみつかったことが、国交省の調査でわかった、ということです。
再発防止策で、国交省は昨年夏に、バス業者と旅行業者が交わす運送引受所書に手数料の記載を義務化しました。しかし、実際の運賃や手数料の金額などをいじって整えることはいくらでもやりようがある、といわれ、安全軽視の低い運賃の問題は、抜け道が指摘されていて、さらに改善が必要なようです。
長野県バス協会によると、県内のバス業界では下限運賃ぎりぎりの取引額を旅行会社が設定し、バス業者が旅行業者に払う手数料の多さで仕事を取り合う競争が続いている、ということです。旅行業者への手数料を増やせば、安全コストが削られる恐れがあります。
安全に配慮するバス会社ほど損をする構造、というのを改善しなしなければ、またいつ事故が起こるかわからないと思います。県バス協会では、「国が示す下限運賃を上げ、安全コストの確保を検討すべきだ」と求めています。また、運輸業界の人手不足などから、警察庁がバスやタクシーなど第二種運転免許の受験資格を緩和する方針を示しましたが、安全面から「非常に安易」と批判されています。
スキーバス転落事故については、民事訴訟が続いていて、業務上過失致死傷で書類送検されたバス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の社長などの刑事責任についての長野地検の捜査は大詰めの段階、ということで、遺族は起訴を願っています。多くの学生の将来を奪ったバス事故を風化させることなく、二度と事故が起きないよう、実効性のある対応が強く望まれています。



