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「“不良”というブランドに憧れていた」相模原殺傷犯から文春記者に届いた手紙 - 「週刊文春」編集部

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人殺傷した事件で、殺人罪などに問われた元職員・植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判が1月8日、横浜地裁で行われた。

【写真】「週刊文春」記者のもとに届いた植松被告の手紙

 公判で「みなさまに深くおわびいたします」と口にした植松被告は、突然顔に手を当て、うめき声を上げて激しく暴れ出し、床に倒れた状態で刑務官に取り押さえられたという――。

 事件翌年の3月、「週刊文春」記者は被告と手紙のやりとりを開始。その内容を報じた2017年8月17日・24日号の記事を公開する。なお、記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のまま。

◆ ◆ ◆

〈好き放題叩かれいい加減疲れましたが、私が殺したのは人間ではないと分かり一安心しました。氏名が公表されず遺影もない追悼式は、彼らが人間として扱われていない証拠と考えております〉

「週刊文春」記者に届いた7通目の手紙には、こんな文言が記されていた。

 2016年7月26日、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件から丸1年が経過した。

「神奈川県警は、遺族のプライバシー保護を理由に異例の匿名発表をしました。同月24日、相模原市で追悼式が行われましたが、犠牲者の名前の読み上げはなく、遺影もありませんでした」(社会部記者)

 今年3月、「週刊文春」記者は殺人罪などで起訴された元職員の植松聖(さとし)被告(27)と手紙のやり取りを開始。1通目の手紙には、遺族への謝罪の言葉があった。

〈私の考えと判断で遺族の皆様を悲しみと怒りで傷付けてしまった事を、心から深く御詫びを申し上げます〉

〈中学3年生頃から「不良」というブランドに憧れを抱いていた〉

 だが、その後の手紙には自身の“思想”を正当化する言葉が並んでいた。

〈中学3年生頃から「不良」というブランドに憧れを抱いていたと思います。(中略)しかし、社会人になり気がついたことは「お金」の絶大な力です。(中略)それから私は四六時中大金を稼ぐ方法を模索する日々を過していると、やまゆり園で勤務している時にテレビでISISの活動とトランプ大統領の演説が放送されていました。(中略)その時、深い考えなしに「彼等を殺せばいいんじゃないですかね?」と口から零れ出ました〉

 植松被告は手紙の中で繰り返し〈人の幸せである“お金”と“時間”を莫大に奪う重度・重複障害者を肯定することはできません〉と語り、〈心失者(しんしつしゃ)〉という造語を交え、〈安楽死〉すべきという持論を繰り返した。

 また、捜査の過程で行われた精神鑑定により「自己愛性パーソナリティ障害」と診断されたことについて〈頭のネジが外れているのは確かだと思います〉と自己分析していた。

手紙の〈追伸〉で初めて吐いた“弱音”

 植松被告はその後の手紙で、神戸連続児童殺傷事件の元少年Aが出版した「絶歌」(太田出版)を読んだ感想を次のように記した。

〈殺人鬼としての自分に酔狂しており、彼はやはり結局の所は「社会復帰」することができなかったのだと感じました〉
6つの罪で起訴された植松被告

 別の手紙では、意思疎通がとれない人間の安楽死、大麻やカジノの合法化、軍隊の設立、女性の初回整形費用の国庫負担など〈7項目の秩序〉について列挙。その手紙の〈追伸〉では、初めて“弱音”を吐いてみせた。

〈逮捕されることを覚悟していたのですが、時折外の生活が恋しく思うことがございます。刺身のような生ものや、しゃぶしゃぶのように肉々しい食材を渇望しております。そして食事を制限されることで、とても大切な調味料が「コショウ」であることに気がつきました〉

 封筒には、ボールペンで描かれた鯉のイラストが同封されていた。

 事件に巻き込まれ、一時意識不明の状態から一命を取り留めた尾野一矢さん(44)の父・剛志さん(73)が憤りを隠さずいう。

「植松は『障害者は不幸しか生まない』と話していますが、それは間違っています。事件から3~4日目、意識が戻った一矢と再会した時のこと。『お父さん、お父さん!』と何百回も呼んでくれた。それを聞いた時、僕は『この子の親になって本当に良かった』と思った。私たち夫婦にとって、彼は一生の宝物なんですよ」

 事件は深い傷跡を残している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2017年8月17日・24日号)

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