

元号が変わり、節目の1年となった2019年。エンタメ業界では、どんな作品がヒットしたのだろうか。
「2019年はいつもに増してアニメやコミックが原作の映画が多く、興行収入100億円超えが続出の当たり年。楽曲のすばらしい作品、応援上映や特殊効果に対応した作品が多かったのが特徴です」
こう振り返るのはトレンドウォッチャーのくどうみやこさんだ。
映画興行収入ランキング(興行通信社調べ。2019年正月映画から11月公開までの作品が対象。興収値は推定値で、見込み成績含む)は以下の通りだ。
第1位『天気の子』(140.2億円)
第2位『アラジン』(121.5億円)
第3位『トイ・ストーリー4』(100.8億円)
第4位『名探偵コナン 紺青の拳』(93.1億円)
第5位『ライオン・キング』(66.6億円)
第6位『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(66億円)
第7位『アベンジャーズ/エンドゲーム』(61.2億円)
第8位『アナと雪の女王2』(60.2億円)
第9位『キングダム』(57億円)
第10位『劇場版 ONE PIECE STAMPEDE』(55.3億円)
映画館では静かに見るのが常識だったが、応援上映の回は声出しOK。ライブのように声援を飛ばして映画を楽しめる。『名探偵コナン』や『アナ雪2』、さらには『天気の子』でも大合唱上映が行われた。
また、「4DX」に対応している映画館では、水・風・香りの演出とともに、映像に合わせてシートが動き、3面スクリーンで視野270度楽しめるという。
「2019年は『アラジン』をはじめ4DXに対応していた作品が多く、アトラクションのように楽しめました。Netflixなど映像ストリーミングサービスが増えている中、一方で映画館ならではの一体感やライブ感などを見出せる作品がウケたといえます」(くどうさん)
◆2018年の名曲がロングヒット
2019年の音楽ランキングは以下の通りだ。
【邦楽シングルCD売上】
(タワーレコ―ド全店総合シングルチャートより。集計期間は2019年1月1日~11月30日)
第1位 嵐『BRAVE』
第2位 乃木坂46『Sing Out!』
第3位 欅坂46『黒い羊』
第4位 King & Prince『君を待ってる』
第5位 King & Prince『koi-wazurai』
【楽曲ダウンロード】
(レコチョク調べ。集計期間は2018年12月1日~2019年11月30日)
第1位 米津玄師『Lemon』
第2位 米津玄師『馬と鹿』
第3位 あいみょん『マリーゴールド』
第4位 菅田将暉『まちがいさがし』
第5位 back number『HAPPY BIRTHDAY』
【カラオケ】
(第一興商 通信カラオケDAM調べ。集計期間は2019年1月1日~12月7日)
第1位 米津玄師『Lemon』
第2位 あいみょん『マリーゴールド』
第3位 菅田将暉『さよならエレジー』
第4位 中島みゆき『糸』
第5位 Official髭男dism『Pretender』
「楽曲ダウンロード」「カラオケ」の1位は、ともに米津玄師の『Lemon』。実はこれ、2018年の作品だ。
「2019年を代表するようなメガヒットはなかった」と語るのは世代・トレンド評論家の牛窪恵さんだ。時代の節目のヒット曲には法則があると牛窪さんは言う。
「メッセージ性の強い曲は、新たな時代を迎える時に流行りやすいのです。バブルがはじけた頃には応援歌のような『負けないで』(1993年、ZARD)、世紀が変わった時には『花火』『カブトムシ』(1999年、ともにaiko)など女性の心情を綴る歌がそれぞれ流行りました。
2019年でいうと、米津玄師、あいみょん、菅田将暉の楽曲がそれにあたり、聴く人の心に強く共鳴します。また、偶然ではない出会いを歌った中島みゆきの『糸』がランクインしたのにも、時代の節目を感じます」(牛窪さん・以下同)
一方、「シングルCD売り上げ」では、ランキングの様相がガラリと変わる。
「嵐は2020年に活動を休止するため、1曲1曲がファンにとっては宝物です。King & Princeは、80年代のアイドルのようなキラキラ感を打ち出して人気に。どちらのグループも支持する年齢層が広いことが共通点です」
CD購入が当たり前の世代にもファンが多いのが強みといえそうだ。
※女性セブン2020年1月2・9日号