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権腐十年とは

 昔から、権力者が自ら戒める言葉に「権腐十年」というのがある。「権不十年」と言う場合もある。もちろん権力にいること十年経てば、必ず腐敗する訳ではない。しかし権力の座にあって緊張感なく、自ら戒めることなく過ごしてしまえば、腐敗の道に迷い込むになる。逆に為政者が常に自己を戒めていれば、十年経とうが何十年経とうが、権力は腐敗することはない。

 安倍晋三総理大臣は在任期間が、昨年11月20日に通算で2887日となり、憲政史上最長となった。もちろん現在も記録を更新中である。政権が安定することは、落ち着いて思い切った政策を実行出来るメリットがある。一連のアベノミクス政策による経済の立て直しや、安全保障政策の見直し、一億総活躍や働き方改革の実行は一定の成果をもたらした。

 一方で戦後日本の悲願とも言える北方領土返還や北朝鮮からの拉致被害者の奪還、憲法改正などはまだ解決の糸口が掴めないでいる。これだけの長期政権にしても、解決できないのだから、これらは本当に難問中の難問なのだと思う。

 しかしここに来て、安倍政権のタガの緩みが顕在化して来たようだ。相次ぐ初入閣閣僚の辞任、桜を見る会の私物化とも取られかねない対応、かんぽ生命の不適切勧誘の発覚と処分情報の官僚による漏洩、そして統合リゾート(IR)開発をめぐる国会議員の贈収賄事件など、立て続けに黒星が明らかになってしまった。

 これらの問題を徹底的に追求して、政権の打倒に結びつけようと動くのが、野党の常套手段だが、野党内における合併交渉が大詰めを迎えており、追求も中途半端に終わっている。この点では政権が助かっている面は否めない。しかしこののち大きな野党の塊が出来れば、政権は窮地に追い込まれかねない。

 長く国会では「1強多弱」という状況が続いて来た。与党内ですら総裁派閥が幅を利かせて「1強多弱」を許して来た。しかしこの状態は調子の良い時には好都合だが、ひとたび乱れてくると意外に脆弱な面を持っている。政権与党がより安定するためには、総裁派閥だけでなく幾つかの派閥や集団が、同様に強くなることが必要であり、何よりも党内で意見を闘わせることが不可欠である。

 「権腐十年」という言葉は、まず安倍総理自身が自覚していただくことが先決だが、与党全体が自覚して現状打開のために声を挙げることも、同様に重要である。勇気を持ってモノを言うことが、今まさに求められているのではないか。

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