来年中の改憲、見通し立たず 野党対決姿勢、解散で状況変化も(時事通信)
憲法改正をめぐる与野党攻防が越年する。自民党は来年中に改憲原案の国会発議への道を開きたい考えだが、「安倍改憲」に反対する主要野党の姿勢に変化はない。首相主催「桜を見る会」の問題やカジノ事業に絡む政界汚職事件の広がりによっては政権の足元がぐらつく上、衆院解散の可能性も取り沙汰されており、改憲実現の見通しは立っていない。
◇会期延長は困難
「必ずや私自身の手で成し遂げたい。任期が約2年あるから、その決意で臨む」。安倍晋三首相は13日の講演で改憲に関し、自らの2021年9月末までの自民党総裁任期を念頭にこう強調した。
10年ばかり前まで、日本は首相がコロコロ変わるから諸外国と違ってトップの顔が分からない、などとも言われたものです。実際のところ小泉純一郎退任後は短期で椅子を投げ出す総理大臣が相次いだわけですが、それがどうして戦後最長の在職記録を更新する首相が現れたのですから、世の中は何が起こるか分かりません。とりあえず安倍晋三だけは、見事に再チャレンジで成功を収めたようです。
さて安倍首相が改憲に言及するのは毎年の恒例ではあります。ただ、戦後最長の在職期間を更新中の首相の発言としてはどうなのでしょうか。なにしろ、戦後の誰よりも長い期間を与えられた総理大臣なのです。他の人よりも短い期間で結果を出せと要求するのは酷なことですが、他の人よりも時間的猶予があった割には、前に進んでいない印象は拭えません。
まぁ、安倍首相の良いところは「実行力がないところ」だと思っています。もし安倍晋三に菅直人や野田佳彦のような実行力が備わっていたら、事態は今よりもずっと悪いことになっていたことでしょう。実行力に乏しく、世論の反発に日和る安倍晋三だからこそ、前任者ほどには酷い政策に突き進むことがなかった、相対的にはマシだったと考えられます。
もう一つ安倍首相の良いところを挙げれば「経済政策に芯がないところ」ですね。総じて悪い方向に突き抜けていた前任者達に比べれば安倍晋三の経済政策は支離滅裂で、自殺的な政策もあればマトモな政策もある、橋本龍太郎以来の崖を駆け下りるような路線から、一歩進んで一歩下がるような方向へと転換が図られたのは、やはり相対的には良かったと評価できます。
「安倍政治は白鵬の相撲に似ている」と、野田元首相は述べました。戦後最長の在職期間を誇る首相と、数々の歴代最高記録を持つ白鵬、釣り合いが取れているかは分かりませんけれど「ライバル不在」という意味では良い喩えなのかも知れないと思います。白鵬の強さもさることながら、朝青龍追放以来は壁になる相手がいないのと同じように、安倍晋三もまた強敵がいない、と。
私の住む自治体では、自由民主党系の会派と、旧民主党系の会派が相乗りで首長を支え、大連立政権を構成しています。一方国政では立憲民主党と国民民主党が統一に向けた協議を進めているようです。ただ自由を除いた民主党がより集まっても白鵬に敵うかどうかは疑わしいところ、むしろ心配なのは自民党内の跡目争いの方でしょうか。実行力がある、芯がある人が出てくれば良いかと言えば、そうでもありませんので。