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「出会いさえあれば、未来はきっと変わる」NewsPicksが学生用コミュニティを始めた理由

ビジネスパーソン向けソーシャル経済メディア「NewsPicks」が、あらたに学生向けコミュニティ「HOPE by NewsPicks」を開始すると11月に発表した。これに合わせ、同社は無料で希望者に郵送する小冊子「HOPE magazine」を発行する。

NewsPicksが発行する「HOPE magazine」

「HOPE magazine」はNewsPicksアプリ上の申し込みフォームに住所を入力することで郵送される仕組みだ。表紙はプロサッカー選手の本田圭佑氏やエンパワーメントメディア「BLAST」編集長の石井リナ氏、写真家の幡野広志氏の3種。申し込むことで3冊がひとつの封筒で届けられる。

経済メディアが発行する冊子ではあるものの、よくあるビジネス解説などは一切無し。取材対象者たちが「どう生きたいか」ということだけにテーマを絞って話を聞いている。溌剌なデザインも相まって、カルチャー誌のような出来映えだ。

経済メディアが学生向けマガジンを作った理由

この一風変わった取り組みについて、「HOPE by NewsPicks」編集長の呉琢磨さんは、「興味を持ちそうな友達に直接配って欲しい」とその意図を明かす。実はこの仕組み、かつてNewsPicksが若手社会人向けに配布していたタブロイド版「HOPE」と同じものだ。あらゆる人がスマホでコンテンツを消費する時代、ネット上にコンテンツをシェアすることは多々あっても、友達に手渡しでシェアする機会は少ない。学生に自分の手で周囲に働きかける経験をしてほしいという意図を込めて、今回も継続したそうだ。

「HOPE by NewsPicks」編集長の呉琢磨さん 撮影:弘田充

「HOPE by NewsPicks」が若手社会人から学生向けにリニューアルしたのは、呉さんがNewsPicksでの活動を通じて感じたこともきっかけのひとつだという。

「NewsPicksで起業家や若いビジネスパーソンたちの新しいチャレンジを取材していると、『この人はビジネスを通じて本当に志が高くて、自分の志や価値観を社会に提示しているな』という人に出会う。彼らの考え方や意識を、自分の生きる道を考え始めたばかりの学生たちに届けることで、世の中も変わるんじゃないかと思ったんです」

「出会いさえあれば、未来はきっと変わる」

優秀層を除けば、就職活動を通じて「社会」に初めて触れるという学生がいまだ大半だろう。それこそ、ビジネスパーソンたちが数多く参加するNewsPicksのような場でコメントする学生は少数派。目的は、これまでにないユーザー層の獲得では?とやや穿った質問をしたところ、呉さんは苦笑いしながらこう答えた。

「もちろん、NewsPicksを使って欲しいというのもあります。でも、HOPEの一番のエビデンスは、実は僕なんです」

「HOPE」について紹介するための資料のなかで、呉さんは自身を「NewsPicks低学歴代表」と表現していた。事実、呉さんは俗にいう、「意識の高い」若者ではなかったという。高校中退後、いくつかのアルバイトを経験したが、当時は将来の見えない不安のなか、「なるようになればいい」と考えることもあったそうだ。しかし、編集の仕事に携わるようになり、5年前NewsPicksに入社したことで考え方が変わっていった。

自身の経験もあり、呉さんの「HOPE」への思い入れは強い 撮影:弘田充

「僕は16歳で高校を辞めて、18歳から編集の仕事をしていますが、今思えばあり得ないくらい学ぶということを経ていなかった。ずっとフリーランスだったので、組織に受け容れられる自信もなくて、NewsPicksに入社したときも、最初は『俺、ここにいて大丈夫なのか』と思っていたくらい。でも、普通に受け入れてもらえたんですよね。新しい価値観や大きな目標をもった組織や仲間は世の中に存在しているし、ごく普通の若者達だって出会いさえあれば、未来はきっと変わるし、可能性も開けるはず。もしかすると、僕が一番HOPEを信じたいと思っているのかもしれません」

「希望をつくる」ことは「社会に価値をつくる」こと

HOPEのキャッチコピーは「若者の未来に希望を」。その次には、EXPAND、REALIZE、CONNECTという3つのコンセプトが並んでいる。それぞれ、「自分が関わる世界を広げる」「社会のことを知る」「他者と繋がっていく」という意味が込められているそうだ。

「HOPEを準備するにあたって、何人かの学生に話を聞いたところ、そのなかに『自分たちの将来は不安だ、不安だから知りたくない』と話してくれた子がいたんです。それを聞いて『自分もそうだった』と思って。知るのが怖いことは知りたくない。それはよく分かる。でも、それを打ち破りたい」

それまでの柔らかい雰囲気から一転、語気を強めて呉さんは続ける。

「僕は『希望をつくる=社会に価値をつくる』ことだと思っています。HOPEを読んだり参加してくれたりした人には、社会の中で自分がどう生きたいか、学生のうちにしっかり考えて欲しい。それはちゃんと社会につながっていくから」

「HOPE」のコンセプトに共感し協力を申し出るビジネスパーソンも多いという 撮影:弘田充

呉さんいわく、「『HOPE by NewsPicks』はオンラインコミュニティ、マガジン、イベントでワンセット」。22日には、「HOPE Day」という、自らの意思でキャリアを切り開いていった銘打った経営者や起業家たちが登壇する学生向けイベントもおこなった。呉さんはリアルな場も大切にしたいというが、「あくまで今回はβ版」とのことで、次回以降の展開についてはまったくの未定。果たして学生たちにあらたな希望は灯るのか、今後の展開にも注目だ。

『HOPE by NewsPicks』(外部リンク)

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