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- 2020年01月05日 15:07
Q 共同養育支援法(旧名称:親子断絶防止法)ではDV防止法の運用の改善を求めるとしていますが、DV防止法の運用に問題があるのですか。 - 弁護士 猪野 亨のブログ
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Q 共同養育支援法(旧名称:親子断絶防止法)ではDV防止法の運用の改善を求めるとしていますが、DV防止法の運用に問題があるのですか。
A 共同養育支援議員連名が押し進める共同養育支援法では、DV防止法の運用に問題があり、女性側によるでっち上げDVや、単にDVと申告するだけでDVを理由に連れ去りをしても行政がそれに加担し、居場所もわからなくなるのは問題として、DV防止法の運用の改善を求めています。
「求める立法」には次のように書かれています。
DV防止法の運用の改善を求めるという主張の最大の問題点は、DV申告を虚偽(でっち上げ)として疑っていることです。
議連の主張は、DVは厳しく処罰せよというのですが、DV防止法の運用の「改善要求とは表裏の関係にあります。DVは処罰せよというのですが、DV防止法の構造は裁判所の接近禁止命令や退去命令に違反した場合に刑罰が科せられるものです。直接の暴力行為を処罰の対象にはしていません。
議連がいうDVは厳しく処罰せよとは、直接の暴力行為を傷害罪、暴行罪で厳しく処罰せよということになるのですが、それはDV問題を極めて限定的なものに矮小化させることになります。
DVという暴力行為を処罰するためには、個々の暴力行為について客観的な有罪証拠がそろってなければなりません。DV加害者は暴力行為を否定するのが常で、しかも、家庭の中で目撃証言もない中で有罪立証ができる証拠を集めることは困難な場合も少なくなく、しかも刑事訴訟の大原則である疑わしきは罰せずという観点から判断されるため、有罪となりうる客観証拠がないために捜査機関が立件することも困難という場合もあります(DV防止法制定以前であれば捜査機関は門前払い)。
DV被害者がその場で110番通報しているような場合を除けば、DVそのものの暴力行為それ自体で立件できる場合が多いとは言えず、そのためDV防止法は、裁判所の命令に違反したという形式をもって処罰することになったわけです。
DV事件の場合は、刑事手続きでは有罪・無罪という観点からは無罪にならざるを得ない事案、それ故に捜査機関で事件として立件されない場合もありますが、それでも保護命令の必要性がある事件は当然に想定されています。裁判所の判断は、DV被害者の身の安全を確保することにありますから、個別の暴力行為を対象として有罪判決を下せるかどうかという刑事裁判の観点からなされるものではないからです。
逆にいえば、議連案は、個別の暴力事件について有罪処罰の証拠がないものについてはDVとして扱うなということでもあります。つまり保護命令を出すなという運用「改善」を要求している趣旨は、DVとは個別の暴力事件として有罪認定ができるものに限定しなければならないものであるにも関わらず、現在の裁判所の保護命令を発する基準がいい加減であり、DVでないものまで命令が出されていることを改善せよ、ということなのです。
しかし、これではDV被害者の身の安全は守れません。
A 共同養育支援議員連名が押し進める共同養育支援法では、DV防止法の運用に問題があり、女性側によるでっち上げDVや、単にDVと申告するだけでDVを理由に連れ去りをしても行政がそれに加担し、居場所もわからなくなるのは問題として、DV防止法の運用の改善を求めています。
「求める立法」には次のように書かれています。
DV防止法の運用改善 弁護士業界では、連れ去り・会わせない・DV主張が勝利の3点セットと言うそうです。 日本では、DVを女性相談センターなど相談するだけで受理されます。男性の言い分は一切確認されません。男性は言い訳をする、男性はしていないと嘘をつく、男性の言い分は聞く必要がないので、女性が相談しにくれば受理しなければならないという構造です。 そして行政に受理されたが最後、子どもの居場所は分からなくなります。 本当に女性は嘘をつきませんか?これが男女平等ですか?嘘をつく人かどうかは、性別ではなく、個人による違いではないでしょうか? ●真のDVは、厳罰に処されるべきです。警察の調査による証拠主義によって、真のDV加害者は逮捕され、罪を償うべきです。 ●ねつ造DVも厳しく処されるべきです。ねつ造DVは、子どもに対する人権侵害でもあります。 ねつ造DVをしたことが明らかになった際には、親権・監護権を失うといった厳しい対応が必要です。 ●DVを受理する際には、男女を等しく扱うべきです。女性がDV主張して認められることは、男性も認められるべきです。 |
DV防止法の運用の改善を求めるという主張の最大の問題点は、DV申告を虚偽(でっち上げ)として疑っていることです。
議連の主張は、DVは厳しく処罰せよというのですが、DV防止法の運用の「改善要求とは表裏の関係にあります。DVは処罰せよというのですが、DV防止法の構造は裁判所の接近禁止命令や退去命令に違反した場合に刑罰が科せられるものです。直接の暴力行為を処罰の対象にはしていません。
議連がいうDVは厳しく処罰せよとは、直接の暴力行為を傷害罪、暴行罪で厳しく処罰せよということになるのですが、それはDV問題を極めて限定的なものに矮小化させることになります。
DVという暴力行為を処罰するためには、個々の暴力行為について客観的な有罪証拠がそろってなければなりません。DV加害者は暴力行為を否定するのが常で、しかも、家庭の中で目撃証言もない中で有罪立証ができる証拠を集めることは困難な場合も少なくなく、しかも刑事訴訟の大原則である疑わしきは罰せずという観点から判断されるため、有罪となりうる客観証拠がないために捜査機関が立件することも困難という場合もあります(DV防止法制定以前であれば捜査機関は門前払い)。
DV被害者がその場で110番通報しているような場合を除けば、DVそのものの暴力行為それ自体で立件できる場合が多いとは言えず、そのためDV防止法は、裁判所の命令に違反したという形式をもって処罰することになったわけです。
DV事件の場合は、刑事手続きでは有罪・無罪という観点からは無罪にならざるを得ない事案、それ故に捜査機関で事件として立件されない場合もありますが、それでも保護命令の必要性がある事件は当然に想定されています。裁判所の判断は、DV被害者の身の安全を確保することにありますから、個別の暴力行為を対象として有罪判決を下せるかどうかという刑事裁判の観点からなされるものではないからです。
逆にいえば、議連案は、個別の暴力事件について有罪処罰の証拠がないものについてはDVとして扱うなということでもあります。つまり保護命令を出すなという運用「改善」を要求している趣旨は、DVとは個別の暴力事件として有罪認定ができるものに限定しなければならないものであるにも関わらず、現在の裁判所の保護命令を発する基準がいい加減であり、DVでないものまで命令が出されていることを改善せよ、ということなのです。
しかし、これではDV被害者の身の安全は守れません。