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今年も綱渡り、特例公債法案の行方

 7月6日の閣議後の会見で安住財務相は、今年度予算の赤字国債発行の法的裏付けとなる特例公債法案が成立しない場合、「10月中に財源がほぼ枯渇する」との見通しを示した。

 9月8日までの今国会の会期内に法案成立が見込めなければ、「万般にわたって影響が出る」と指摘し、同月以降の予算執行は「例外なく厳しく抑制を含めた対応が必要だ」と述べたそうである。

 昨年も年度内に赤字国債発行法案は成立せず、法案成立は8月下旬まで遅れることとなった。昨年同様に当面の政策経費に対する資金繰りは、建設国債で賄える分とともに、月々の税収や財務省証券の発行などで賄うことになろうが、ある意味綱渡りの状況となっていることに変わりはない。

 今年度予算のうち税収や税外収入は46.1兆円、これに建設国債5.9兆円を合わせれば、50.2兆円の財源は確保できるが(財政法第四条に基づいて発行される建設国債は予算が通れば発行できる)、歳入の4割強を占める赤字国債38.3兆円は特例公債法案が成立しなければ発行できない。

 資金のやり繰りのため財務省証券の発行をすればなんとかなるとの見方があるかもしれないが、国債発行はむやみに発行されないように法律に基づいており、確実な財源が見込まれない中での自転車操業のような財務省証券の発行は認められない。

 財務省によると公共事業などの建設国債発行対象を除いた9月末の支出見込み額は39.3兆円。これに例年の10月の平均的支出額約5兆円を加えると約45兆円に達するという。(ブルームバーグ)


 このままでいけば10月中にほぼ財源が底をつく計算になる。もしそうなった場合には、支出を厳しく抑える必要がある。読売新聞によると、その具体的な項目として、財務相は地方交付税交付金(年度予算16.6兆円)を挙げたそうである。そうなれば地方の行政サービスに影響が出る懸念がある。このほか、社会保障費や防衛関係費、国債の利払いの支払いにも影響が出る可能性もあるとか。

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議も年中行事となってしまった感があるが、日本でもねじれ国会となる中、特例公債法案の行方は今年もまた綱渡りの状態となっている。

 今年度もぎりぎりになろうが法案は成立するだろうとの見方も強いのか、市場ではほとんどこれについては材料視されていない。しかし、確実に特例公債法案が成立するという保証があるわけでもない。何かの事情により、法案成立が国会会期末までに困難になる可能性が全くないわけではない。それにより日本国債のデフォルトや格下げ、さらに政府の窓口封鎖等々が意識されて、日本国債が急落するように事態となれば、取り返しがつかないことになる。このような余計なリスクについては、なるべく早めに取り除く必要があろう。

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