記事

ねずみ年の今年はねずみ講に要“チュー“意! 「一緒に夢をかなえよう」など甘言に落とし穴潜む消費者トラブル

1/3

幕を開けた2020(令和2)年。今年の干支は「子(ねずみ)」だ。

ねずみと言えば、思い出されるのはミッキーマウスに、ミニーマウスなどかわいいキャラクターだ。その一方、ふと頭に浮かんだのが“ねずみ講”。最近はあまり耳にしなくなったものの、海外では政変のきっかけともなった。普段の生活の中で思いがけずに巻き込まれることもあり、注意は必要だ。

そもそもねずみ講とは何なのか――。そんな疑問を抱え、独立行政法人・国民生活センターを訪ねると、その時々に合わせて目まぐるしく変わる消費者トラブルの手法を教えてもらった。ねずみ講を皮切りに、消費者問題の今を伝えたい。


東欧ではねずみ講きっかけに大規模暴動に

私たちの生活に入り込んでくる問題という印象が強いねずみ講。ところが、これが全国的な暴動に発展したこともある。今から23年前、東欧のバルカン半島南西部にあるアルバニアで1997年に起きた話だ。当時の新聞記事をめくってみた。

アルバニアなど東欧の旧社会主義国は、1990年代初頭までの東西冷戦終結を受け、次々と自由主義経済を導入した。

ところが、経済犯罪の拡大などで混乱を招き、アルバニアではねずみ講が急速に普及してしまった。当時のアルバニアは、紛争中の周辺国に対して武器を不正輸出することで外貨を獲得し、なんとか経済を維持。その資金源はねずみ講によって上部へと吸い上げられた金だった。

ところが、1997年になると周辺国の紛争は終結に向かう。同時に、武器密輸のシステムが崩れることで、国民の多くが参加していたねずみ講システムも崩壊した。これによって、国民は被害者としての感情を抱くようになる。

当時の朝日新聞は短い記事で以下のように伝える。

 【ウィーン27日=宮田謙一】ねずみ講式の利殖業者の相次ぐ倒産で大規模な抗議運動が広がっているアルバニアの議会は二十六日、運動の鎮圧に軍隊を使うことを決め、ベリシャ大統領に権限をゆだねた。市庁舎などへの襲撃、放火事件が南部を中心に全国で多発していることから、軍隊を動員して主要な行政機関や与党本部を警備することにしたもの。現地からの報道では、すでに二十六日から自動小銃を手にした兵士が首都ティラナの政府機関や与党本部などに配備され、警備に立っている。
 週末にかけて、ティラナで約三万人が抗議集会を開き、警棒や放水車で鎮圧しようとした警官隊との小競り合いで多数の負傷者が出たのをはじめ、国営テレビは全国十三都市で市庁舎や裁判所、与党事務所が燃える様子を放映した。警察側は二十六日だけで八十四人が負傷したと発表しているが、抗議運動側の負傷者数は不明。
 デモに参加する人々は右派ベリシャ政権の打倒を叫んでいるといい、最大の野党・社会党(旧共産党)は超党派の暫定内閣をつくったうえで早急に総選挙を行うよう求めている。

1997.01.27 東京夕刊 2頁
【ウィーン10日=宮田謙一】アルバニアからの報道によると、ねずみ講の倒産に伴う反政府デモが続く南部ブロラで九日、数万人の群衆と警官隊が衝突し、一人が死亡、少なくとも四十人が重軽傷を負った。今回の騒ぎで死者が出たのは初めて。現地の病院関係者は、死んだのは四十歳代の男性で心臓マヒとしているが、死因ははっきりしない。

1997.02.10 東京夕刊 2頁 2総

死者が出るまでに至ったアルバニアの暴動。暴徒化した民衆との対立は激化し、政府は1997年3月には非常事態宣言を発令。国連安保理の決議に基づき、7000人からなる国連軍が派遣されるに至った。

6月に実施された総選挙では、民主化を進める一方、ねずみ講と不当な武器輸出を黙認しつづけたベリシャ政権が退陣に追い込まれる結果となった。

“親しき友の会”名で112万人 国内最大のねずみ講で相次いだ自殺者

日本国内を見てみると今から40年前、債権者約112万人ともされる「天下一家の会・第一相互経済研究所」が、日本最大規模のねずみ講事件として知られる。

天下一家の会主催の男は自家用機5機などを保有していた=1971(昭和46)年6月10日、熊本空港(共同通信社)

天下一家の会は1967年、特攻隊の生き残りだった男が熊本県で設立。第一相互経済研究所はその別名とされ、“親しき友の会”という名称のねずみ講を展開していく。男は観光地・阿蘇に13億円を投じてピラミッド型のビルを建てるなど、大きな収益を上げていた。

会員はさらに新規加入を増やすことを求められたが、多くの会員は勧誘に行き詰って自殺も絶えなかった。全国各地で入会金の返還訴訟が相次ぎ、1979年5月に無限連鎖講の防止に関する法律が施行されると、80年9月に会員約102万人を抱えたまま破産。当時、熊本地裁は、債権者を112万448人、債権総額を1896億2284万円と認定している。

ねずみ講は明らかな違法 システムは必ず崩壊する

ここまでで、ねずみ講が多くの被害者を生むものであることは理解できた。

しかし、ねずみ講に、マルチ商法、ネットワークビジネス――。どれも似たような意味に感じてしまい、区別がつきにくい。そもそもこれら三つの言葉はどう区別したらよいのだろうか。

国民生活センター相談情報部の小池輝明主事に尋ねてみると、まずはっきりしたことはねずみ講が明確に違法という事だ。

あわせて読みたい

「消費者トラブル」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    安倍首相 ヤジの原因は憲法改正?

    メディアゴン

  2. 2

    マスクより品薄? 消毒薬の注意点

    市川衛

  3. 3

    コロナ対応の優先度理解せぬ政府

    川北英隆

  4. 4

    社民と立民の合流話は立ち消えか

    早川忠孝

  5. 5

    コロナ検査 医師が不利益を指摘

    名取宏(なとろむ)

  6. 6

    コロナ巡る混乱 抗体ない深刻さ

    essa

  7. 7

    橋下徹氏「国立大学は甘えすぎ」

    橋下徹

  8. 8

    マスクなしで頑張る 森氏に批判

    女性自身

  9. 9

    風俗に母同伴 親子共依存の実態

    AbemaTIMES

  10. 10

    コロナで観光客減 非正規に危機

    藤田孝典

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。