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映画「さよならテレビ」を見てきた


 気になる映画だった「さよならテレビ」を、東中野のポレポレで見てきた。

 私には日本におけるテレビ放送の草創期から、制作者として現場にかかわってきたという自負がある。アルバイトとして日本テレビの朝放送班で働いたのは1933年(昭和58年)で、それは放送開始から5年目のことだった。そして翌年の9月から、2回しかなかった「NHKの秋採用」に合格して、「みんなのうた」「われら10代」などの番組制作にかかわることになったのだった。そのころのテレビ放送は、「マスコミの新しいチャンピオン」として、世間の注目を集めていたのだ。そのテレビが、制作者(東海テレビ)の内側から「さよなら」と言われるようになったのだから、これは只事ではない。テレビはいま、どうしてそんなに力を失くしてしまったのだろう。

 その答えは、この映画を見ていても与えられたわけではないのだが、テレビが切り札ではなくなって、「あまり信用されない情報源の一つ」になってしまった現状は、理解できると思った。そこには明らかに「テレビの堕落」という現象がある。堕落とは、一般に「顧客に媚びる」ところからはじまる。そして考えてみると、テレビ放送(ラジオも同じだが)とは、もともと「実体」の存在しない「情報」だけを売る商売なのだ。その「顧客に媚びる」傾向は、私はほとんど見なくなっている民放の方で、より深く進行している可能性もあるかも知れない。

 とはいうものの、テレビの地盤沈下を嘆いてみても始まらないのだ。インターネットを主役とする情報革命は、地球を覆って進行している。テレビは「チャンピオン」ではなくなるかもしれないが、これからも有力なマスコミの一角であり続けるだろう。そして市民社会は、ますます多様化する情報に包まれながら、ゆるやかに形を変えて変えて行くにちがいない。

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