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米イラン緊張「不確定要素」はまだ消えていない

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■世界経済を揺るがす軍事衝突が起こるのか

年明け早々、中東情勢の緊迫感が高まっている。

その発端は、米国がイラン革命防衛隊の精鋭“コッズ(正確にはクドゥス)部隊”のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害したことだ。1月7日にはイランがイラクにある米軍施設をミサイル攻撃するなど、不測の事態を懸念する政治や経済の専門家は多い。米国とイランの対立の歴史は長く、その経緯を踏まえて今後の展開を考える必要がある。

写真=CNP/時事通信フォト

当面の焦点は、本格的な軍事衝突が発生するか否かだ。仮に本格的な衝突があると、中東地域全体の混乱が発生することが懸念される。それに伴い、原油価格の上昇を通してインフレ懸念が台頭するなど、世界経済にとって無視できない影響が及ぶだろう。

年初の金融市場では、一時、リスクを削減する動きがみられた。その後、米国イランともに軍事的な衝突を望まないことが明言されたこともあり、とりあえず、軍事衝突のリスクがやや後退している。米国を中心に世界的に株価が反発するなど、必ずしもリスクオフ一辺倒の流れにはなっていない。中東の地政学リスクから株価が下落する場面を押し目買いのチャンスと考える市場参加者もいる。

ただし楽観は禁物だ。今後、米国とイランが報復や追加攻撃に踏み切れば、中東情勢の緊迫感は一段と高まり、世界経済の先行き不透明感はさらに増すだろう。中東情勢がどうなるかは冷静に見守る必要がある。

■米国とイランの緊密と軋轢の歴史

第2次世界大戦後、米国は中東での覇権を強めるためにイランとの関係を強化してきた。しかし、イラン革命を境に、米・イラン関係は急速に悪化し、今日に至っている。

1908年、中東においてはじめて、イランで油田が発見された。それ以降、イランは米英などから強い影響を受けてきた。1925年にはパーレビ朝が発足し、英国資本による油田開発が進んだ。その後1951年には民主的な選挙によってモハンマド・モサッデク首相が選出された。モサッデク首相は欧米の資本に吸い上げられてきた石油開発の恩恵を取り戻すべく、石油産業を国有化した。

1953年、ソ連への接近を警戒した米国などの関与によりイランではクーデターが発生し、モサッデク政権は崩壊した。民主的に選出された政権が米国の関与によって倒されたことはイランの社会心理に反米感情を植えつけるきっかけになったと考えられる。

1960年代、米国の支援を受けたパーレビ国王は“白色革命”と呼ばれる社会・経済改革を進めた。これによって、イランは米国の同盟国としての存在感を強めた。1970年代、オイルショックの発生による原油価格上昇もくわわり、イランは資本蓄積を進め軍事力を増強した。

■中東地域における覇権強化

パーレビ国王の独裁色は強まり、経済格差も拡大した。この状況に対してイスラム教シーア派の指導者などの保守派は国王が米国とともに国富を独占していると批判し、対立が深まった。この結果、1979年にはホメイニ師を精神的な指導者としてイラン革命が発生し、親米姿勢をとってきたパーレビ王朝が崩壊した。

革命を境に米国とイランの関係は敵対的なものへと一変し、今日まで対立が続いている。1979年11月にはイランの米国大使館がイスラム法学校の学生によって占拠され人質がとられた。米国とイランの関係悪化は決定的となり、米国の反イラン感情も高まった。1980年4月に米国はイランとの国交を断絶し、現在まで経済制裁を課している。

一方、イランはイエメン、シリア、イラクなどでイスラム教シーア派の民兵組織を訓練するなどして中東地域における覇権強化に取り組んできた。

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