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働き方改革で広まる元日休業 「街の不夜城」コンビニでも実験へ

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働き方改革や人手不足を背景に、飲食店や量販店など様々な業種で、年末年始の営業を休むケースが目立っている。特に、来年の元旦(2020年1月1日)については、「365日24時間営業」を売りとして街の“不夜城”ともいえるコンビニエンスストア業界で、休業を始める点が特徴だ。

大手3社はこれまでも、時間を短縮した営業を認める実験を行ってきたものの、元日については対応が分かれた。業界2位のファミリーマートは例年通り、元日も24時間の営業を行うものの、加盟店320店が本部スタッフに代理で店舗運営する「店長ヘルプ制度」を活用する。

一方、残る2社は初の元日休業の実験に踏み切り、最大手のセブンイレブンも東京都内にある直営店約50店舗で1日午前0時から休業する。国内に約1万4600店を展開するローソンも、元日を中心として店舗を閉めるテストに乗り出す。


働き方に頭を悩ませたコンビニの1年

2019年はコンビニ各社にとって、“働き方”が大きなテーマとなった1年だった。

大きなきっかけは今年2月。大阪府内のセブンイレブンの加盟店が人手不足を理由として、24時間営業を中断したことだろう。これがセブンイレブン本部の方針に反するものだったため、大きな話題となった。

この店のオーナーがマスコミに対し、寝不足や過労など深刻な状況を打ち明けると、本部は3月に方針を転換させ、一部の直営店で営業時間を短縮させる実験を始める方針を示した。

コンビニ経営をめぐる労働環境の厳しさについて大々的に議論されることは、これまで必ずしも多かったとは言えない。

加盟店オーナー「働き方の今後はコンビニ本部がカギを握る」

東京都内のオフィス街である大手コンビニ加盟店を経営する50代の男性は取材に対し、次のように打ち明ける。「強化する品ぞろえなど店舗の方針など、オーナーがある程度は権利を認めてもらっているのは事実で、経営自体は面白い。だが、本部はどうしてもすべての店を一律的に扱おうとする傾向があり、オーナーが独自の営業時間を打ち出すといったことは想定もできない状況だった」。

また、元旦休業に関連して、こう語る。「うちの店は年末年始になると驚くほど売り上げが下がる。でも、例えば、寺や神社の近くの店など、数少ない書き入れ時というところもある。そうした状況を総合して、本部が特別なシフトを考えるなどイニシアチブを握ることが、働き方を変えることになるはずだ」。

オーナーの声から元日休業を決定 ローソンの取り組みとは

こうした騒動に先立って、ローソンは希望する店に対して時短営業を認めたり、無人営業の実験を展開したりするなど、“コンビニ改革”を進めてきた。今回の元日休業はどういった狙いで、今後の展望をどう占うのか。秦野芳宏経営戦略本部・副本部長に話を聞いた。

秦野芳宏経営戦略本部・副本部長

ローソンが今回、店舗を閉めるのは25都道府県にある102店舗。売り上げや周辺環境など店舗の状況によって休業する時間はバラバラになる予定で、元旦前後で休業の時間を設定する。同社では今年10月、竹増貞信社長が加盟店からの提案を受け、年末年始の休業に乗り出す方針を明らかにしていた。秦野副本部長は次のように振り返る。

ローソンでは、各エリアごとに、加盟店オーナーさんから意見をお聞きすることを大切にしてきた。そうした場でコンビニの今後の在り方を議論する中で、オーナーさんからの元日休業の提案がなされ、経営方針として実際にテストを進めることに決めました。

ローソンが元日休業を行う背景には、近年の働き方改革の流れもある。24時間営業が当たり前のコンビニだが、元旦休業に踏み出すことで、深夜帯の店舗への商品搬入など物流構造を見直す必要が生まれる。

今回「実験」と銘打っているのも、社として考慮すべき点が多いためで、店舗を休業する影響について定量的、定性的に十分な検証をしていく方針です。実際に閉店する店を選ぶ段階では、例えば初詣のお客様の数や三が日の例年の状況などを加味しながら、なるべく閉店による影響が少ない店を選んでいきました。

今回の実験の主旨でもありますが、休業する前後において、どういうオペ―レーションならスムーズに店を運営できるかを確立したいと考えています。例えば、商品発注です。1日半の休業と半日の休業、さらには店舗の再開が朝と夜とでは、必要となる作業は大きく異なります。商品の中には夜中に納品されるものもあり、受け取ることもできなくなります。

そうしたことを含めると、どのように発注すれば店舗をスムーズに再開できるかは非常に重要な検証課題となるのです。おにぎり、サラダ、デザート。そのそれぞれについてじっくりと、かつきめ細かに見極めていきたい。当然、夜の防犯面の検討も必要となります。

店舗を休んだ後に客足がどう回復するかなど実験前では未知数な部分も多いという。

店を休んでから1週間、2週間が経って、どういう状況かを注意深く見守っていかねばなりません。お客様自身が休業についてどういった印象をお持ちになったかも含めて、しっかりと102店舗ごとの結果を受け止めていく方針です。


休業損失と人経費削減の天秤 オーナーと客双方を考える

働き方改革を背景に広い業種で進む年末年始の休業の拡大。だが、従業員の労働状況改善だけを優先していては、顧客の満足を得られない可能性がある。

休業させていただいたとして、常連だったお客様が今まで通り継続して利用していただくことがまず大切になります。コンビニというのは非常に小さい商圏で商売をさせていただくものです。その商圏の中で、何回も頻度高く通っていただくことが大切であり、コンビニの特徴となっています。今回の休業でお客様が離れてしまわれるというのは大きな影響となりかねず、しっかりと今まで通りにご利用いただける態勢を確保したく思います。

さらに、オーナーさんの利益という点を考えると、当然ですが、休業している間は売り上げが立ちません。一方で、人件費が無くなるという考え方もできる。こうした状況で、きちんと収益が成立するのかも検証課題です。

顧客の立場に立つと、慣れ親しんでいる店が突然閉まっているとなれば、影響は少ないとは言えない。24時間営業が当たり前であるコンビニを休業する際のアナウンスの方法一つをとっても工夫が求められる。

例えば、ATMのご利用や、チケットを購入されたい方が、ご迷惑にならないようにするためにはどうすべきか。対策としては、休業に関する告知文をATM、店頭に貼るなどだが、具体的な方法を確立しないといけません。お客様の立場に立って、スムーズに滞りなく休業させていただくためにはどうすればよいのかを急ピッチで思案してきました。

ローソンでは実験をしっかり検証し、今後に生かす考えだ。

どの店舗が休むとどのような影響が出るかというのは、個店ごとに大きく異なります。ある程度は想定をして臨みますが、実際にはどのような反応になり、再開後のお客様の動向がどうなるかもしっかりと検証してまいります。今回の結果をしっかりと検証し、オーナーさんなどと共有し、よりよいコンビニの在り方を模索していくステップにしてまいりたいと考えます。

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