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ゴーンさんが「日本の人質司法」を理由に国外逃亡した件で

 年末から年始にかけて、あまりにも面白かったので、久しぶりに休みをきちんと取れている法曹界の人たちも正月休みが吹っ飛んだ皆さんも顔真っ赤にして騒いでいるのが興味深いわけであります。

 しっかりとした話はよそに寄せるつもりですが、いわゆる日本の中世的な人質司法についての批判はごもっともで、実例を聞くにつけ少しはどうにかして欲しいと思う傍ら、だからといって日産CEOだったほどの人が傭兵雇って楽器箱に隠れてプライベートジェット乗って飛んでくもんなのかね、と思います。

 しかも、逃げて行った先がレバノンで、そこ、司法の独立性67位のところであって(我が日本は5位)、もうちょっと善後策を考えて手配すればよかったのに、と思うんですよね。たぶん、海外から日本の司法の在り方は前近代的だと大騒ぎするのでしょうが、でも適法性を欠く形で公判ぶっちぎって逃げちゃったことを考えればどうしてもゴーンさんには泥棒批判が湧きおこることもあるんじゃないかと。

 もしも本当に我が国が前近代的だったとするならば、鎌倉武士的に恥をかかされた日本の司法の皆さんがゴーンさんのところに忍者を送る展開だと思うんですよ。きっと今月中にはゴルゴ13でどこかで見たことのある人が眉間を撃ち抜かれたりします。

 また、弁護人の問題だ、司法は何をしているのか、といろいろ言われることもあるかもしれませんが、実際には警察庁も含めた広い意味での当局側の落ち度にされてしまいかねない案件なので、なぜそういう事案を掴めなかったのかも含めてきちんと調査し、場合によっては事件化して、逃亡の手助けをした企業や組織、人物については洗い出しをしてほしいものです。

 当局に求められる「視察」と、本件のような逃走防止のための「監視」とは本来別なんですが、例えば弁護団が大見得を切って保釈を勝ち取った後で、正面突破して被告が国外逃亡してしまったとなると「そもそもなぜ国外に出られたんですかい?」という議論にまでなってしまうんですよ。逃亡の手口についてはすでに報道が出ていますが、それが確報だとするならば、日本の不当な裁判手続きに抗議するために違法な逃走をしましたという話になるんで、まあおそらく最初から法律を守ることをちゃんと考えて動くような人ではそもそもなかったということになってしまいますね。

 翻って、どうしても今回は人質司法の問題にされがちな展開ではあるものの、実際には「何で取り逃がしたんだ?」という出入国管理も含めた警邏当局の問題でもあるわけです。ぶっちゃけ、ゴーンさんのことだったからみんな「あー、逃げてったのかw」と笑っていられるんですけれども、これが本格的な国際犯罪に類するものであったり、富裕層や外交特権を持つ人々を介して行われる犯罪が、実は地方都市の飛行場や港湾で自在に内外へ行き来しながら行われてきたのだとするならば問題だよなあと思います。

 つまりは、日本の制度、ルールに則って保釈されたのに、保釈条件を自ら破って海外逃亡をしたわけなので、日本の司法制度が中世であるとか人権的に問題だというのは後付けの話なんだろうなあとは思います。んで、富裕層がガチで国外に出ようとして、このような不適切な形でも国外逃走しようと思えばできてしまう、というあたりに我が国の悩ましい問題が横たわっているなあと思うわけであります。

 では、これがカナダのファーウェイ副社長の猛晩舟さんが留め置かれているとして、彼女が不適切なアプローチで中国に逃亡できるのか(その後のことも考えてやらないとは思うけれども)、ということも含めて、非常に味わいの深い事件だなあと感じますね。

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