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「特権を手放すつもりはない」ヘンリー王子とメーガン妃の“王室離脱” 女王への「とんでもない裏切り」とは - 木村 正人

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[ロンドン発]結婚と第一子アーチーちゃん出産を巡り英メディアと対立し、冷却期間を置くためアフリカ移住話も浮上していた英王室のヘンリー王子(35)と妻の元米女優メーガン妃(38)が1月8日夜、突然、インスタグラムで「王室のシニアメンバーとしての地位から退き、財政的に独立する」と一方的に宣言し、英国は蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。

【写真】クリスマスをカナダで過ごしたヘンリー王子とメーガン妃、アーチーちゃん

 筆者は、英大衆紙サンとデーリー・メールが相次いでヘンリー王子とメーガン妃、アーチーちゃん一家が今年のかなりの期間をカナダで過ごし、王族の称号を捨てる可能性さえあると報じたことから、同日夕から急遽、解説記事を書きだしていた。間もなく2人のインスタグラムと新しいウェブサイトに詳細が明らかにされた。

 内容を読んで正直、腰を抜かした。こんなことをヘンリー王子とメーガン妃の独断で決められるわけがない。それが筆者の率直な感想だ。


ヘンリー王子とメーガン妃 ©AFP/AFLO

 チャールズ皇太子とウィリアム王子が知らされたのはオンラインで公開される10分前だったとされる。寝耳に水のエリザベス女王は激怒し、即座に「ヘンリー王子とメーガン妃との話し合いは初期の段階。英王室は彼らがこれまでとは異なるアプローチを取りたいのは理解している。しかし問題は複雑で解決するのに時間がかかる」と突き返した。

 ヘンリー王子とメーガン妃はサセックス公爵とサセックス公爵夫人の爵位を持つ。それにちなんだ「サセックスロイヤル」というインスタグラムとウェブサイトに掲載されたのはメーガン妃と妻に振り回されるヘンリー王子の“ゴーマニズム独立宣言”とでも言うべきとんでもない内容だった。

メーガン妃の標的は、英国タブロイドではなく英王室

 メーガン妃が標的にする本丸は、彼女を目の敵のように叩きまくってきた英国のタブロイド(大衆紙)ではなく、英王室だったことがはっきりしてきた。問題の8日、メーガン妃が婚約指輪を外してロンドンの国立劇場を訪れたこともメーガン妃の真意を巡る憶測をかき立てた。

 9日は、将来王妃になるキャサリン妃の38歳の誕生日。しかし報道は2人の独立宣言で覆い尽くされた。自分の38歳の誕生日はスペインのリゾートにプライベートジェットで往復、チャーター代を含め6泊16万ポンド(約2300万円)の豪遊ぶりを見せていただけに、メーガン妃の自己中心的な振る舞いが分かろうというものだ。

 メーガン妃には、アンドルー王子の次女ユージェニー妃の結婚式で第一子の妊娠を発表し、スポットライトを花嫁から奪った疑惑が報道された“前科”がある。

 1050万人がフォローするインスタグラムで宣言した内容はこうだ。

「何カ月も考えた末、今年を英王室で進歩的な新しい役割を形作るための移行期間にすることを選択しました。英王室のシニアメンバーとしての地位から退き、財政的に独立するため働きながら女王陛下を支援していくつもりです。イギリスと北米でバランスを取りながら過ごす計画です」

「英王室のシニアメンバーとしての地位から退く」ということが何を意味するのかはっきりしたことは分からない。しかしウェブサイトには恐ろしいことが書かれている。

現在は禁じられている資金調達を一方的に宣言

 エリザベス女王は君主に属するクラウン・エステートの土地や権利から生まれた利益を政府に納め、その15~25%に相当するソブリングラント(王室の活動費)を受け取っている。ちなみに新年度のソブリングラントは8590万ポンド(約122億8370万円)になると発表されている。

 2人もソブリングラントからその一部を受け取っているが、支出した公費の5%しかカバーしていないため、これを返上。その代わり現在は禁じられている資金調達を自分たちで行うと一方的に宣言したところが最大のポイントだ。

 残り95%の公費にはチャールズ皇太子のコーンウォール公爵領から得られた利益の一部が充てられている。ヘンリー王子の一家は300万ポンド(約4億2900万円)をかけて改装したロンドン郊外ウィンザーのフロッグモア・コテージで暮らし、最大6人、推定年60万ポンド(約8600万円)の予算で警察官の警護がつく。

 2人はソブリングラント以外のこうした特権を手放すつもりはないことを明言している。

 エリザベス女王に楯突くようなことをお人好しのヘンリー王子が思いつくはずがない。“首謀者”とみられるメーガン妃の身勝手な理屈では、ソブリングラントを受け取る王室のシニアメンバーの地位を返上しさえすれば、財政的に王室から独立して自己資金を調達し、自分の思うように慈善活動や社会活動を展開できるということになる。

 また英大衆紙を中心に7紙が王族の公務を独占的に取材できる取り決め(ロイヤル・ロタ)を見直すと表明。王室担当記者が王族の公務と私生活を知る上で信頼できる情報源とみなされているのは「誤解だ」と切り捨て、頻繁な誤報を増幅していると批判している。王室担当記者が正確な記事を書いてもデスクがしばしば改ざんしていると決めつけている。

 信頼できるメディアとして米雑誌タイム、ナショナルジオグラフィック、英紙デーリー・テレグラフ、メーガン妃が客員編集長を務めたことがあるファッション雑誌のイギリス版ヴォーグなどを挙げ、メディアを選別する権限は自分たちにあるという独善的なメディアポリシーまでぶち上げた。これで怒らないメディアがいればおかしい。

 英王室と英メディアは伝統的に持ちつ持たれつの関係で、パパラッチと呼ばれるフォトグラファーに追いかけ回され、悲劇の交通事故死を遂げたダイアナ元皇太子妃でさえメディアを都合良く利用していた。メディアにも報道を通じてこそ王室のありのままの姿をイギリスや英連邦の国民に伝え、王族のおごりをたしなめてきたという歴史と自負がある。

 メーガン妃はソブリングラント5%、コーンウォール公爵領の利益から95%という公費の内訳を公表した。しかしメーガン妃に敵対的な報道を続けてきた英大衆紙デーリー・メールによると、ソブリングラントは推定200万ポンド(約2億8600万円)、コーンウォール公爵領の利益からは推定196万ポンド(約2億8000万円)で、辻褄が合わない。

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