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「ゴーンに選ばれし事実に客観的な唯一の新聞、それは朝日新聞」だと?〜軽くめまいがするほどのタチの悪い笑えないギャグだ

さて、カルロス・ゴーン被告のベイルートにおける会見ですが、興味深いのはゴーン広報側はこれは「会見」ではなく「懇親会」であるとして、招待状を送った各国のメディアだけが選別されて参加できたことでした。

日本のメディアには特に厳しくて、招待状を受け取って参加できたのは3社だけでした。

テレビ東京、小学館、朝日新聞です。

テレビ局ではテレビ東京のみです。

テレ東が選ばれたのは、看板番組『ガイヤの夜明け』で何度もゴーン氏の特集を組んできた実績や、親会社の日本経済新聞と連携した経済番組などで、逮捕以前から何度もインタビューを行い、その報道姿勢が、ゴーン側に評価されたものと言えます。

定時ニュースで繰り返し鋭く報道していたNHKや、ワイドショーであることないこと面白おかしく報道していた民報他局は全滅というわけです。

出版系では小学館のみです。

興味深いのは、小学館記者から、なぜ一部日本メディアを招かなかったのかと聞かれると、ゴーン被告は「私は日本メディアを差別していない。日本のメディアだけを閉め出したわけでない」としたうえで、「あなたが参加できているのは、客観的な見方ができる方と判断されたからです。正直に言って、プロパガンダを持って発言する人たちは私にとってプラスにならない。事実を分析できない人たちはプラスにならない」と発言しています。

(関連記事)

ゴーン被告 朝日新聞、テレビ東京、小学館などを入れた訳
https://news.livedoor.com/article/detail/17637749/

新聞社では朝日新聞のみです。

なぜ朝日が選ばれたのか、ライバルの読売が苦々しい記事をおこしています。

過去の報道内容などをチェックした上で、出席を認めるメディアを選別したのだといいます。

読売新聞も出席を申し込んだが、「ゴーン氏に攻撃的な記事を書いている」(ゴーン被告の弁護団の一人)として拒否されたのだそうです。

読売新聞記事より。

過去の報道内容でメディア選別、朝日新聞・テレビ東京・小学館には出席許可

 【ベイルート=倉茂由美子】ゴーン被告の記者会見場となった報道機関の連盟が入る建物の前には、土砂降りの雨の中、各国の報道陣が大勢詰めかけた。警備員や迷彩服姿の警察官らが厳重な警備を敷き、ゴーン被告を乗せたと思われる車が到着する度にカメラマンらが車を取り囲むなど、物々しい雰囲気に包まれた。

 記者会見は、ゴーン被告側が選んだ一部のメディアだけが出席を許され、拒否されたメディアの記者らは、スマートフォンなどで中継を視聴した。

 出席が許されたのは、レバノンやフランスのテレビ局などで、日本のメディアは多くが出席できなかった。関係者によると、過去の報道内容などをチェックした上で、出席を認めるメディアを選別したという。読売新聞も出席を申し込んだが、「ゴーン氏に攻撃的な記事を書いている」(ゴーン被告の弁護団の一人)として拒否された。朝日新聞やテレビ東京、小学館は出席した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200108-OYT1T50253/

新聞で朝日新聞だけが選別されたのは、当ブログとして一部納得できます。

他紙に比べ朝日新聞の報道はゴーン被告に対してなぜか消極的だと感じていたからです。

ゴーン被告批判より、朝日新聞お得意の角度を付けての、検察・裁判所やひいては政府を含むこの国の体制のあり方批判に明らかに報道の偏りが見られたからです。

例えば、昨年暮れに電撃的に日本脱出を成功したゴーン被告に対して新聞主要5紙はどう報じたか、社説で検証します。

2日付けで社説に掲げたのは日経新聞でした。

【日経社説】日本の主権揺るがすゴーン被告の逃亡
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54013040S0A100C2SHF000/

3日付けで産経新聞が続きます。

【産経社説】ゴーン被告逃亡 保釈を認めたのが誤りだ
https://www.sankei.com/column/news/200103/clm2001030002-n1.html

5日付けで、読売新聞、毎日新聞が続きます。

【読売社説】ゴーン被告逃亡 逃げ得を許してはならない
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200105-OYT1T50054/
【毎日社説】ゴーン被告の国外逃亡 司法の基盤揺らぐ事態だ
https://mainichi.jp/articles/20200105/ddm/005/070/038000c

この段階で朝日新聞社説だけがゴーン被告を取り上げていませんでした。

これだけの大事件なのに朝日新聞だけが一週間も社説で取り上げないのは、少し奇異にうつりました。

今回の会見前、ゴーン前会長側の弁護士は、参加メディアは前会長が選別すると話し、レバノン国外のメディアが参加する場合、招待状が必要とされました。

多くの日本メディアには、この招待状が届かず、参加できなかったわけですが、ゴーン前会長は「日本のメディアが少ないのはなぜか」との質問に答えて「日本のメディアの多くは日産と検察当局の言い分を垂れ流してきた」と批判しています。

それはともかく、おそらく朝日新聞に招待状が届いたのは、今年に入り8日に会見することが決定されてからゴーン側が各国メディア選別したうえで各社に送ったはずです、まあ前日ということはないでしょうから1月1日〜6日ごろに招待状が各社には届いたと推測できます。

朝日新聞はようやく、会見前日の7日付けに社説を掲げます。

(社説)ゴーン被告逃亡 身柄引き渡しに全力を
https://www.asahi.com/articles/DA3S14317743.html?iref=editorial_backnumber

ゴーン被告側になにを忖度したのかしなかったのか知りませんが、朝日新聞社説の結語は意味深長です。

 日本では容疑を認めない人を長く拘束する悪弊が続き、国内外の批判を招いていた。それが裁判員制度の導入などを機に見直しが進み、保釈が認められるケースが増えてきている。ゴーン被告の処遇は象徴的な事例の一つであり、運用をさらに良い方向に変えていくステップになるべきものだった。その意味でも衝撃は大きいが、だからといって時計の針を戻すことはあってはならない。

 捜査・公判の遂行と人権の保障。両者のバランスがとれた保釈のあり方を模索する営みを続けるためにも、今回の逃走の徹底した検証を求める。

今回のゴーン被告逃亡でもって「時計の針を戻すことはあってはならない」とし、「捜査・公判の遂行と人権の保障。両者のバランスがとれた保釈のあり方」を模索していくべきとあります。

「逃げ得を許してはならない」(読売社説、産経社説)などとする他紙社説の結論に比べて、確かに朝日社説の結論はゴーン氏個人への批判は薄れているようにも読めます。

ゴーン氏に「事実を客観的な見方ができる」と評価された唯一の日本の新聞メディア、それが朝日新聞なのでした。

これですね、「事実を客観的な見方ができる」との評価は大いなる誤解です。

朝日新聞だけは本件である「角度」でもって報道する傾向があっただけなのです。

つまり、朝日報道は7日付け社説でも見られるとおり、ゴーン被告に対する個人批判(「逃げ得を許してはならない」(読売社説、産経社説)など)よりも、日本国の有り様、つまり政府や検察や裁判所など日本の法制度に対する批判に、比重が重かっただけなのです。
つまり、ゴーン氏の訴える日本の裁判制度批判と、朝日の報道の偏向した「角度」がたまたまシンクロしただけなのです。

朝日ほど事実を主観的に「角度」を付けて報道する新聞はありません。

「ゴーン被告側に選ばれし事実を客観的な見方ができる唯一の日本の新聞メディア、それは朝日新聞」だと?。

軽くめまいがするほどのタチの悪い笑えないギャグなのです。

ふう。

(木走まさみず)

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