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【カルロス・ゴーン氏まとめ】日産・ルノー代表就任から逮捕、そしてレバノン逃亡… ゴーン被告はなぜ日本から逃走したのか

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日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が8日夜、レバノンに逃亡してから初めて公の場に姿を現し、一連の騒動は日産や検察による「陰謀だ」と批判しました。日本のみならず、世界の注目を浴びているゴーン被告の異例の逃亡劇。ルノー入社から日産事件での逮捕・起訴、そしてレバノン逃亡と注目を集め続けるゴーン氏とはどんな人物か。これまでの経緯と、今後押さえておくべきポイントをまとめました。

(9日10時追記)



Q、カルロス・ゴーン被告ってどんな人?

A、ゴーン氏は1996年にフランスの自動車会社ルノーに入社しました。99年、ルノー・日産連合が結成され、ゴーン氏は日産の最高執行責任者(COO)に就任。2005年にはルノー・日産連合の最高経営責任者(CEO)に就任します。16年、三菱自動車が連合に加入。翌17年、3社アライアンスは乗用車、小型商用車の販売数に関して世界最大級のグループとなります。

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しかし、ゴーン氏は18年11月19日以降、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑などで複数回逮捕され、会社法違反(特別背任)の罪などで起訴されました。

19年12月29日、プライベートジェットを使用し、日本を出国。中東レバノンに逃亡し世界を騒がせています。

【関連記事】フランス市民はカルロス・ゴーン被告の逃亡劇をどう見たか 7割が「戻ってくるな」

Q、ゴーン被告はなぜ起訴されたの?

A、ゴーン被告は
・報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪(金融商品取引法違反)
・日産の資金を不正に支出させた罪(特別背任)
に問われています。

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検察は、ゴーン被告が17年度まで8年間の有価証券報告書にみずからの報酬を合わせて91億円余り少なく記載。さらに18年までの2年間に、日産からオマーンの販売代理店に支出させた資金の一部をみずからが実質的に保有するレバノンのペーパーカンパニーに流して5億5000万円余りの損害を与えたなどとしています。

ゴーン被告の日本弁護団は19年10月の会見で「検察の主張するゴーン被告の未払い報酬は存在しない」「不正があったとされるオマーンの販売代理店への支出は社内の厳格な手続きにのっとって行われた」などと全面無罪を主張する方針を発表しました。

また、弁護団は捜査に違法性があったと主張し、控訴棄却(裁判の打ち切り)を求めていました。

Q、レバノンへの国外逃亡はなぜ話題に?

A、保釈中の被告が国外に逃亡すること自体が異例です。さらに、今回の件では、プライベートジェットを使用したことや、箱の中に潜んで空港の検査をかいくぐったこと、米特殊部隊「グリーンベレー」元隊員とみられる米国人男性らが手助けしたことなどが報道され、その経緯に注目が集まっています。

また、ゴーン被告が逃亡後に発表した声明で日本の司法制度を批判したことも話題を呼んでいます。

ゴーン被告の声明
「差別がまん延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなります。日本の司法制度は、国際法や条約のもとで守らなくてはいけない法的な義務を目に余るほど無視しています。私は正義から逃げたわけではありません。不公正と政治的迫害から逃れたのです」

東京地検特捜部は20年1月7日、ゴーン被告の妻キャロル・ナハス容疑者に対し、去年4月に裁判所で行われた特別背任事件の証人尋問でうその証言をしたとして、偽証の疑いで逮捕状を取得。キャロル容疑者は「日本の検察による復讐だ」などとフランスの新聞インタビューに語り、反発しています。

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Q、8日夜の会見で、ゴーン被告は何を話した?

A、レバノンの首都ベイルートで開かれた記者会見には12カ国約60社のメディアが参加しました。ゴーン被告は「私にかけられた嫌疑には根拠がありません。これは計画された謀略です」とあらためて自身の無罪を主張。繰り返し自白を求められたことや、弁護士なしで何時間も尋問を受けたことなどを挙げ、検察をはじめとした日本の司法制度を批判しました。

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逃走の理由については、「非人道的な扱いを受け、自身と家族を守るためには選択肢がなかった」「有罪率が99.4%にも上る(日本の)司法制度に直面していたことを忘れないでほしい」と述べました。

会見を受けて、東京地検は「自身の犯した事象を度外視して、一方的に我が国の刑事司法制度を非難する主張は到底受け入れられない」と批判する異例のコメントを発表しました。

Q、ゴーン被告をめぐる騒動は今後、何に注目すべき?

逃亡の手段については不明な点がまだ多くあります。8日の会見では自身の正当性や検察、日産への批判を口にしたゴーン被告ですが、逃亡の詳細については「興味を持っているのは知っているが、日本からどうやって出国できたのかを語るためにここにいるわけではない」と語りませんでした。

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逃亡の経緯に関しては現在、東京地検と警視庁が入管難民法違反(不法出国)容疑などで捜査しています。報道によるとゴーン被告は先月29日、米国籍の男性ら複数人の協力のもと、新幹線やタクシーを利用し関西空港近くのホテルへ。協力者が運ぶ大きな楽器箱に身を潜め、空港の検査をかいくぐり、プライベートジェットを利用して脱出したとみられています。

各国の関係者の話にも食い違いが生じています。ブラジル、フランス、レバノンの3つの国籍を持っているゴーン被告ですが、レバノン入国時に使用したパスポートについてフランスのルドリアン外相は「私の知るかぎりではフランスのパスポートは使っていない。そのような情報はない」と述べました。一方、レバノンの治安当局者は、入国の際、被告名義のフランスのパスポートを提示されたと説明しました。

Q、日本政府の対応は?

日本政府は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、ゴーン被告を国際手配しました。レバノンに身柄引き渡しを求めていますが、日本・レバノン間には犯罪人引き渡し条例がなく、レバノンの司法制度に委ねられ形となります。

レバノンには自国民を外国に引き渡すことを禁じる国内法がありますが、両国とも経済犯罪防止のための国連腐敗防止条約に署名しています。今後、日本政府が身柄引き渡しの実現に向けて、レバノン側と法的見解などについてどう意見交換していくかが焦点のひとつです。

逃亡をめぐっては、菅義偉官房長官が7日の記者会見で、レバノン政府に対し「誠に遺憾だと伝えるとともに、事実の究明を含め必要な協力を求めていく」と述べました。身柄引き渡しについては「一般論として言えば、慎重に検討する必要がある」とコメントしています。

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