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池上彰が斬る「東京五輪」スポンサーファーストを変えよ!

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 2020年の最大のイベント「東京五輪」まで、あと7カ月半。ジャーナリストの池上彰氏は、こう語る。

「1964年の東京オリンピックがおこなわれたとき、私は中学2年生でした。終戦からわずか19年。あのころの日本は、まだあらゆる面で開発途上の国で、オリンピックを契機に先進国の仲間入りを果たそうとしていた時期でした。新幹線や高速道路が開通し、街は好景気に沸き立っていた。

 そしていま、日本はふたたびオリンピックを迎えます。今大会は、はたして『先進国となった日本』にふさわしいものになるのでしょうか。私はオリンピック、そしてパラリンピックが大好きです。だからこそ、『あえて言っておかなければならないこと』があると思っています」

 1964年の東京五輪で、日本は変わった。

「オリンピック開会式がおこなわれた10月10日は抜けるような青空で、NHKのアナウンサーは『世界中の青空を、全部東京に持ってきてしまったような……』と実況しました。

 しかし、じつはあのころの東京は、いまの北京も驚くようなものすごいスモッグで『こんなに大気汚染のひどい国で、マラソン選手を走らせていいのか』と海外から批判されたくらいだったのです。

 ところが、10月9日の夜から土砂降りになり、10日の未明にようやく雨が上がりました。雨でスモッグが洗い流されて、青空になったんです。

 汚ない話で恐縮ですが、『たんツボ』ってご存じですか? 大気汚染がひどかった当時の東京では、あちこちでペッペッとたんを吐く人がいたんです。対策として、各駅のホームに白い素焼きの『たんツボ』が置かれるようになったんですね。

 みんな、ポイ捨ても平気でした。青山通りなんか、風が吹くとゴミが舞い上がるんです。海外からお客さんが来るのに恥ずかしいというので『ゴミ一掃運動』がおこなわれました。都が各家庭に配布したパンフレットには『立小便はしないように』と書いてありましたね(苦笑)。

 電車の乗車マナーも最低で、ホームに電車が入ると、『われ先に』と殺到するんです。『整列乗車』がおこなわれるようになったのも、このころでした。オリンピックは、先進国のマナーを身につけるきっかけにもなったんです。

 そしてオリンピックはもちろん、経済成長にも寄与しました。都内には『オリンピック道路』といわれる道路があちこちにでき、東海道新幹線、首都高、モノレールも、整備されました。インフラ整備が進むことで、経済が発展する基盤になったのです。

 オリンピックが終わったとたん、今度は『オリンピック不況』がやってきます。1964年の実質経済成長率は13.1%でしたが、1965年には5.1%まで下がりました。それでも、5%というのは、いまと比べれば、はるかに高いのですが。

 ただ、2020年のオリンピックでは、1964年のような経済成長はもう望めないでしょう。日本が経済大国になったからです。日本は『先進国型のオリンピック』を目指すべきなんです」

 日本が目指すべきだった、「五輪の形」とは。

「私は、2012年のロンドンオリンピックがモデルになると思っています。かつてのロンドンには、さびれてゴミだらけの、非常に環境の悪い一画がありましたが、オリンピックを機に、そこを緑の公園にしたのです。

 メインスタジアムも、現在はサッカーチームのホームグラウンドなどに有効活用されるレガシーとなっています。ロンドンオリンピックは、環境に配慮した、コンパクトなオリンピックのお手本を見せてくれたのです。

 ちなみに、大会の予算は約1兆1830億円でしたが、実際に使われたのはそれを下回り、約1兆1350億円にとどまりました。東京の場合は、誘致の際に約7000億円だった予算が、どんどん膨らんでいます。先日の会計検査院の報告では、『最終的に3兆円以上になるのが確実』といわれています。

 当時の猪瀬直樹都知事は『国立競技場は改築するが、それ以外の施設は既存の施設を使う。世界一お金のかからないオリンピックだ』と言っていました。さらに、『日本の8月は、晴れの日が多く、温暖な気候で、スポーツにピッタリだ』と言って誘致したんですから、驚いてしまいます。

 先日、猪瀬さんはテレビで『プレゼンテーションはそんなもの』と居直っていましたが、ちょっとひどいですよね。東京も、今後のお手本になってほしいものですが、ロンドンと比べると、あまりにお粗末さが目につきます」

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