記事
  • 東龍

木村拓哉氏主演「グランメゾン東京」はどこまで正しい? ロス後も楽しめる15の検証

1/2

今クールのテレビドラマ

今クールのテレビドラマの中で、何が最も印象に残っていますか。

普段はあまりテレビを観ず、芸能界にも疎い私でも注目していたものといえば、木村拓哉氏主演のTBS『グランメゾン東京』。

なぜかといえば、美食とミシュランガイドをテーマにした食のドラマだからです。

フランス・パリで20年以上も三つ星を維持している「ランブロワジー」で撮影があったことは非常に驚きでした。

なぜならば、これだけの名店でありながら、撮影に協力することはほとんどないからです。オーナーシェフのベルナール・パコー氏は制作陣が信用できると述べています。

本物を追求

本物を追求したドラマでもあります。

というのも、ミシュランガイド三つ星「カンテサンス」オーナーシェフ岸田周三氏とニつ星「INUA」シェフのトーマス・フレベル氏が料理を監修しているからです。

デザートに関しては、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイでエグゼクティブペストリーシェフを務める徳永純司氏が監修しています。

本物の美食を見せたいという制作陣の本気度が伝わってくるでしょう。

『グランメゾン東京』のあらすじ

『グランメゾン東京』のあらすじを説明します。

木村氏が演じる尾花夏樹はフランスでミシュランガイドニつ星を獲得した「エスコフィユ」の天才オーナーシェフ。三つ星を狙っていたところ、ある致命的なアクシデントによって信用も信頼も失い、自身のレストランを捨てて行方をくらましてしまいます。

数年後、鈴木京香氏が演じる早見倫子とたまたま出会い、東京で一緒にレストラン「グランメゾン東京」をオープンすることになり、三つ星を目指すという内容です。

レストラン、しかも、ミシュランガイドという食の道標となる評価に挑んだドラマとあって、どこまで忠実に再現されているのかと興味をもって観ていました。

最高級レストランを意味する

『グランメゾン東京』の「グランメゾン」はどのような意味をもっているのでしょうか。

レストランの記事で「グランメゾン」という表現を見かけることは少なくありませんが、フランス語で「Grande maison」と記し、「グランドメゾン」と読むのが正しいです。

「大きな家」「大きな邸宅」という意味になりますが、日本では「高級レストラン」「最高のレストラン」を意味するのに用いられています。

どれくらい再現しているのか

『グランメゾン東京』では本物が追求されていると述べましたが、どこまで実際のレストランや業界が再現されているのでしょうか。

  • 賃料
  • 規模
  • 「gaku」の存在
  • サービススタッフ
  • 経歴
  • 労働環境
  • トップレストラン50
  • ミシュランガイドの評価
  • ミシュランガイド発表会
  • 前哨戦
  • 上下関係
  • 事件
  • ハーブ
  • マナー
  • エスコフィユ

以上の点からそれぞれ検証してみたいと思います。

ドラマ名とレストラン名が同じで紛らわしいので、ドラマ名を表現する時には『グランメゾン東京』、レストラン名を表現する時には「グランメゾン東京」と記すようにしています。

賃料

倫子と尾花がオープンした「グランメゾン東京」は34席を有していますが、どれくらいの規模感なのでしょうか。

なかなかダイナミックなオープンキッチンを擁しているので、店舗全体の45%程度がキッチンであるとします。画面からテーブル間隔は一般的なファインダイニング程度に見えるので、1坪1.7席とすると店舗面積は36坪程度。

「グランメゾン東京」は40坪という設定なので、だいたい合ってそうです。

場所は人気エリアの目黒区ですが、駅から徒歩10分くらいの距離であれば、路面店であっても、月の賃料は70万円くらいになるのではないでしょうか。

『グランメゾン東京』では月50万円の賃料だったので安いような気もしますが、倫子が「駅から遠すぎる」と述べているので、徒歩15分以上であれば、このような格安物件が見付かるのかもしれません。

規模

ミシュランガイドで星をとっているフランス料理店の席数を確認してみましょう。

三つ星であれば、「ロオジエ」46席、「ジョエル・ロブション」40席、「カンテサンス」38席です。

ニつ星ではANAインターコンチネンタルホテル東京「ピエール・ガニェール」52席、「ベージュ アラン・デュカス」50席、「エスキス」46席、「レフェルヴェソンス」40席、「エディション・コウジ シモムラ」34席、「ナベノ-イズム」24席、「フロリレージュ」22席。

一つ星では「メゾン ポール・ボキューズ」186席、帝国ホテル 東京「レ セゾン」94席、「クレッセント」90席、マンダリン オリエンタル 東京「シグネチャー」75席、ホテルニューオータニ「トゥールダルジャン」60席、「タテル ヨシノ 銀座」58席、ザ・リッツ・カールトン東京「アジュール フォーティーファイブ」38席です。

同じ一つ星でも「アルシミスト」14席、「オルグイユ」12席、「ル・コック」11席、「アルゴリズム」8席と、20席未満のところも少なくありません。

ホテルのフランス料理店の場合には、メインダイニングという意味合いも強く、多くのゲストに対応する必要があるため、席数が多い傾向にあります。

ミシュランガイドは料理のみを調査対象にしていると述べていますが、レストランの規模はキッチンの設備や雰囲気に大きな影響を与えるもの。三つ星を狙うのであれば、他の三つ星フレンチと遜色のない30席以上はほしいところです。

したがって、34席を有する「グランメゾン東京」は三つ星フレンチに挑戦するギリギリの規模ではないでしょうか。

「gaku」の存在

手塚とおる氏が演じる江藤不三男がオーナー、尾上菊之助氏が演じる丹後学がシェフを務める「gaku」は、「グランメゾン東京」のライバルとして、ドラマの味わいにピリッとした緊張感を与えています。

「グランメゾン東京」のロケ地はレストランではありませんが、「gaku」のロケ地は存在するレストランです。

そしてそれは、フランス料理界の巨匠であるポール・ボキューズの伝統を引く「メゾン ポール・ボキューズ」。2つのダイニング、サロン、バーラウンジ、大きな個室も有した、186席の非常に大きなレストランです。

江藤や丹後の存在感に加えて、正真正銘のグランメゾンがロケ地に使われていることが、リアルさを演出できている要因ではないでしょうか。

サービススタッフ

当初は沢村一樹氏が演じる京野陸太郎しか、サービススタッフがいませんでした。

キッチンスタッフもサーブするスタイルをとっているとはいえ、34席なので8テーブルほどあり、ワインペアリングも行っているとなれば、サービススタッフは最低でも2人はほしいところ。閑散期以外では1人で回すのは現実的に難しいでしょう。

ただ、後半からは、ソムリエ資格を有する中村アン氏演じる久住栞奈がサービススタッフとして参加します。

京野も久住もワインに精通しているので、ファインダイニングとしてだいぶ現実的な感じです。

経歴

フランスでミシュランガイドの星を獲得する日本人シェフはだいぶ増えてきました。特にこの2019年は新しい一つ星の日本人シェフが増えて、日本勢がますます注目されています。

その中でも、日本人シェフとして最先端をいくのは、「Kei」の小林圭氏と「Passage 53」の佐藤伸一氏。2人ともニつ星を獲得しており、日本人初の三つ星を狙っています。ただ、「Passage 53」は2019年1月に閉店して別の店になっており、佐藤氏は次なるレストランをオープンするために準備中です。

フランスの日本人シェフの中に、尾花のモデルとなるような料理人が存在するような気もします。しかし、ニつ星のオーナーシェフで突如行方不明となった天才料理人は見当たりません。

では、尾花の経歴をどう捉えればよいのでしょうか。

世界各国から「ランブロワジー」で働きたいと押し寄せる料理人はいくらでもいるので、尾花が採用されたのは料理人として見どころがあったのは確かです。

ただ、どのポジションまで昇格したのか、わかっておらず、「ランブロワジー」前の経歴も説明されていないので、何ともいえないところはあります。

しかし、「ランブロワジー」を辞めた後、オーナーシェフとしてパリにレストランをオープンし、すぐにニつ星を獲得できました。

これだけでも、フランス料理の日本人シェフとして最も成功していると考えて間違いないでしょう。

※尾花はスーシェフまで務めたと情報をいただきました。(2020/1/1)

労働環境

レストランで働くのは肉体的にも精神的にも楽ではありません。

営業時間だけではなく、オープン前に仕込みやミーティングを行ったり、クローズ後に片付けや反省会を行ったり、アイドルタイムに雑務を片付けたり、さらには、それ以外の時に新メニューを開発したりします。

拘束時間は非常に長く、まさに朝から晩まで働き、家に帰ったら眠るだけという環境です。休みも週に1日であり、クリスマスや年末年始をはじめとした書き入れ時には、もちろん休めません。

町場のレストランよりもホテルのレストランの方が、まだ労働環境はよいですが、それでもサービス業であることに変わりはないでしょう。

こういった労働環境であることを前提にすれば、『グランメゾン東京』で倫子が「自分の家族やお店の仲間を幸せにできないような人が、お客さんを幸せにできない」と述べたことは大きな意味をもちます。

そして、及川光博氏が演じる相沢瓶人のために、夕方までの勤務でいいと働き方改革を行ったのは、非常に現代的な施策であったといえるでしょう。

実際のところ、飲食業界で働く人々が過酷な労働環境で疲弊していること、それによって、働く人が少なくなっていることに危惧を覚えるオーナーは少なくありません。

そういったオーナーは、ランチ営業をやめて負担を減らしたり、週休2日制を取り入れたり、給与水準を引き上げたり、海外視察を兼ねた慰安旅行を行ったりと、環境を改善しています。

フランス語のレストランという言葉には「回復させる」「癒す」という意味があるだけに、人々を癒すには、まず自分たちが心身ともに健康でなければならないという考え方は、本質的なところでしょう。

あわせて読みたい

「グランメゾン東京」の記事一覧へ

トピックス

議論新型コロナウイルスに向き合う

ランキング

  1. 1

    アイリスオーヤマ製TVの凄さとは

    WEDGE Infinity

  2. 2

    ナイキCMを100%褒め称える危うさ

    倉本圭造

  3. 3

    堀江氏「桜疑惑は些末な問題」

    ABEMA TIMES

  4. 4

    凋落の新聞社 報道の行く末とは

    ヒロ

  5. 5

    10代死亡はミス? 厚労省の大誤報

    青山まさゆき

  6. 6

    コロナ報道の正確性に医師が疑問

    名月論

  7. 7

    細野氏「国会機能が明確に低下」

    細野豪志

  8. 8

    堀江氏「医療崩壊の原因は差別」

    ABEMA TIMES

  9. 9

    引退後も悪夢 アスリートの苦悩

    山本ぽてと

  10. 10

    菅首相の会見「無に等しい内容」

    大串博志

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。