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2019年読むべき政治本、韓国・中国本3選 日本政治を考え、中韓を理解するための基本書

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【韓国の現在地】日韓関係を考えるための三冊

選者・木村幹(神戸大学大学院国際協力研究科教授)

「戦後最悪の日韓関係」という言葉が幾度も使われた2019年、世論の高い関心を背景にしても数多くの韓国や日韓関係に関わる著作が出版された。しかしながら、その中にどれほどこれらの問題に真剣に取り組んだものがあったか、といえば甚だ疑わしい。なぜならその多くは、韓国語や勿論英語の資料をも利用せず、インターネットのあちこちに転がっている「落書き」に近い根拠不明の情報をかき集め、日本社会における韓国に対するステレオタイプにそって、ならべたものに過ぎなかったからである。

さて、そのようなお世辞にも「豊作」とはいえなかった、2019年の韓国や日韓関係に関わる出版物の中でも、異彩を放っていたのが次の三冊である。

新城道彦ほか『知りたくなる韓国』

有斐閣

知りたくなる韓国

第一は新城道彦ら編著『知りたくなる韓国』である。「普通に知りたい隣国のこと」という書籍の帯からも明らかなように、日韓関係が悪化する中「メッセージ過剰」な書籍が大半を示す中、淡々と韓国の歴史、政治、社会、文化の4つの観点から今の韓国を語る同書は貴重な初心者向けの入門書となっている。

池畑修平『韓国 内なる分断:葛藤する政治、疲弊する国民』

平凡社

韓国 内なる分断: 葛藤する政治、疲弊する国民 (平凡社新書)

第二に、時事問題を扱った書籍として、池畑修平『韓国 内なる分断:葛藤する政治、疲弊する国民』を挙げたい。わが国では恰も日本に対して「反日」一枚岩であるかのように語られがちな韓国では、兼ねてより深い社会の断絶が進んでおり、それこそが同国の国際社会に対する動きにも影響を与えている。そんな韓国の悩みとメカニズムを知るためにうってつけの一冊である。

山本晴太ほか『徴用工裁判と日韓請求権協定』

現代人文社
徴用工裁判と日韓請求権協定: 韓国大法院判決を読み解く

最後に、現在の日韓間の最大の懸案となっている元徴用工問題については、山本晴太ら著『徴用工裁判と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』を挙げたい。両国政府対立の以前に、この問題にはかつて日本の戦争の為に動員され、協力を強いられた当事者たちが存在する。その後、彼らは日韓関係の中をどう生き、今何を考えているのか 。そんなことを考えながら、同書を紐解けば、この問題の見方も変わってくるに違いない。

木村幹
1966年大阪府生まれ。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。著書に『日本の常識は通用しない 慰安婦合意反故「法より正義の国 韓国」』、『朝鮮半島をどう見るか』、『韓国における「権威主義的」体制の成立』『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』など。

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