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情報合戦の第一幕はゴーンの勝ちだ

 予定通り、日本時間で昨日の夜10時からゴーンの記者会見が開かれた。

 それを実況中継した日本のメディアは私の見るところでは日経のBSだけだった。

 しかも不十分なものだった。

 だから私はCNNを見てこれを書いている。

 予定の30分を大幅に超えて1時間以上も続いた記者会見はまさしくこの1年間のゴーンの怒りと苦しみをそのままぶつけたものだった。

 それを日本のメディアがどう報じるか、私の関心はそこにあったが、言葉の関係があったのだろう。

 リアルタイムで正面からまともな解説した日本のメディアは私の見るところではなかった。

 おそらくきょうテレビが朝から晩まで一日中ゴーンの記者会見の評価を流すだろう。

 明日からの新聞がくわしく書き、週刊誌はさらに詳しく解説するだろう。

 その前に、CNNを聞いた私の印象を書いておきたい。

 私はゴーンと日本(安倍政権、検察、日産)のどちらの言い分が正しいかを判断する情報も、司法知識も持ち合わせていない。

 しかし、情報合戦と言う観点から言えば第一幕はゴーンの勝ちだ。

 1時間以上独演し、しかもその後、延々と続いた質疑応答を一人で取り仕切ったゴーンに私は覚悟を感じた。

 それに比べ、ゴーンの発言を見て、これまで以上のものは出てこなかったと安堵して、深夜1時ごろに緊急記者会見を開いた森法相の言葉は、日本の司法と検察の正しさを繰り返し、犯罪者としてのゴーンを強調する予定稿を読み上げただけのものだ。

 権力側の保身と、これから起こり得る批判に対する怯えからくる予防線だ。

 迫力がまるで違う。

 私は、金融商品取引法違反や日産の資金を不正に支出した会社法違反(特別背任)などに関するゴーンの言葉を正しく理解する能力はなかった。

 しかし、検察と日産がゴーンの逮捕以前から結託していたと語る彼の告発は理解できる。

 当時、そういう報道があったからだ。

 そして、日本の司法制度の非人道性を批判したところは、私にはその体験は無いが、鈴木宗男やほりえもんや籠池らは、まったくそのとおりだと内心思ったに違いない。

 ましてや、一切新聞には報じられずに、闇のまま検察、司法に泣き寝入りさせられてきた無数の被疑者、犯罪者たちは、よくぞ言ってくれたと涙を流して聞いたのではないか。

 果たして海外のメディアはどう報じるだろうか。

 ゴーンの記者会見の模様を、十分時間をかけて分析した後のきょうのテレビはどう報じるだろうか。

 明日からの大手紙の評価はどのようなものになるのか。

 日本で死ぬか、脱出するしかなかった、そう日本の司法制度を世界に告発したゴーンの気迫を世界はどう聞いただろうか。

 私が一番印象に残ったのは、日産の現状を批判した彼の言葉だ。

 つまり自分を追放して誰が得をしたというのか。

 皆負けたのではないか。

 これこそが今の日本の姿である(了)

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