- 2019年12月31日 10:32
2019年読むべき政治本、韓国・中国本3選 日本政治を考え、中韓を理解するための基本書
1/4BLOGOSでは、2019年の締めくくりに各ジャンルで注目すべき本を識者が紹介。
第二弾となる今回は「政治のいま・韓国の現在地・中国を知る」というテーマで、第一線で活躍する専門家が今年出版された本から注目の三冊を選んだ。
小説・マンガ編はこちら→
2019年読むべき小説・マンガ3選 中国の伝説的SF小説が日本上陸、漫画部門では40代の悲哀描く作品に注目
【政治のいま】日本の政治を知る三冊
選者・坂本治也(関西大学法学部教授)
遠藤晶久、ウィリー・ジョウ『イデオロギーと日本政治―世代で異なる「保守」と「革新」』
(新泉社)

政治の世界は複雑で難しい。だからこそ、保守―革新のイデオロギー軸は、1つの便利な「ものさし」として重宝されてきた。しかし、本書が明らかにしたのは、その「ものさし」の意味が時代とともに変化してきた、という衝撃的な事実である。
若年層は維新を「革新」、共産を「保守」と位置づけるのだ。気鋭の政治学者である著者らは、膨大な世論調査データを丁寧に分析することによって、日本の有権者のイデオロギーと政治行動の実相を多面的に描き出すことに成功している。
曽我謙悟『日本の地方政府―1700自治体の実態と課題』
(中央公論新社)

政治といえば、とかく中央の政界や政局の話題に集中しがちである。しかし、福祉、教育、ごみ処理などを担う地方政府の存在は本来決して軽視できない。知っているようで知らない地方政府の実態、制度、構造、歴史を、政治学・行政学の最新の成果を踏まえつつ、一挙に学べるのが本書である。
著者は行政学・地方政治研究の第一人者であり、概説書でありながらも、骨太かつ鋭い主張が縦横無尽に展開されている。「この先30年は乗り越えられないであろう決定版」と評される名著をぜひ皆さんにも味わっていただきたい。
富永京子『みんなの「わがまま」入門』
(左右社)

民主政治の第一歩は「声をあげる」こと。しかし、日本人はその第一歩目から、つまずいている。なぜ私たちは人前で意見を言うことをかくもためらうのか。なぜデモなどの社会運動に冷淡なのか。どうすれば私たちの消極姿勢は変わるのか。本書は、中高生でも興味をもてるような身近な話題を随所にちりばめつつ、私たちの「つまずき」の原因とその立て直し方について、一緒になって考えてくれるような本だ。決して説教くさくない、多様な可能性に開かれた著者独特の語り口は、ぜひ若者にこそお薦めしたい。
坂本治也
1977年兵庫県生まれ。2005年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学、博士(法学)。琉球大学准教授を経て、現職。専門は政治過程論、市民社会論。主な著書として『ソーシャル・キャピタルと活動する市民』、『現代日本のNPO政治』、『市民社会論』、『寄付白書2017』、『現代日本の市民社会』など。
選者の一冊
独立行政法人経済産業研究所(RIETI)での共同研究の成果をまとめた最新の研究書。一般社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、NPO法人、協同組合などの多種多様なサードセクター組織への質問紙調査により、日本の市民社会の実態を多角的に描き出した。「組織ばなれ」や社会運動忌避についても論じている。政府とも企業とも異なるが、一定の政治・経済機能を有する存在である市民社会の<現在地>を理解する一助になれば幸いである。




