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「従軍慰安婦」は「慰安婦」ではなく、まさに「強制的な性的奴隷(enforced sex slaves)」だ

 玄葉光一郎外相は2012年7月10日の参院予算委員会で、クリントン米国務長官が戦前・戦中のいわゆる「従軍慰安婦」について「性的奴隷」と表現するよう部下に指示したとする朝鮮新報の報道について、「仮にそういうことがあれば、最も効果的な方法で『違いますよ』と申し上げることになる」と述べたそうです。

 問題になっている記事はこれです。

 

慰安婦:クリントン長官「性的奴隷と表現すべき」

 旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐり、クリントン米国務長官(写真)が「慰安婦(comfort women)」という言葉の代わりに「強制的な性的奴隷(enforced sex slaves)」という表現を使うよう部下に指示していたことが、8日までに分かった。

  ソウルの外交筋によると、クリントン長官は先ごろ、米国務省の高官から韓日の歴史問題について報告を受けた席で、同高官が「日本軍慰安婦」という表現を使 うと「慰安婦という言い方は間違っている。(日本により動員された)彼女たちは『強制的な性奴隷』だった」と述べたという。この高官はその後、性奴隷とい う表現を使って報告を続けたとのことだ。

 米国はこれまで、韓日の歴史問題に介入しない姿勢を貫いてきた。非公式の場で出たものとはいえ、クリントン長官の今回の発言は、日本政府は慰安婦問題に対する姿勢を変えるべきだという考えの表れとみられる。

李河遠(イ・ハウォン)記者 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 

 クリントン国務長官と米国務省高官の会話を漏らした情報源が、「ソウルの外交筋によると」というのもなんだかおかしな話ですし、日米の外交関係に考慮するということもあるでしょうから、クリントン国務長官が玄葉外務相にこの発言を否定するということはあり得そうです。

 しかし、米国務省のベントレル報道部長は7月9日の記者会見で、クリントン発言については

「米政府がどちらの言葉を選択しているのかは分からない」

と述べるにとどまったものの、旧日本軍の従軍慰安婦問題について

「深刻な人権侵害であり、被害者に対して衷心より同情を申し上げる」

と述べました。従軍慰安婦が深刻な人権侵害であることは、世界の共通認識であり、日本の政府も認めてきたことです。それまで否定するのは、日本のタカ派の中でも特にたちが悪い人たちに過ぎません。

ネットウヨクが街に出たら

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「従軍慰安婦」にされた少女たち (岩波ジュニア新書) 半世紀前,アジアの少女たちの青春が奪われた.日本軍は侵略する先々に,また本土に少女たちを連行し,兵隊たちのための「慰安婦」とした.韓国での直接取 材にもとづき,強制連行,前線の「慰安所」でのくらし,戦後の生活と,彼女たちの想像を絶する苦難のかずかずを描く.人間性への加害と日本の責任を考える 一冊)



 では、「従軍慰安婦」は強制的な性的奴隷なのか、単なる慰安婦なのか。

 comfort womenという言葉もものすごく嫌な響きですが、「慰め、元気づける女性」っていうんなら、今のホステスさんでもこれに当たりそうです。

 でも、「従軍慰安婦」の置かれた状況はそんな生易しいものではありません。彼女らを日本軍が強制連行したのかどうかについては争いがあり、慰安所は動く「赤線」に過ぎなかったのだという人もいます。

 赤線とは1958年の公娼廃止令まで存在した半ば公認の売春地帯です。そこで働く「娼婦」=売春婦たちは、多額の前借り金で親などから買われてきた少女たちです。女性たちはこの前借り金で拘束され、逃げようとすれば暴力で死ぬほどの目に遭わされる。人身売買で取引され、金と暴力で監禁されたまさに性的奴隷が赤線の娼婦たちなのです。

 まして、慰安所については

1、日本政府が慰安所開設にあたり指示、関与している。
2、この慰安所施設が日本軍人専用の施設であったこと。

にも争いはありません。

 「従軍慰安婦」と呼ばれてきた日本、朝鮮、中国などなどの女性たちも、親などから人身売買で女衒に売られ(そこに軍の関与や強制があったかどうかは争いがあるが)、日本軍に奉仕させられました。彼女らは自由意思で売られたわけではもちろんなく、軍が関与していようがいまいが、人身売買で慰安所に連れてこられたのです。そしてセックスを拒絶する自由はありません。これを否定する人もほとんどいません。

 また、彼女らが自由に「慰安婦」を辞めたり、慰安所を出たりする現在のホステスさんのような自由な存在だったという人もほとんどいません。彼女らも暴力と金でがんじがらめに拘束されていたのです。そして、セックスしなければならないのですから、どこまでも「強制的な性的奴隷」という言葉がぴったりです。

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(まさに性的奴隷)

 

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(慰安所に群がる日本軍兵士)

 

 

 慰安婦問題に関連する文書として有名なものとしては、国連人権委員会で任命されたクマラスワミ特別報告者が提出した1996年1月4日の報告書付属文書「戦時軍性奴隷制問題に関する朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国及び日本への訪問調査報告書」があります。

 この報告書は、慰安婦の存在は「軍性奴隷制」の事例であるという認定の下、日本政府が国際人道法の違反につき法的責任を負っていると主張しました。

 しかし、戦前の日本軍と大日本帝国がやったことを矮小化しようという人は常にいます。

 「従軍慰安婦」問題を取り上げようとしたNHKの番組について、安倍晋三元首相や故中川経産相らタカ派政治家がNHK幹部を呼びつけ圧力をかけ、NHK上層部が現場に圧力をかけて番組を改編してしまうという、表現の自由の事件として最悪の事態となった事件もありました。

NHK従軍慰安婦番組、改変前の映像を初めて公開

 これに対して、第94回国連人権委員会は2008年10月15・16日の2日間にわたり、「市民的政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)の実施状況に関する日本政府報告の審査を10年ぶりに行い、最終所見を10月30日に公表しました。

 この所見でも、日本軍性奴隷制についてとして、委員会は、日本政府が「慰安婦」問題に関する責任を認めておらず、加害者が起訴されていないこと、被害者への補償 が公的資金ではなくアジア女性基金という民間の寄付により賄われており不十分であること、この問題に言及している教科書がほとんどないことに加え、政治家とマスメディアの一部に被害 者を貶め事実を否定する発言が繰り返されていることについて懸念を表明しました。

アジア女性資料センター プレスリリースより
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ここまでわかった!日本軍「慰安婦」制度 日本の戦争責任資料センターアクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」 (編集)



 もう一度言いますが、日本国内の赤線の公娼でさえ、法的に言えば強制的な性的奴隷です。ましてや、「従軍慰安婦」の方々が、強制的な性的奴隷であることは反論の余地がないのです。

 上記の国連人権委員会の最終所見では、日本政府に対し、法的責任を認め、被害者の多くに受け入れられ、その尊厳を回復するようなかたちで無条件の謝罪を行うこと、すべてのサバイバーに権利の問題として適切な補償を行うため法的および行政上の手段を速やかにとること、生徒および公衆に対する教育を行うこと、被害者を貶めたり事実を否定する企てに対し反駁し制裁を科すことを勧告しました。

 玄葉外相が「従軍慰安婦」の性的奴隷性を否定しようとするならば、国連人権委員会に言わせれば、「被害者を貶めたり事実を否定する企て」であって、政府はこれに対して「反駁し制裁を科す」べき行動なのです。

 ちなみに、旧日本海軍で主計官だった中曽根康弘元首相は『終りなき海軍』の本で「私は苦心して、慰安所をつくってやった」と書くなど慰安所建設を認めています。そして、彼が、

「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設氣持の緩和に非常に効果ありたり」

と記した資料も見つかっています。こんな人が日本で一番の勲章をもらっている国がいまの日本です。

佐藤栄作 中曽根康弘 小泉純一郎 石原慎太郎 橋下徹 悪政無答責・逃げ切りの系譜を断とう


 今回はかなり控えめに書きましたが、それでも「慰安婦」が強制的な性的奴隷であることは疑いようのない事実です。

 大津のいじめ自殺事件でもわかるように、加害者がまず事実を正直に認めることからすべてが始まります。

 つらいけれども、自分たちがやってきたことを真正面から見つめる勇気にしか未来はないのです。

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