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- 2019年12月29日 19:03
【105カ月目の福島はいま】答えない、はぐらかす…2019年最後の福島県知事定例会見でも貫いた「内堀話法」。原発事故被害者に〝寄り添うポーズ〟は今年も健在
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今月23日の会見では、河北新報の記者が「私も聖火リレーのルートを見ると『光』だけで『影』はどこにも無いんじゃないか」、「『光と影』とか、どうしても抽象的な言葉がいつも多くなっていると思うが、『光』は何で、『影』は何なのか。このルートを通じて何を発信しているのか」などと質問したが、帰還率や風評に終始する答えだった。
「避難指示が縮小したからといって解決したわけではなく、今でも福島県全面積の2・5%に当たるエリアが帰還困難区域等で、住民の皆さんが帰りたくても帰ることが出来ない…国内外で風評が残っていて、まだ福島産の農産物を手に取ることに躊躇される方がいる。福島第一原発の廃炉対策は非常に長期にわたり、そういう中で人口減少が急激に進んでいる。また、残念ながら台風19号等の大型の災害があった。こういったことを『影』の事例としてお話ししています」
知事の言葉には〝自主避難〟の問題など無い。しかも、実際に決められた聖火リレーのルートからは『影』の部分など見えない。家屋解体が進み、帰還率も11月末現在で6%強にとどまっている浪江町は、福島ロボットテストフィールド浪江滑走路からスタートし、福島水素エネルギー研究フィールドでゴールする約600メートルがルートとして採用された。浪江町役場から徒歩で約1時間もかかるような〝異空間〟を走って世界の人々は浪江町の何を理解出来るのか。
今月21日に東京国際フォーラムで行われた「ふくしま大交流フェスタ2019」。古田敦也氏とのトークショーで、内堀知事は「今の福島、まだもちろん課題はたくさんあるんですけど、一方で復興でここまで前に進んだよとメッセージと感謝を発信したい」と発言している。これだけでも、内堀知事が実際には「光」の発信を重視している事が良く分かる。



「事前に質問を提出してたんですか?今、なんかパッパと出てきましたけど。これは記者会見なんですか?質問は事前に決まっていたのでしょうか?」
会見で内堀知事は、事前に用意していた紙を掲げた。そこには「再」と書かれていた。地元紙記者の〝アシスト質問〟に答えた「今年の漢字」だった。年内最後の定例会見でその年を表す漢字一文字を尋ねるのが県政記者クラブの「恒例」となっている。ちなみに、知事に就任した2014年以降、「挑」、「誇」、「創」、「共」と続き、昨年は「進」だった。そして今年は「再」。筆者も昨年、県広報課に「事前に記者クラブと打ち合わせをしているのではないか」と尋ねたが、答えは「打ち合わせなどしていない。質問通告も求めていない」だった。
原発事故に伴う〝自主避難者〟への住宅無償提供が打ち切られても、国家公務員宿舎に入居する避難者を相手取って〝追い出し訴訟〟を起こす議案が県議会で可決されても、知事に厳しい質問をぶつけるのは一部の記者にすぎない。知事の外遊に地元紙記者が「同行取材」するのは恒例となっている。
なお、筆者は複数回にわたって知事会見で質問をしたいと記者クラブに申し入れているが、いずれも答えは「NO」だった。「部屋の最後方で立って写真を撮影するなら構わない」と「オブザーバー参加」のみ許されている。幹事社によって表現は異なるが、地元紙の記者は筆者に対し「フリーランス記者に質問を認めたら記者クラブの存在意義が無くなる。あなたが知事会見で質問する事は未来永劫無い」と言い放った。
たしかに知事の言動に疑問を抱いて質問をぶつける記者もいる。個人的に筆者の取材活動に理解を示す記者もいる。しかし、組織としてはフリーランスを排除する。〝内堀話法〟がそれに守られているのだとしたら、果たして「記者クラブの存在意義」とは何だろうか。
(了)
「避難指示が縮小したからといって解決したわけではなく、今でも福島県全面積の2・5%に当たるエリアが帰還困難区域等で、住民の皆さんが帰りたくても帰ることが出来ない…国内外で風評が残っていて、まだ福島産の農産物を手に取ることに躊躇される方がいる。福島第一原発の廃炉対策は非常に長期にわたり、そういう中で人口減少が急激に進んでいる。また、残念ながら台風19号等の大型の災害があった。こういったことを『影』の事例としてお話ししています」
知事の言葉には〝自主避難〟の問題など無い。しかも、実際に決められた聖火リレーのルートからは『影』の部分など見えない。家屋解体が進み、帰還率も11月末現在で6%強にとどまっている浪江町は、福島ロボットテストフィールド浪江滑走路からスタートし、福島水素エネルギー研究フィールドでゴールする約600メートルがルートとして採用された。浪江町役場から徒歩で約1時間もかかるような〝異空間〟を走って世界の人々は浪江町の何を理解出来るのか。
今月21日に東京国際フォーラムで行われた「ふくしま大交流フェスタ2019」。古田敦也氏とのトークショーで、内堀知事は「今の福島、まだもちろん課題はたくさんあるんですけど、一方で復興でここまで前に進んだよとメッセージと感謝を発信したい」と発言している。これだけでも、内堀知事が実際には「光」の発信を重視している事が良く分かる。



来たるべき〝復興五輪〟に向け、原発事故の〝自主避難者〟は切り捨てられ、〝負の遺産〟は消されていく。「復興」はもちろん大事だが、これが本当に福島県民の求める「復興」だろうか?それを質す記者は少なく、問われても内堀知事は正面から答えない
【厳しい質問ぶつけぬ記者クラブ】
県政記者クラブもまた、知事の答えがあいまいであっても厳しく問いただす事はほとんど無い。地元メディアの記者に至っては「知事の苦しい御立場も理解出来ますが」、「知事は日頃から風評払拭に尽力なさっていますが」などと持ち上げる始末。先の朝日新聞記者は初めて知事会見に参加したというが、予定調和に包まれた会見は異様に映ったようだ。冒頭にこんな質問をぶつけている。「事前に質問を提出してたんですか?今、なんかパッパと出てきましたけど。これは記者会見なんですか?質問は事前に決まっていたのでしょうか?」
会見で内堀知事は、事前に用意していた紙を掲げた。そこには「再」と書かれていた。地元紙記者の〝アシスト質問〟に答えた「今年の漢字」だった。年内最後の定例会見でその年を表す漢字一文字を尋ねるのが県政記者クラブの「恒例」となっている。ちなみに、知事に就任した2014年以降、「挑」、「誇」、「創」、「共」と続き、昨年は「進」だった。そして今年は「再」。筆者も昨年、県広報課に「事前に記者クラブと打ち合わせをしているのではないか」と尋ねたが、答えは「打ち合わせなどしていない。質問通告も求めていない」だった。
原発事故に伴う〝自主避難者〟への住宅無償提供が打ち切られても、国家公務員宿舎に入居する避難者を相手取って〝追い出し訴訟〟を起こす議案が県議会で可決されても、知事に厳しい質問をぶつけるのは一部の記者にすぎない。知事の外遊に地元紙記者が「同行取材」するのは恒例となっている。
なお、筆者は複数回にわたって知事会見で質問をしたいと記者クラブに申し入れているが、いずれも答えは「NO」だった。「部屋の最後方で立って写真を撮影するなら構わない」と「オブザーバー参加」のみ許されている。幹事社によって表現は異なるが、地元紙の記者は筆者に対し「フリーランス記者に質問を認めたら記者クラブの存在意義が無くなる。あなたが知事会見で質問する事は未来永劫無い」と言い放った。
たしかに知事の言動に疑問を抱いて質問をぶつける記者もいる。個人的に筆者の取材活動に理解を示す記者もいる。しかし、組織としてはフリーランスを排除する。〝内堀話法〟がそれに守られているのだとしたら、果たして「記者クラブの存在意義」とは何だろうか。
(了)
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



