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- 2020年01月06日 08:04
【ストアアプリ】、プロが選んだ大手チェーンのアプリはターゲット!実店舗より重要に?

ミレニアルなどの若い世代はスマートフォンに依存するほど使い倒している。
大手チェーンストアも顧客にシームレスで便利な買い物を提供するためストアアプリの開発に莫大な投資を行っている。
これからの消費者はスマートフォンを使いこなして買い物を便利に行うことが予想できるからだ。
ストアアプリ開発を積極的に進める大手チェーンストアも企業間でアプリの使い勝手はまちまちとなっている。
ストアアプリの操作性の良さを分析するには、アプリストアのカスタマーレビューを参考にすれば良い。利用者が示した5ツ星評価のポイント数で、それぞれのストアアプリの使用感をフィードバックできるのだ。
操作性が低いとされた大手チェーンストアのストアアプリには5ツ星で2.2となったTJX、2.3のホールフーズ・マーケット、2.4のコストコとパブリクス、2.5のダラーゼネラルがある。
大人気の食品スーパーとなるウェグマンズもストアアプリは3.1と低い評価に甘んじている。チェーンストアではないが、アマゾンも3.3とストアアプリの操作性については意外に低い評価だ。
レジなしコンビニエンスストアのアマゾン・ゴーの入店時に必要なアマゾンゴー・アプリも4.3だ。
逆に4.9ポイントとパーフェクトに近い評価を受けているストアアプリにはサムズクラブ、ノードストローム、ターゲットがある。
中でもターゲットのストアアプリは大手チェーンストアで唯一、アプリ編集者がプロの視点でおススメする「エディターズ・チョイス(Editors' Choice)」に選ばれているのだ。
ターゲット・アプリは操作性に優れているだけではない。便利でお得な買い物ができるように特殊な機能が加えられている。
特にクーポン機能となるサークル・オファーズ(旧名はカートウィール)は秀逸だ。サークル・オファーズ(Circle Offers)はターゲットが提供する500〜700アイテムのディスカウントを値引きする機能。
値引き対象となる多くの商品が「アップ&アップ(Up & Up)」や食品の新プライベートブランド「グッド&ギャザー(Good & Gather)」などターゲットのプライベートブランド(PB)商品で、多くが5%〜10%の値引きとなっている。
値引き期間も短いものでは「当日1日のみ」から、最大1ヶ月以上にも及ぶ長期間のものもある。
利用者は購入したい商品をタップしてリストに加え、購入時にお店のレジでバーコード(スマートフォンもしくはプリントアウトで提示)をスキャンし値引きを受ける仕組みとなる。
サークル・オファーズは期限内であれば同一商品の値引きを何度も受けられることも人気の秘密となっている。
サークル・オファーズは店内で対象品をストアマップで見つけやすいようにする「ターゲット・サークル・ニア・ユー(Target Circle Near You)」機能がある。
使い方は店内でターゲット・アプリを起動し、ターゲット・サークル・ニア・ユーを開くとストアマップが表示される。
ターゲットのストアマップに利用者が青い丸点となって現在の居場所がわかるようになっているのだ。利用者の周囲にはサークル・オファーズの値引き商品が緑色のマークとなってストアマップ上で示される。
ストアマップの下には対象商品の画像と商品名、アイル(売り場の通路)番号が記されており、さらに見つけやすいようになっているのだ。
利用者が動いてもマップ上のサークル・オファーズ商品は動かず表示されたままとなっているため探しやすい。リフレッシュ・ボタンをタップしない限り、サークル・オファーズ商品が新たに表示されないのだ。
ターゲット・アプリには5%オフとなるレッドカード決済機能の「ウォレット(Wallet)」や簡単返品となるeレシート「店舗での購入履歴(Store Purchase History)」、履歴からすぐに再注文できる「再購入品(Buy It Again)」など便利な機能が満載となっている。
ターゲットは競合ウォルマートに対してオムニチャネルショッピングで遅れを取っているものの、ストアアプリではキャッチアップしているのだ。
5G時代となれば大手チェーンストアはストアアプリにさらに便利な機能が追加されていくのだ。
トップ画像:ターゲット・サークル・ニア・ユーで値引きされる商品をストアマップ上で探すIT&オムニチャネル・ワークショップの参加者。ターゲットのストアアプリはアプリ編集者がプロの視点でおススメする「エディターズ・チョイス(Editors' Choice)」に大手チェーンストアでは唯一選ばれているのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本より5年〜10年先をいくアメリカ流通業界はストアアプリ開発を加速させています。言い方を変えれば日本の流通業界は米国より5年〜10年遅れているため、ストアアプリを軽視しています。買い物に便利なストアアプリを提供している日本のチェーンストア企業は多くありません。第5世代移動体通信システムの5Gが普及すれば、スマートフォンは生活に浸透していきます。
日本の流通業者の多くがストアアプリの重要性を認識できていないのは高齢の企業トップや役員が、そもそもスマホやITに疎いからです。象徴的なのは某サイバーセキュリティ担当大臣による「パソコンは使わない」「USBってなんですか?」という発言、78歳のIT担当大臣の「デジタル化とはんこ文化の両立を目指す」発言、「2段階認証」を知らなかった大手チェーンストアの役員...身近なところでは若い参加者が多いのに米国流通視察でストアアプリをスルーする流通コンサルタントなど。
「エディターズ・チョイス(Editors' Choice)」に選ばれるストアアプリは必ず増えていきます。いい商品・サービスに買いやすい売り場で競争する時代は今や昔ですよ。