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拡大する感染症に予防接種を【2020年を占う・医療】

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▲写真 スポーツの世界大会が行われるときの様子 出典:Kohei Tamaki

どうすればいいのだろう。ワクチンを打つしかない。インフルエンザは勿論、麻疹・風疹などのワクチンも接種すべきだ。

接種を優先すべきは免疫力が落ちた人だ。最優先はがんを患い、治癒した子どもたちだ。がん治療、特に抗がん剤を投与された患者は、予防接種を打っていても、免疫がリセットされてしまうからだ。ところが、この問題はほとんど議論されていない。

がん経験者の免疫については、日本人を対象とした研究は少ないが、海外からは多くの研究が報告されている。ドイツの医師は、27%、19%、17%のがん経験者で麻疹、風疹、水痘の免疫がなかったという。

問題は、これだけではない。サウジアラビアの研究者は、47%、62%、17%のがん経験者がジフテリア、破傷風、ポリオの免疫がなかったと報告している。

大量の抗がん剤を用いる自家骨髄移植を受けた患者に限定すれば、87%の患者で百日咳の免疫を持たなかったという報告もある。

問題は深刻だ。ところが、わが国では、このようながんサバイバーにワクチンを再接種しようという動きはない。

この状況は米国とは対照的だ。移民による感染症の流入に悩まされてきた米国の対策は徹底している。

ワクチンの再接種は、小児がん患者に限った話ではない。幼少期に接種したワクチンの効果は歳をとると低下するという基本思想にたち、成人に対しても積極的にワクチンの再接種を勧めている。もちろん、この中には成人のがん患者も含まれる。

米疾病予防管理センター(CDC)は、成人向けに12種類の病原体に対して、9つのワクチンを推奨している。インフルエンザワクチンは毎年、破傷風・ジフテリア・百日咳ワクチンは、三種混合で1回、10年ごとに百日咳・ジフテリアを追加、帯状疱疹ワクチンは医師と相談してという感じだ。

米国は国民皆保険制度がなく、命は金次第という印象をお持ちの方が多いだろうが、予防接種に限っては全く違う。接種費用は公費で賄われるか、加入する保険会社が全額負担することが法律で義務付けられている。日本では、このような議論は全くない。

東京五輪を控え、感染症対策は喫緊の課題だ。早急に免疫力が低下した人、特に小児がんサバイバーに対してワクチンを打つべきだ。

ただ、これまでの厚労省の動きをみていると、大きな期待は持てそうにない。現在、がんを経験したお子さんをもつ方、あるいは持病を抱える高齢者の方々は、厚労省の動きを待たない方がいい。是非、身近にいる医師と相談して、必要度が高いものからでいいので、ワクチンを打って欲しい。

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