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「いきなり!ステーキ」いきなり失速 “目標1000店舗”はなぜ失敗したのか - 森岡 英樹

「出退店のサイクルが速い外食産業のなかでも、特にジェットコースター経営で、ついていくのに苦労する」

 メガバンク幹部がそうこぼすのは、立ち食い店「いきなり!ステーキ」のこと。わずか6年で全都道府県に500店まで増やしたが、44店を閉店する予定だ。急成長に“いきなりブレーキ”がかかり、財務的にも厳しい状況に陥っている。


一瀬邦夫社長 ©共同通信社

 運営元のペッパーフードサービスは昨年12月27日に、第三者割り当てによる新株予約権を発行すると発表した。

「69億円を調達して、新規出店で膨らんだ借入金の返済に48億円、そのほかにテレビCMなど広告宣伝費に13億円をあてる予定です。ただ、いくら調達できるかは株価に応じて変化するため、目論見通りに資金を集められるのか、予断を許さない」(メガバンク関係者)

 また、同日、みずほ銀行や三菱UFJ銀行など6行から計41億円を8月から9月に借り入れたことを明らかにした。

「メインバンクの三菱UFJ銀行から25億円を借りていましたが、これは自己資本比率や株価などが急落したら返済しなければならない融資で、極度額に達していた。そこで他行がその穴を埋めた」(同前)

 1000店舗を目標に拡大したツケが回り、自己資本比率も5%を割り込んだ。

「家族層を狙って郊外への出店を強化したものの高価格が受け入れられず、都心部でも自社の店舗同士の距離が近く、客を奪い合っていた。味とブランド力に絶対の自信を持つ一瀬邦夫社長(77)はそれでも集客が見込めると思っていたが、判断が甘かった」(大手信用情報機関)

業績予想を下方修正「最終損益は25億円の赤字」

 昨夏まで新規出店で売上は拡大していたが、既存店の売上は2018年4月から前年同月を下回り続けている。11月には今期の売上高は665億円、最終損益は25億円の赤字と業績予想を下方修正した。

「一瀬氏は高校卒業後、ホテルなどでシェフとして経験を積み、1970年にレストランを創業。ハリウッド映画とコラボするなど、アイデアマンでもある。社員の暴行事件や食中毒事件など危機を乗り越えてきた」(前出・メガバンク幹部)

 一瀬社長は、後継者とみられる長男の健作副社長や、個人資産管理会社と思われるケー・アイの持ち分を含めると、20%強の株式を保有している。V字回復できるかどうか、鍵は客足が戻るかにかかっている。

 今回の増資による希薄化で、株価が急落するおそれもある。だが、失敗すれば、M&Aなど他社の資本受け入れを余儀なくされる。いずれにしろ、茨の道が続く。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年1月16日号)

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