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「日本の有罪判決率は99.4%」は妥当なのか?

■海外よりも慎重と言うけれど…

 ゴーン氏の会見で、ゴーン氏は「日本の有罪判決率は99.4%」と述べていた。実際は99.9%とも言われているが、その辺は誤差ということにして、はたして、この99%を超える判決率は高いだろうか、それとも低いのだろうか? いや、低いということは有り得ないので、妥当なのか?ということを考えてみたいと思う。

 まず初めにお断りしておくと、この「有罪判決率」というものは、検察が刑事事件として起訴した案件に限った数値である。ゆえに「日本ほど起訴・不起訴に慎重でない海外よりも高いのは当たり前」という意見がある。少し前に書いたブログ記事でも、全くその通りの反論を見かけた。

 日本の検察が刑事事件として起訴するか不起訴にするかを慎重に振り分けるという行為によって有罪判決率が上がるというのは理屈の上ではその通りだと思う。しかし、問題は、その数値が99.9%にまで上がるのは妥当なのか?ということである。

■検察は裁判官なのか?

 海外の有罪判決率は概ね80%以下であるので、海外よりも慎重な日本は90%になるというならまだ理解できる。90%と99.9%はあまり違いがないと思う人がいるかもしれないが、全く違う。100%−80%=20%という狭い範囲内での90%と99.9%は全くの別物と言える。

 検察が起訴した時点で99.9%有罪が確定するということは、裁判官の仕事は有罪か無罪かを決定することではなく、99.9%の確率で量刑を言い渡すことだけが仕事ということになってしまう。これが本当に正しい司法の在り方なのか?という疑問がある。

 そして、もう1つの問題は、本当は有罪とするべき罪人が、慎重さが裏目に出て、見逃されている可能性があるということ。裁判を受けるまでもなく、検察が無罪を言い渡すことになるということも無視できない問題だ。

■重要なのは「有罪判決率」ではなく「有罪分別率」

 「有罪判決率99.9%は日本の検察が優秀な証拠」と言っている人もよく見かけるが、よく考えるとこれもおかしいと思う。本当に優秀かどうかは、有罪と無罪を間違いなく分けることであり、それは有罪判決率のことを意味しない。司法において重要なことは有罪判決率の高低ではなく、有罪分別率の高低でなければならないからだ。
 ゆえに、海外が80%だからといって、必ずしも有罪分別率が低いとは限らないのである。

 子供にでも解るように喩え話をすると、もし、地獄の閻魔様が地上の裁判官たる検察に「お前はよく頑張った」と言う場合があるとすれば、それは有罪判決率が高いことではなくて、有罪分別率が高いことであるはずだ。ゴミの仕分けのように、正しいものと間違ったものを正しく分けることが優秀とされる条件であるはずだ。

 検察が起訴するか不起訴にするかを選んだ時点で、既に善人と悪人の仕分けが99.9%済んでしまっているということは、その時点が有罪分別率ということになってしまう。ということは、日本では、その時点での仕分けが正しいか間違っているかが問われるということになってしまう。

 日本の有罪判決率99.9%とは、有罪か無罪かの分別が99.9%正しく行われているということを意味していないのである。


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