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2019年のグルメシーンを席捲したタピオカブームが抱える3つの問題点- 東龍(グルメジャーナリスト)

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2019年のグルメシーンにおいて、最もブームになったものは何でしょうか。

それは、テレビや雑誌、インターネットの記事でも頻繁に取り上げられ、ぐるなびの「今年の一皿」にも選出されたタピオカではないかと思います。

改めて説明すると、タピオカとは、南米原産の芋の根茎からつくられたデンプン製品のことであり、食用や工業原料として広く用いられています。

そのタピオカをミルクティーに加えた台湾ドリンクのタピオカミルクティーが爆発的なブームとなりました。

タピオカを食したり、タピオカドリンクを飲んだりすることは、「タピる」と動詞化されており、タピオカを飲食する活動は「タピ活」といわれています。こういったことを鑑みれば、タピオカは既に日本の食文化の歴史に刻み込まれたといってもよいでしょう。

もちもち食感になじみがあった日本人

タピオカドリンクが日本人に受け入れられ、ブームとなったのはなぜでしょうか。その大きな要因は、食感と見た目だと思います。

タピオカの特徴といえば弾力感と噛み応え。同じように弾力感と噛み応えがあり、日本人に馴染みのあるものには、餅、おはぎ、大福、団子などの餅粉を使ったものがあります。日本人は昔からこういったお菓子に慣れ親しんでいるので、もちもちとした食感のタピオカが受け入れられやすかったのではないでしょうか。

また、タピオカには大小各種のサイズがあり、透明のものから黒や青など様々な色合いがあります。透明な容器を通して、バラエティ豊かなタピオカが目を引いたことも大きいです。SNSへ投稿したくなることに加えて、飲み歩きしていることも宣伝となります。

かつてのティラミスやナタデココ、パンナコッタにカヌレ、クイニーアマンやバウムクーヘンといったスイーツブームがありましたが、SNSの影響力も加味して鑑みれば、タピオカはこれまでの日本のスイーツ史上において、最も瞬間的かつ爆発的にブームとなったのではないでしょうか。

タピオカブームの裏に3つの問題

写真AC

しかし、そのタピオカもいくつかの問題をはらんでいます。

1つ目は、過剰なインスタ映え。多くの人が、話題のタピオカドリンク店で人気のタピオカドリンクを満喫しているところを、InstagramをはじめとしたSNSへ投稿しています。それ自体は飲食店の宣伝になるのでよいことです。しかし、インスタ映えやSNS映えが過熱してしまうと、最も見栄えのよいシーンを撮影したいがために、飲食店の邪魔となったり、他の客の迷惑となったりしてしまいます。

本来はおいしいタピオカドリンクを楽しんでいるところをSNSへ投稿するのが目的であったのに、気付けばSNSへ投稿するためにタピオカドリンクを飲むようになってしまうのも、危険な兆候です。SNSへ投稿したいがため、1日に数店舗ハシゴして、数口飲むだけで食べ残してしまうことにつながるからです。

日本では食品ロスが問題視されており、2019年10月1日に「食品ロス削減推進法」が施行されました。タピオカドリンクの食べ残しや飲み残しは、時代に逆行する由々しき課題であるといってよいでしょう。

2つ目の問題は不適切な容器の廃棄。タピオカドリンクの容器を、飲食店前や住宅、空き地や道路など、不適切な場所に廃棄することも迷惑となっています。

タピオカドリンクを、ひとつの食べ物としてではなく、単なるファッションとして考えているから、そういうことができるのでしょう。

そのドリンクを愛している人であれば、飲食店やそれを作った人、さらには、食材や生産者に思いを馳せることができるので、最後に残された容器も適切に処理しようとするはずです。食に対するリスペクトが低い人によって、容器が適切に処理されていないのは、残念で仕方ありません。

また、タピオカをテーマにしたアミューズメント施設もオープンしていますが、入場料が高額であることや、当初はトイレがなかった上に再入場もできなかったことが、大きな批判を受けました。単なるタピオカブームに便乗したビジネスも問題です。

Photo by Charles on Unsplash

3つ目の問題は、暴力団の資金源になっていると報じられていること。一部の週刊誌やWeb記事で取り沙汰されており、私も突然出現した個店について、出自に不審なところがあると聞いたことがあります。

タピオカの原料はキャッサバという芋であり、原材料費が安いです。また、タピオカドリンクを作るのに大きなキッチンは必要ないので、広い店舗は必要ありません。加えて、作るのに特別な技術を要するわけでもないので、基本的にアルバイトでも回すことができるでしょう。

飲食店が負担するコストのうち、人件費3割、食材費3割、賃貸料1割が大きな割合を占めています。これらを大幅にコストダウンできるので、タピオカドリンク店は参入しやすいのです。

そのため、暴力団などの反社会的な団体がタピオカドリンク店を開業しており、闇の社会に資金が流れていることも問題として挙げられています。

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