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帰省中に「妻より母」を優先した夫たちの末路

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年末年始の帰省が、離婚のきっかけになることがある。なぜなのか。夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は「夫が母親の味方をすると、妻の反発を招くことが多い。事をスムーズに収めるためには母より妻を優先することだ」という——。


2018年1月2日、東京方面へのUターンラッシュで渋滞する東名高速道路 - 写真=時事通信フォト

■夫婦に「しこり」を残す帰省

年末年始は、一年のなかでももっとも長く夫婦の時間が取れる時期。多忙なビジネスパーソンにとって、仕事を離れ家族と過ごすことのできる貴重なひとときであることは間違いない。

ところが、そんな時期にも離婚の危機は潜んでいる。キーワードは「帰省」だ。自宅で夫婦や自分たち家族だけで過ごすときに生じるトラブルは、比較的簡単に収拾がつく。その一方、帰省中にどちらかの実家でお互いの両親や親戚を巻き込んだもめ事は、後々までしこりを残す事態に発展することが少なくないのだ。

実際に年末年始の帰省がきっかけで、離婚の危機を迎えた夫婦のケースを紹介する。

■【Case1】義母の手料理をめぐって嫁姑のバトルが勃発

「煮物の味がお菓子みたいに甘すぎる」

4年前に結婚したAさん(34歳・男性)は、年末になると東京から車で2時間のところに住むAさんの実家に9歳年下の妻と夫婦で訪れ、Aさんの両親と4人で年始を迎えることにしていた。実家では、Aさんの母親が4人では食べきれないほどの量の料理をつくって待っているのが恒例行事。

ところが、若い世代の妻は義母のつくる手料理になじめなかった。「煮物の味がお菓子みたいに甘すぎるし、そもそもおせち料理自体も苦手。私の母は料理が不得意で、実家のお正月はいつも外食だった。だから夫の実家で何日も似たような味付けの料理を出されても、全然食べる気がしなかったんです」。好みではない義母の手料理を「もっとたくさん食べなさい」などと強要されるのも苦痛に感じていたという。

立ち回りに失敗、妻と母にそっぽを向かれた

滞在4日目にして義母の手料理がまったくのどを通らなくなったAさんの妻は、Aさんに内緒で宅配ピザを注文。Aさんの運転する車で義両親が買い物に出掛けている間に、居間でひとりテレビを見ながらピザを食べていたところ、予定を早めに切り上げた3人が帰宅。悠然とピザを頰張っている嫁の姿を目撃した義母は「私の料理よりピザのほうがおいしいっていうの?」と激高。

ところがAさんの妻は義母の怒号にひるむことなく「はいそうです」と認め、「Aくんだって、そう思っているはずですよ。いつも『オフクロは料理が下手だからな』って話していますから」と冷静に反撃したのだった。

嫁姑のトラブルに、予期せぬ形で本人も巻き込まれた形になったAさんは、突然のことにうまいフォローもできずオタオタするばかり。「とりあえず、帰るわ」と妻をつれて帰宅したものの、以降も嫁姑の間に生じた決定的な亀裂を修復することはできないまま。妻からは、「そんなにお義母さんが大事なら、一生ママにご飯をつくってもらえば?」と離婚を切り出されたのだった。「結局、自分がうまく立ち回れなかったことで、妻からも母親からも信頼を失ってしまったんでしょうね」。

■【Case2】気遣いゼロの夫の発言にブチ切れた妻

息子が尻に敷かれているのではないか

Bさん(48歳・男性)も、上手に妻をフォローできずに離婚の危機を招いた男性のひとり。しかもBさんの場合、女手ひとつで育ててくれたことも手伝って、妻よりも自分の母親の肩を持ってしまったのだから始末が悪い。

今年の元旦、新年の挨拶(あいさつ)をしにBさんの実家に夫婦そろって訪れた際、「オレも念願かなって独立したことだし、今年は母親にもお年玉をあげようと思う」と、母親にお小遣いをあげることを自ら提案したBさん。「いいんじゃない?」と賛成した妻は、10万円分の新券の入ったポチ袋を用意し、「お義母さん、今年もよろしくお願いしますね」と帰省後、挨拶の後で手渡したという。

ところが、息子の嫁からお小遣いを受け取った義母は、複雑な表情を浮かべてこう言ったという。「これは、Bの稼いだお金でしょう? それを全部アンタが管理しているのかい?」と。義母は、妻に尻を敷かれていると誤解し、息子を不憫(ふびん)に思ったようだった。

何げない夫の一言が、本音に感じられた

Bさんの妻は、隣でやりとりを聞いていた夫がしっかり誤解を解き、フォローしてくれるはずと思いきや、現実は真逆の展開が待っていた。Bさんは、母親に同調するように「そうなんだよ、お母さん。オレがいくら頑張って稼いでも、こうやってコイツが全部派手に使っちゃうんだよね。お小遣いももらえないんだよ。なぜかオレにはケチなんだよな」と母親に言ったのだ。

冗談めかして言ったつもりのBさんだったが、これまで20年以上、家計が苦しい時もパートに出たりしながら乗り切ってきた妻にとって、夫の発言は許しがたいものだったという。「もしかして、それが夫の本音だったのかと思ったら悲しくなりました。私なりに頑張ってきたけれど、この先もう、夫を支える気持ちはないですね」。何げない夫の一言が、妻の心が離れる原因にもなる場合もある。

■【Case3】召し使いとして散々こき使われることに耐えられなかった妻

「あなたの家とはもう付き合えません」

「あなたのことは嫌いじゃないけれど、あなたの家とはもう付き合えません」と宣言され、新年早々妻が去ってしまった男性もいる。Cさん(37歳・男性)の実家は自営業で、Cさんも子どもの頃から実家の仕事や家事の手伝いはもちろん、弟妹の世話までとにかくよく働いたという。

「起きている間は、とにかく働け」と言われ、座ることを許されなかった家庭だけあって、夫婦で帰省してもゆっくりお茶を飲んだり食事をしたりする時間はほんのわずか。あとは、「犬の散歩に行ってきて」「居間を掃除しておいて」「クリーニングに出しているものを取ってきて」「孫の迎えをお願い」「夕食の買い物はまかせる」「お風呂を洗って」など、文字通り朝から晩までこなさなければならないタスクが山積していた。

とうとう妻が、自宅を飛び出した

しかも、そのほとんどを「息子はいつも家族のために働いているんだから、実家にいる時くらい休ませてあげて。あなたが率先して動くべき」とCさんの妻につきつけてくるとのこと。Cさんも「そうしてくれると助かるよ」と、すっかり妻に甘えっぱなしの態度を決め込むのだった。

「妻からは何度も『ひとりで帰省してほしい』とお願いされていたのですが、そんなことしたら、オレがこき使われるだけだと思ってそのたびに拒否していました」と話すCさんの妻が、実際に自宅と飛び出したのは今年のはじめのこと。Cさんいわく、「帰省した時に、ウチら夫婦との同居の打診をされたんです。自分は『いいよ』って気軽に即答したのですが、妻にしてみれば、この先何十年も召し使いのように暮らすことに嫌気がさしたのかもしれません」。

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