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千鳥『相席食堂』が伝える“ロケ番組”の奥深さ

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千鳥の『相席食堂』がおもしろいんじゃあ…。アマプラで3周目に入ったんじゃあ…(ここまでVCノブ)。

ABC朝日放送で、毎週火曜の深夜に放送中のこの番組。すでに昨年2月期のギャラクシー賞を受賞しており、テレビ好事家からしたら「何を今さら」という物件ではあるのだろうが、それにしても昨年最も見入ってしまった番組といえばぼくにとってはこれだろう。

毎回、「旅番組」の体裁をとって、ゲストがときに故郷を、ときに縁もゆかりもない地を自由気ままに散策する。ルールはただ一つ、道中に見つけた飲食店で遭遇した一般客と「相席」することのみ。

肝心の千鳥はというと、ロケには一切参加しない。スタジオで2人がそれぞれ1ずつ、「ちょっと待てぃ!」という音が出るボタンを持ち、どちらか一方でも押すと、VTRは強制的に止められ、スタジオで2人がロケに対してツッコんだり、イジったり、ときには批判する。

ロケのVTRを止めるこうしたシステムは、例えば『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)など先行する番組にもあったが、『相席食堂』最大の特徴は、ロケをしている側には弁明の余地は与えられないことだ。

「ロケをした人」と「ロケをモニタリングする人=千鳥」の完全なディスコミュニケーション。千鳥からロケへの一方的な言及によって、この番組は「ロケ“批評”番組」の様相を呈すことになる。

スタジオからの一方的なツッコミは、見方によっては「欠席裁判」であるし、ともすれば視聴者が不快感を催す恐れもある。しかし、千鳥がやれば不快どころか面白くなってしまうのは、そのツッコミがロケでのし上がっていった「ロケ番組の鬼」ならではのノウハウに裏打ちされたものだからだろう。

この番組を見ていると、テレビのロケとはさまざまな要素が複雑に絡みあった複合体であることが分かる。

場をつなげるトーク力や、予想不可能な言動をとる一般人への対応力、食べ物が出てくる番組では食レポでの表現力も要求される。何が起きるか分からない場面ではハプニングへの対応力も求められるだろう。さらに、天気や動物といったアンコントロールなものを相手にする場合は、運の強さも求められている。

このように、ロケとはそのタレントがさまざまな分野で試される、総合格闘技のような仕事なのだ。

また、コンテンツとして、ほとんどすべての回が面白いことも特筆すべきだ。

例えば、ジミー大西、蛭子能収やくっきー!がロケをする回なら、誰がどう考えても面白くなることが期待できるだろう。

一方で、山下真司や高橋ジョージ、夫婦お笑いコンビかつみ・さゆりの(さゆりでなく)かつみの回などは、個人的には本来まったく琴線に触れない。よくある週末の夕方ぐらいに流れているロケ番組なら、完全にスルーしていただろう。

しかし、彼らのロケも、千鳥がスタジオからどこがどう面白くないか、つまらないかということをこんこんと指摘していき笑いに変えてしまう。2人で営む野村再生工場のようなもんである。

また、未知数のタレントを使い、その意外なロケの才覚を発見するのもこの番組の醍醐味だ。誰がくまだまさしがロケ巧者だと予想できただろう。誰が、獣神サンダーライガーのロケの安心感を予知できただろう。

人気にともない放送時間も拡大し、番組後半では新しい企画も展開されているが、千鳥が人のロケを批評する、という番組の屋台骨だけは変わらない。当分はぼくにとって目が離せない番組であり続けるだろう。

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