記事

定年後に「会社員時代の知人への年賀状」はムダ

■同級会幹事、趣味事始め、気の合うグループ発足術

自分には「仕事を通じてできた、たくさんの友人がいる」と思っていませんか。それは勘違いです。友人と知人は違う。リタイアすると、それが身にしみるほどわかります。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kumikomini

私は37年間、定年まで野村証券に勤務し、その間に何百人と付き合いがありましたが、退職後7年経って今も付き合いがあるのは4、5人ほど。会社を辞めてから始めた活動を通じて、知り合った方々とのつながりのほうが今は深くなっています。

会社員時代に仕事を通じて付き合った人たちは、知人にすぎません。名刺の肩書が外れると、とたんに疎遠になります。年に何百通も出す年賀状も年々減り、顔を合わせることもなくなる。現役のうちから友人と知人を分けておくことは大切だと思います。孤独を恐れることもありませんが、少数でも友人がいるというのは大切なことです。

退職後、見知らぬ集団に改めて入っていくのは、案外とハードルが高い。私がお勧めするのは昔の仲間、例えば中学・高校時代の仲間ともう1度つながりを持ってみることです。特に高校時代の仲間らに声をかけて、幹事役を務めることが手っ取り早い入り口でしょう。自ら手をあげて、新しいコミュニティをつくるのは、ものすごく高揚感がありますよ。

幹事役は大変ですが、参加者からは感謝されますし、いずれ新しいコミュニティをつくるときのヒントが得られます。同級会などで、こまめに幹事をやっている人は友人も多い。「私が幹事やります」と言うと、手伝ってくれる人も出てきます。

さらに言えば、異性を交えたグループで交流するほうがいいと思います。なぜなら、本来男性は女性に比べるとヨコのコミュニケーションが苦手です。でも定年後大事なのは現役時代の上下関係ではなく、ヨコの関係なのです。それを学ぶためにも同じグループに異性が入るというのはとてもいいことです。とは言え、最初は同性だけのグループでスタートしてもいいでしょう。

■「管理職やってた奴は絶対、独善的になる」

今はSNSを使っている人も多いですから、フェイスブックで「友達」をつくり、同時にそこで「グループ機能」を使ってグループを立ち上げるのもいい。映画を楽しむ会とか、自分の好きなことをテーマにして、そこに何人か友人を誘う。そこからオフ会で会って輪を広げていくといいんじゃないかと思います。

カラオケでも演歌しか歌わないようなある先輩が、定年退職後にチェロを習い始めました。理由をきくと、「俺たちサラリーマンは、何でもやりくり上手で何とかこなしてきた。だけどな、チェロなんて手も足も出ない。30代のお兄ちゃんの先生にボロクソに言われる。この野郎と思うけど、できないんだからしょうがないよな」と言うのです。

「放っとくと、年寄りは独善的になっていくんだ。まして、おまえみたいに管理職やってた奴なんて絶対そうなる。だからそういうところに行って、手も足も出ないことを習い始めれば、自然に素直になれる」

その先輩こそ独善的な方でしたが、退職後、地域や友人、兄弟から疎遠にされ、困った揚げ句、ものの本に書かれていた通り思い切ってやってみたら、「まるで憑き物のように、自分の肩についていたものがスッと落ちて、結構素直になることができた。そうすると、友達が寄ってくるんだよ」。人も変われば変わるものだと思いました。「ちょっとやってみようかな」と一歩踏み出すことが、何よりも大切だと思います。

----------

▼独り身男性向けゼロから友達の輪をつくるワザ


「高校の同期」「男だけ」の会の幹事をやる
最も容易。男女混合はハードルが高い。幹事は感謝されるし、新しいコミュニティづくりのヒントになる。
フェイスブック上でグループを立ち上げる
趣味の集まりから出発すると集まりやすい。オフ会で親交を深め、そこから徐々に輪を広げていくとよい。
自分と最も縁遠い趣味の教室に入る
初心者だと謙虚になれる。相手のバックグラウンドに関係なく、対等に接することができるようになる。

----------

----------
大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト
オフィス・リベルタス代表 大手証券勤務を経て2012年独立。行動経済学、シニア層向けライフプラン等をテーマに執筆・講演活動。著書に『「定年後」の“お金の不安”をなくす 貯金がなくても安心老後をすごす方法』ほか。
----------

(経済コラムニスト 大江 英樹 構成=高橋盛男 撮影=初沢亜利)

あわせて読みたい

「定年退職」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    布マスク費用への批判は大間違い

    青山まさゆき

  2. 2

    タバコで新型コロナ重篤化の恐れ

    BLOGOS編集部

  3. 3

    日本の補償は本当に「渋チン」か

    城繁幸

  4. 4

    反権力は正義か マスコミに疑問

    BLOGOS編集部

  5. 5

    現金給付案に自民議員からも批判

    山田賢司

  6. 6

    高学歴女性がグラビア進出する訳

    NEWSポストセブン

  7. 7

    辻元氏「ピント外れの補正予算」

    辻元清美

  8. 8

    米 議員にZoomの使用禁止通達か

    ロイター

  9. 9

    安倍嫌いでも協力を 医師が訴え

    中村ゆきつぐ

  10. 10

    政治を動かした医学専門家の責任

    篠田 英朗

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。