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「既読スルーで返事しない」ほど痛い人はいない

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明らかに連絡は届いているのに、「既読スルー」のまま返事をしない人がいる。ネットニュース編集者の中川淳一郎さんは「『気乗りしないオファー、断ることが明らかな打診には、一切レスをしない』という人は、“大人の中二病”をこじらせており、一言でいえば“痛いオッサン”だ」と断じる──。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oatawa

「大人は立派」なんて大嘘

幼い頃、「大人は立派なもの」だと思っていた。「大人はそれなりの分別と常識をわきまえた存在であり、だからこそ子どもは大人の言うことを聞かなければならないのだ」といったことを教えられた記憶もある。

だが、自分が実際に大人になってみてわかったのは、決してそんな立派なものではない、という事実だ。わかりやすいところでは、昨今話題の「あおり運転」だろう。いい大人が感情をコントロールできず、運転で怒りや苛立ちをあらわにする。痴漢や下着泥棒は「ムラムラして、つい……」と犯行動機を語り、街中や電車内で暴力行為に及ぶものは「ムシャクシャした」などと供述する。これのどこが「立派」なのだろうか。むしろ、子どもよりも未熟である。

自分のことを振り返ってみても、「酒はやめろ」と何度言われても飲んでしまうし、酒量がかさんで数年に一度くらいは路上で寝てしまったりもする。まったくもって、バカである。

いい年こいて「痛い」ヤツがいる

かくして、大人といえども一概に立派ではないことを日々痛感しているわけだが、最近、「大人の中二病」とでも評すべき、くだらない自意識をこじらせたバカな大人が想像以上に多いと、改めて感じるようになった。

大人でも「ずぼら」「怠惰」「信頼感がない」「嘘つき」「約束を守らない」「ドタキャン癖」といった自分本位な一面が目につく人は少なくないし、度が過ぎれば呆れられたり、距離を置かれたりするものである。ただ「大人の中二病」の場合、周囲は「この人、いい年こいて、なんでこんなに『痛い』の?」と感じて、呆れるよりも憐れみを覚えてしまうのだ。

この「大人の中二病」について話を進める前に、「中二病」について軽く説明しておこう。まずはWikipediaからの引用である。

〈中二病(ちゅうにびょう)とは、「(日本の教育制度における)中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を自虐する語。転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング〉

また、ニコニコ大百科では「症状」として「愛想が無くなり孤独を好むようになる(いわゆる“孤高”)」や「突然ブラックコーヒーを飲みだす」などの振る舞いを紹介し、こう解説する。

〈共通するのは自分を良く見せようとする自己顕示欲、あるいは自己陶酔、少年期による心の悩みなどである(中略)「本当の自分を探す」等と言いはじめたら危険。即座に治療を開始する必要がある。〉

「大人の中二病」、たとえばこういうケース

話を「大人の中二病」に戻そう。先日、私が実際に遭遇したケースである。

2019年10月、私はとある広告関連のイベントにプランナーとして関わった。このイベントに、いわゆる「インフルエンサー」(SNSフォロワーの多い人)を招くことになり、知人のA氏にも声をかけることにした。

A氏はイベントで紹介する商品の周辺事情についてそれなりに造詣が深く、SNSではインフルエンサー的な立ち位置でもある。そこで、イベントの趣旨やギャランティの金額など詳細を明記し、メールで参加をオファーした。

私ともう一人のプランナーで手分けをし、当日は総勢20人のインフルエンサーをイベントに呼ぶことになっていた。声掛けをした人はすべてリスト化し、参加について「○」「×」で整理。未確定の先約が入っていたり、業務状況次第で予定が流動的だったりする人たちには「まだ答えられない」を意味する「△」をつけた。

ノルマである20人を達成するべく、「×」の人が出れば別の候補をクライアントに提案し、その都度、呼んでも構わないか判断を仰いだ。

皆がきちんとレスするなか、唯一、返信しない男

A氏も含め、最初に声をかけた20人のうち19人からは2日以内に「○」か「×」か「△」の返事が来た。そこで「×」の人数を考慮しつつ、「△」の人には「○月×日までにお返事ください」と確認のメールを送る一方、別の候補者にも声をかけていき、リミットの数日前までには19人の参加者が確定した。唯一、返信がなかったのがA氏である。

こちらとしては「Aさん、忙しいのだろう」と判断し、クライアントには「A氏は『×』ということにしましょう。あと一人は、責任をもって当日までに見つけます」と伝えた。仮にA氏が直前になって「○」と言ってきたとしても1人分のギャラが増える程度なので、予算のバッファー内で十分処理できる。

だが、最終的にはイベント開催時までA氏からの返事はなかった。とはいえ、20人目の参加者は問題なく見つけることができたし、イベント自体は非常に盛況だったので、クライアントも満足してくれた。少なくとも、参加者への打診や調整に関して我々に特段、問題はなかったはずだし、A氏に対して礼を欠くような振る舞いがあったとも思えない。

「一切返事をしない」というポリシー

そうして、A氏から返事がなかったことなどほとんど忘れていた1カ月半ほど後、突然、A氏のことをよく知る共通の友人(X氏)から電話が来た。ちょうどその時期、私が精神的に落ち込んでしまったことをあるコラムで書いており、X氏はそれを読んでくれたらしい。

「最近、落ち込んでしまったそうですが、もしかしてAさんが影響していますか?」

「えっ? 何の関係もありませんよ! なんだか突然、ドーンと気持ちが落ちてしまったんです。これまでも数年に一度くらい、この手の落ち込みを経験しているので、持病みたいなもの。大丈夫ですよ!」

「そうですか。ひとまず安心しました……。いや、実はここのところ、Aさんは『気乗りしない案件とか、断る案件には一切返事をしない』というのをポリシーにしているそうなんです。落ち込むときって、些細なことが原因になる場合もあるじゃないですか。もしかしてAさんからメールの返信がなかったことが、中川さんが落ち込んだ一因になったのではないかと心配になったんですよ」

「いやいや、そんなことは何も影響ありません。『Aさん、忙しそうだな』くらいの印象しか持ちませんでしたし、落ち込みには何も関係ないです」

こんな調子で、X氏とは簡単に会話を終えたのだが、A氏の妙なポリシーに関する情報は完全に寝耳に水である。そして湧いてきたのは「Aって『大人の中二病』の痛いヤツだな……」という呆れと憐憫の情だ。ちなみにA氏は、アラフォーのいい年をしたオッサンである。

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