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オーストラリア森林火災、ニューサウスウェールズ州ではコアラ数千頭が犠牲に

豪ポート・マッコーリーコアラ病院で治療中のコアラ(Photo by Nathan Edwards/Getty Images)

イランとの戦争の危機や数多の国際問題がニュースを埋め尽くしている中、オーストラリアの公園や森で猛威を振るっている火災について知らない人もいるかもしれない。しかし、炎は近隣住民に甚大な被害をもたらしており、犠牲者の数は20人にも上る。また、動植物の生態系も多大な被害を受けている。

今回の森林火災で約5億匹の動物が犠牲になったと推測する生態学者もおり、特に被害の大きいニューサウスウェールズ州では周辺に棲む個体の約3割、8000頭のコアラが命を落とした。

2019年11月29日、レイク・インズ自然保護区にいたコアラのポールはオーストラリア、ポート・マッコーリーにあるポート・マッコーリーコアラ病院で治療を受けている。何週間にも渡りニューサウスウェールズ州からクイーンズランド州にかけて燃え広がる炎からコアラを救おうと、同病院のボランティアたちは自然公園や野生動物保護団体と協力している。救出されたコアラたちは治療の為この病院へ運ばれる。ここ数週間で推定数百万ヘクタールが火災により燃やし尽くされ、約1000頭のコアラを含む多数の野生動物が犠牲になった。

コアラが飛び抜けて大きな被害を受けているのは動きが鈍く、逃げ遅れてしまうからという理由もあるが、自然保護協会の生態学者マーク・グラハム氏は、彼らの主食であるユーカリの葉に引火性の高い油分が含まれていることも大きな要因であるとニュースサイトnews.com.auに語っている。オーストリア南部、アデレードで撮影されたサイクリストにしがみつき、必死に水筒から水を飲むコアラを写した映像や、火傷を負ったコアラの痛々しい写真がネットで広く拡散されている。

9月から続けているこの火災は14.8エーカー(約6万平方キロメートル)を焼き尽くし、数千人が家を失った。一番被害を受けているニューサウスウェールズ州とビクトリア州では、街が火によって丸ごと破壊されてしまったというところも少なくない。

ここ数週間オーストラリアは熱波に襲われ続け、深刻な干ばつや最高約42度の酷暑に見舞われている。火災のここまでの拡大、悪化には気温の上昇や乾燥などの気候変動が大きく関わっていると専門家たちは考えている。

今回の災害を受け、地元の自然保護団体たちは共同で失われた地域の自然に目を向け、ニューサウスウェールズ州での伐木の一時中止を訴えた。

ニューサウスウェールズ州首相グラディス・べレジクリアン氏に宛てられた書簡には「こんなに広大な範囲に壊滅的な被害が出ているのに、それでもまだ自然の破壊を許すのはあまりに愚かです」と書かれていた。

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