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年々早まる冬のバーゲンセール 80%OFFによる在庫処分でアパレル企業は「綱渡り」状態

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明けましておめでとうございます。2020年が始まりました。お正月といえば、初売りと冬のバーゲンが風物詩の一つです。現在ではほとんどの場合、1月1日か2日の初売りと冬のバーゲンが同時スタートになっています。

しかし、20代や30代前半の若い人はご存知ないでしょうが、20年くらい前までは初売りと冬のバーゲンは同時開始ではありませんでした。もちろん、初売りにもお買い得感のある目玉商品はありましたが、それは冬のバーゲン品ではありませんでした。冬のバーゲンは3が日明けからでした。

もっと昔は1月10日前後開始、さらにその昔は1月下旬開始で、年々バーゲンのスタート日が早まり、ついに初売りと同時開始となって、今に至っています。

写真AC

バーゲンセール前倒しで短くなる冬物の定価販売期間

バーゲン開始が年々早まった理由は、バブル崩壊後、特に97年以降の衣料品販売不振が最大の原因で、冬のバーゲンだけではなく夏のバーゲン開始日も年々早まっています。冬のバーゲンは今では12月にプレセールが始まり、1月1日か2日からバーゲン開始となります。

夏は、昔は7月下旬、そのまた昔は8月開始でしたが、今では6月からプレセールが始まっており、春夏物・秋冬物ともに定価販売の時期がどんどん短くなっています。また気温も昔に比べ、体感的には全般的に高くなっており、夏の猛暑に加えて暖冬の年が増えています。そのため、特に冬物は定価販売の時期がほとんどなくなってしまいました。

冬物、とりわけ防寒アウター(分厚いコート、中綿ブルゾン・ダウンジャケットなど)類は10月21日立ち上がりというのが業界標準となっています。それでいて12月からプレセールに入ってしまうわけですから実質的に定価販売期間は1ヶ月半ほどしかないということになります。

そして、年々、バーゲンの割引率は高まっており、現在では70%オフとか80%オフも珍しくなく、ストライプインターナショナルなどはそこからさらに「値札の70%オフからレジにて30%オフ」とか「値札の80%オフからレジにて20%オフ」という売り方をしているにもかかわらず、ひどい赤字にはなっていません。ではどうしてそうなるのでしょうか。

製造と小売一体型のビジネスモデルが実現した高い割引率

まず、衣料品の利益構造を考えてみましょう。90年代後半までは、衣料品というのは、メーカーが作り、専門の小売店がそれを仕入れて販売していました。メーカーと小売店の経営はまったくの別で、製造原価がだいたい定価の25~30%、それを小売店は定価の60%で仕入れていました。小売店の粗利益率は40%となります。

わかりやすく定価1万円の商品で考えると、3000円が製造原価、6000円が仕入れ値、4000円が小売店の粗利益ということになります。ですから90年代後半までは70%オフとか80%オフという店頭での値引きはほとんど見かけませんでした。なぜなら、確実に小売店は赤字になってしまうからです。

しかし、90年代後半からはSPA(製造小売り)と呼ばれる製造と小売の一体型ブランドが躍進しました。その代表はユニクロであり、百貨店メーカーとして著名なオンワード樫山やワールド、ファイブフォックスなどもSPAに業態を変更しました。

経営が別の小売店へ卸売りをするわけではありませんから、ひどく簡略化して説明すると、定価1万円の商品を3000円で製造して、直営店で売ったとすると粗利益は7000円あるわけです。ですから、70%オフしても製造原価は確保できるため赤字にはならないということになります。

厳密にいうと、経費を差し引けば赤字になるのですが、大きな損失は出にくいということになるため、70%オフでも計算上での経営は成り立つということになります。

そのため、SPA型にすればアパレル企業はまだまだ収益化できると、90年代には考えられていたのですが、実際はそうではありませんでした。特にほぼSPA化されたはずの大手百貨店アパレル各社はずっと経営難に苦しんできました。

ワールド、ファイブフォックス、イトキン、TSIホールディングス、三陽商会そしてオンワード樫山などが経営難で大規模閉店していることは皆さんご存知の通りです。様々な理由はありますが、まず、バブル崩壊後の価格破壊ブームで洋服の定価が下がったということが考えられます。

圧倒的枚数を生産するユニクロの台頭がもたらした低価格志向

Getty Images

その代表事例が98年頃のユニクロのフリースブームです。それによって、アパレル業界が雪崩を打って低価格志向となりました。原価率や粗利率が変わらなかったとしても、商品単価が下がれば、それぞれ原価も粗利益額も下がってしまいます。

また、同じSPA型ブランドと言っても、ユニクロとワールドやオンワード樫山などの大手百貨店向けアパレルでは、ブランドのビジネスモデルが異なります。

ユニクロの場合は1型で約100万枚という圧倒的な数量を生産します。一方、ワールドやオンワード樫山などは、会社そのものの売上高は2000億円以上ありますが、個々のブランドはユニクロほど大型ではなく、20億~200億円くらいのブランドの集合体ということになります。

そのため、各ブランドの生産数量はユニクロほど多くありませんし、デザインも価格帯もバラバラということになり、生産の集約化が簡単ではありません。そのため、ユニクロよりも1枚あたりの生産コストが高いということになり、利益を圧迫します。

また、各社、各ブランドともに企画生産を外注化しており、OEM(相手先ブランド名での製造請負)・ODM(相手先ブランド名でのデザインから生産までの請負)の担当会社にデザイン製造から生産までを任せています。そのため、そこにマージンが発生します。またOEM・ODMも1社だけではなく、何社かが挟まっていることも珍しくなく、その分マージンが発生して高コスト体質となります。

材料費や縫製費用はそれほど高くなくても、幾重にも重なったOEM・ODMへのマージンが膨れ上がってしまい、90年代後半に想像されていたほどの粗利益額を稼げなかったといえます。

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