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政治家、指導者の条件

2020年、節目の年。今年は、ゼロからのスタートのつもりで土台作りをしていきたいと、新年に自らの抱負を決意した。日本の政治は、「桜を見る会」や「IR汚職」が話題となり、世界の政治も、「自国第一主義」が台頭する。今、政治も、ゼロから土台を見直すべき時期に来ていると思う。

昨年末、デモが続く香港に行った。街中に張られていたビラから香港市民の「怒り」を感じた。しかし、市民の要求に、中国政府がすべて応じることは難しく、終息には時間がかかると感じた。

香港和民にも、長期化を織り込んだ経営戦略を指示した。先の香港の区議会議員選挙も「民主化圧勝」の見出しの報道が伝わったが、選挙は小選挙区制で、死に票も多い。実は4割の市民は、中国寄りもしくは早期解決を優先すべき投票行動をしている。民意が複雑だ。

難しい問題に直面した時は、無私の指導者が求められる。今年は、7月に東京都知事、11月に米大統領と国内外でリーダーを決める重要な選挙を控えている。私はこれまでにも尊敬する指導者を問われると、台湾の李登輝元総統の名を挙げてきた。その哲学は、著書『指導者とは何か』(PHP文庫)に示されている。李氏はまず、民主国家の指導者の条件に、《誠意をもって民意を汲む》こと、《個々人の幸福のために長期的な計画を策定できる》こと、《組織全体の幸福と発展を実現できる》ことを挙げている。

私は政治とは、「全体最適の番人」だと考えている。決定に際しては、無私=私的な感情にとらわれたり、利害の計算をしたり、私心がない、政治家や指導者でなければならない。

ただ、人間にとって無私は難しい。無私の次善として民主主義がある。しかし、参院議員の経験からも民主主義は手間や時間、お金がかかり、大衆の欲望で動くため、ときに「間違い」も起きると実感した。李氏は、これについて《時を待つ、そして国民に訴える。再び国民の声に耳を澄ます、そして改善を行なう》と述べる。我慢強く訴え続けた結果、国民が変われば、その変化だけ改善が可能になる、ということだ。

政治のゼロからの土台作りの提言として、政治家には、落選を恐れず、信念を訴える姿勢を求めたい。ひとりひとりと話すと、日本の政治家や官僚にも、その仕事を志した時の「この国を良くしたい」という信念があったと感じる。しかし、徐々に政治家は当選優先、官僚は出世主義から、それが薄れていく。

一方で、国民には「怒り」を求めたい。日本人はもっと「怒るべきだ」。ベンチャー企業の経営者として、私の半生は既得権に対しての「怒り」をエネルギーにしてきた。怒りから現状が打破され、新たな道が開ける。今の日本、「人口が減り、借金を続ける国でいいのか」。

国民が怒り、信念のある政治家と無私の指導者が全体最適で未来を思えば、必ずこの国は変わる。李氏は愛国心を大事にした。私も日本への愛国心が強くなる。今年もこの紙面で、愛国心からの提言をしていきたい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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