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福島第一原発 汚染処理水は海洋へ 風評被害対策は国民理解から

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溜まり続ける処理水(出所:経済産業省)

日々勉強!結果に責任!」「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。我が国の伝統精神である「智勇仁」の三徳に基づき、「文武経」の政策を国家国民のために全身全霊で実現します。

 福島第一原発の廃炉や復興に向けて、溜まり続ける汚染処理水をどうするかは避けて通れない問題です。

そのような中で、12月23日(月)、経済産業省の「多核種除去設備(ALPS)等処理水の取扱いに関する小委員会」、いわゆるALPS小委員会がとりまとめ案が議論されました。同案は、福島第一原発の放射能汚染水の処理水(トリチウム)が貯蔵容器に溜まり続けており、このままでは3年後の令和4年には満杯となり、廃炉や福島復興自体の妨げになってしまいます。そこで、地層、海洋、水蒸気、水素、地下の5つの処分方法を検討した結果、安全で、国内外で実績があり、技術的な課題がない等の理由で、「海洋」排出が提案されています。

処理水に含まれているトリチウムは、自然界にも体内にも存在する弱い放射性物資であり、国内外の原発では既に排出され続けており、健康への影響は出ていません。原子力規制委員会も同様の見解です。

課題は、風評被害であり、その対策は何とっても国民理解に尽きます。そのためには、放射能教育の充実が不可欠であり、引続き力を尽くしていきたいと思っています。

・とりまとめ案の詳細は

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/016_haifu.html

 風評被害対策として国民理解に資するよう、同小委員会のとりまとめ案の要旨を次に紹介したいと思います。

●福島第一原発の汚染水は減少しているとはいえ増加 540㎥/日→170㎥/日

(出所:経済産業省)

 福島第一原発の発災から8年以上経った現在においても、汚染水が発生している理由は次の4点です。

第一は、原子炉内で溶けて固まった燃料=燃料デブリ(ゴミ)に水をかけて冷却しており、一定量の汚染水が建屋の地下に滞留していること。

第二は、原子炉建屋の爆発等の影響で、雨水が原子炉建屋に流入していること。

第三は、建屋の配管貫通部から地下水が流入し続けていること。

第四は、建屋外の地下水位が建屋内の汚染水の水位より高くなるように、建屋周辺の地下水位と建屋内の汚染水の水位を管理し、建屋外へ汚染水が漏れることを防止していること。

その結果として、汚染水は常に発生し続けていますが、サブドレン(建屋近傍の井戸)を稼働し、浄化設備(ALPS)の増強、既存ピットの強化など様々な対策を行い、さらに、凍土方式の陸側遮水壁を造成しました。各種対策の結果、汚染水発生量は、540m³/日(平成26年5月)から170m³/日(平成 30 年度平均)まで低減はしています。

今後、福島第一原発1~4号機の廃止措置等に向け中長期ロードマップ(計画表)において、令和2年内(2020年内)に、150m³/日程度まで低減させる予定です。汚染水の発生を抑えるためには、燃料デブリの取り出しと原子炉建屋等の周辺環境改善を進めて止水を行っていく必要があります。

●ALPS処理水の保管は令和4年に限界へ 856 兆Bq・117万㎥/137万m³

(出所:経済産業省)

以上の汚染水は、既存の水処理設備でセシウムを除去し、さらにALPS(多核種除去装置)によって、61種の放射性物資を除去しています。その処理水を福島第一原発の敷地内の貯蔵容器で保管しています。しかしながら、トリチウムだけは取り除くことが出来ずに保管されています。

ALPS処理水、また、ALPSでの浄化処理を待っているストロンチウム処理水の量は、合計約117万m3となっており、トリチウムの量、濃度はそれぞれ、約 856 兆ベクレル(Bq)、約73万Bq/Lとなっています(令和元年10月31日時点)。

  ALPS 処理水等を保管する大型貯蔵容器は、福島第一原発内の敷地内に設置してきましたが、令和2(2020)年末までに約137万m³までの増設を行う現在の建設計画の範囲内では、令和4(2022)年夏頃には貯蔵容器が満杯になる見通しとのことで、敷地の関係でこれ以上の増設の余地は難しいとのことです。

当初は、ボルト締めの貯蔵容器を使用していましたが、水の漏洩が複数回発生したために、漏洩が少ない溶接型貯蔵容器へ移設を行いました。貯蔵容器の回りには、堰を二重に設置し、常時水位監視を行い、漏洩の有無を目視で確認するパトロールを行って、万全を期しています。

同小委員会では、大容量の地上貯蔵容器での保管や、地中や洋上での保管について検討を行いましたが、現実的ではないとの結果でした。

●処理できないトリチウムとは 自然界や体内にも存在する弱い放射性物資

ALPS(多核種除去装置)等でも処理できないトリチウムとはどのような物資なのでしょうか。

トリチウムとは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の放射性同位体で、弱い放射線(ベータ線)を出すものです。自然界では、宇宙線等により地球上で年間約7京Bq(ベクテル)程度生成されています。水分子を構成する水素として存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれており、日本における降水中のトリチウム量を試算すると、年間約223兆Bqとなるそうです。また、飲料水の摂取などにより、ヒトの体内にも数10Bqのトリチウムが含まれています。このように、放射性物質あるいは有害物質とされるものであっても、ヒトの体内には一定量が存在しており、人体への影響の大小は、その濃度によります。

また、トリチウムは、原発を運転することに伴い国内外の原発でも発生しており、多くは原子炉内に閉じ込められているとのことですが、そのうちの一部が燃料交換などの維持管理に伴って炉外に持ち出され、各国の規制に従って、海洋等に放出されています。

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