- 2019年12月29日 15:37
イラン発火点の世界大激動も【2020年を占う・中東】
1/2島田洋一(福井県立大学教授)
【まとめ】
・イラン問題、日米間で大きな認識ギャップ。
・米、イランに軍事圧力。テロ抑止と経済制裁実効性高める狙い。
・ロウハニ大統領訪日も、米国主導の制裁に風穴開けることできず。
2020年はイランが発火点となり、世界的な大激動となる可能性がある。現在、中東政治における最大の動因はイスラム教シーア派の大国イランとスンニー派の盟主サウジアラビアの対立である。
イランから見れば、自らはトランプ米政権が主導する制裁によって石油輸出が困難になる一方、ペルシャ湾を挟んで対岸に位置するライバルのサウジアラビアからは毎日タンカーで大量の石油が運び出されていく。
単に自国の経済状況が悪化し、国民の不満が高まるのみならず、「敵国」が活況を呈するさまを日々眼前に見せつけられるわけである。経済力の開きは軍事力の開きにもつながる。
イランのファシズム政権が、「ジリ貧よりドカ貧」「死なばもろとも」といった心理状況に傾いていっても不思議はない。
イラン問題については、日米間で大きな認識ギャップがある。トランプ政権は、イランに対し「最大圧力」で臨む姿勢を強めている。旧ソ連国家保安委員会(KGB)のイラン版と言える革命防衛隊の対外工作部門コッズ部隊による破壊活動と共に、ヒズボラ(レバノンが拠点)、フーシ派(イエメンが拠点)はじめシーア派武装集団に資金・武器援助してきたイランは、まさにテロ国家であると同時に「テロの中央銀行」でもある。
トランプ政権は2018年5月、オバマ前政権が推進した2015年イラン核合意から離脱したが、核活動に関する合意内容の不備(あくまで10年間ないし15年間の「時限的制限」であり、「恒久」でも「停止」でもない)もさることながら、資金凍結解除、経済制裁緩和によりイランに潤沢なテロ資金、ミサイル開発資金が流れることになるというのが大きな理由であった。
一方、日本の政治家や「有識者」からは、枕詞のように「親日国家イラン」「イランと伝統的な友好関係をもつ日本」といった言葉が飛び出す。文字通り信じている人も多いようだ。
アメリカの場合、「イラン政府の指示でテロ組織ヒズボラが実行した」(米連邦裁判所判決)1983年の在ベイルート米軍兵舎への自爆攻撃だけでも、海兵隊員に241名の死者を出している。
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