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来年の景気は薄曇りだが、突然の嵐に要注意 - 塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

2020年の景気は、良くも悪くもない状況が続くだろうが、リスクシナリオには要注意だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

(oatawa/gettyimages)

景気の現状は「薄曇り」

今年の景気は、昨年と比べると若干見劣りしていました。米中貿易戦争そのものの影響というよりも、「先行きが不透明だから、投資を手控えよう」という企業が多かった事の影響が大きかったと思われますが、国内も海外もやや不冴えでした。

もっとも、景気の水準としては、絶好調とまでは言えませんでしたが、失業率も低く、企業の利益水準も高く、マズマズだったと言えるでしょう。快晴ではないけれども、曇天とも言えない「薄曇り」といったところでしょうか。

10月の経済指標は大きく悪化しましたが、消費増税に伴う「駆け込み需要の反動減」が大きく影響している上に、台風19号の影響も大きかったと思われます。店を閉めたという小売店もあり、外出を控えたという消費者もいたでしょう。被災地では消費どころでは無かったでしょう。

加えて「被災地のことを考えると、贅沢をする気にならない」という「自粛組」もいたでしょう。筆者は「自粛しても被災者は喜ばないから」と考えて、被災地の特産品の酒と肴で消費喚起に努めましたが(笑)。

したがって、11月と12月の数字を確認する必要はありますが、景気の落ち込みというよりは、「単月の指標の振れ」である可能性が高いでしょう。景気は現在も「薄曇り」だと考えて良さそうです。

来年の景気も「薄曇り」がメインシナリオ

現在の景気の方向は、横ばいから僅かに下向きといった所でしょう。景気は自分では方向を変えませんから、これを政府が変えるか、外国からの影響を受けるか、が来年の景気を決めることになります。

政府は比較的規模の大きい経済対策をとるようですから、来年の景気は横ばいか、若干上を向く可能性が高いかもしれません。

海外を見ても、先進国の景気先行指数は下げ止まっているようです 。このまま推移すれば、海外の景気が日本の輸出の足を引っ張ることもなさそうです。

東京オリンピック後の景気の落ち込みを心配している人も多いようですが、前回のオリンピックの時とは経済規模が違うため、オリンピック需要が経済に占めるウエイトが小さいので、影響は限定的でしょう。

加えて「労働力不足だから、オリンピックが終わるのを待ってから着工しよう」というプロジェクトも多数あるようですから、大丈夫でしょう。

米中発の「突然の嵐」には要注意

米中関係は、貿易戦争というより「覇権を懸けた冷戦」ですから、遠い将来には「米国と付き合いたければ中国と付き合うな」といった時代が来るかもしれません。しかし、それが近い将来に実現してしまうと大変です。

米国と同盟国は、中国(と仲間たち)との間で巨額の経済取引をしています。これが一気に禁止になると、世界経済は大混乱になるでしょう。

トランプ大統領としては、大統領選挙の前に世界経済が大混乱するのは避けたいでしょうし、中国も国内経済が心配な時に米国との全面対決をする余裕はないと思いますが、喧嘩というのは何が起きるかわかりませんから、リスクシナリオとしては頭の片隅に置いておきましょう。

米国も中国も、国内の金融システムにリスクを抱えていますから、貿易戦争や冷戦といったこととは関係なく、金融システムが機能不全に陥るリスクシナリオについても頭の片隅に置いておく必要がありそうです。

中国では倒産が増え始めているようです 。中国政府のリスク対応能力はリーマン・ショックの時に十分見せてもらったので、信頼していますが、金融システムへの対応が共産党内部の権力闘争の「人質」にされてしまう可能性はあるかもしれません。

米国では、格付けの低い与信が増えているので、デフォルト率が高まったりすると、一気に低格付け市場から資金が逃げ出し、倒産増と資金逃避の悪循環から金融危機が発生してしまうリスクがあります。最悪の場合、リーマン・ショックの小型版が発生する可能性もあるでしょう。

少子高齢化なので日本の景気の落ち込みは限定的

上記のように、海外にリスクシナリオが複数ありますから、もしかすると輸出が激減する可能性も皆無ではありません。しかし、それでもリーマン・ショックの時のようなことにはならない、と考えています。

それは、少子高齢化で労働力不足の時代となっていること、高齢者の消費が安定していることによって、日本の景気の変動が小さくなっているからです。

少子高齢化は労働力不足をもたらします。そうなると、輸出減少によって輸出企業の仕事が失われても、失業者がすぐに次の仕事を見つけることができるので、「失業者が所得がないので消費を減らす」ということが起きないのです。

今ひとつ、高齢者は所得も消費も安定している、ということが影響しています。高齢者の主な収入は年金ですから、安定しています。したがって、高齢者の消費も安定しています。そうなると、高齢者のために働いている人の所得も消費も安定します。

極端な場合、現役世代が全員で高齢者の介護をしている国では、景気の波はありません。日本経済は、そうした国に少しずつ近づきつつあるので、景気の波が少しずつ小さくなって来ているわけです。

そのあたりの詳しいことは、『少子高齢化で日本の景気変動が小さくなる理由』を御参照いただければ幸いです。

今回は、以上です。

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