

ヤクザ事情に詳しいフリーライター鈴木智彦氏が、山口組を含む現役組員100人にアンケート調査を実施した。3つに分裂した山口組が一触即発の緊張感のなか、質問をぶつける作業はしんどい作業だったというが、同氏は今後の抗争の行方について見解を聞き出した。
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◆Q:山口組分裂抗争は激化すると思いますか?
はい:33人
いいえ:21人
回答できない:46人
「これだけの死者が出た以上、しこりは消えない。時間が経てばいずれ再統合という話にもなろうが、そう簡単にはいかない」(広域組織幹部)
暴力団の多くは、もはや山口組の抗争は後戻り出来ない状態に進んだとみている。これ以上の喧嘩にはならないという意見は、「そろそろ警察が介入する。これ以上強硬姿勢を続けていれば難癖を付け、警察は山若頭を再び逮捕しかねない」(独立組織最高幹部)といった理由である。
六代目山口組、神戸山口組、任侠山口組の組員総数は、暴力団総数の実に過半数を占める。火の粉を浴びないよう細心の注意を払っていても、山口組という巨大なコングロマリットの分裂抗争は、他団体に大きな影響を与える。今回、他団体の多くが対外的な取材に答えないよう組員に厳命していることが分かった。
警察や他団体に内情を知られるわけにはいかないため、事件の詳細を明らかにしないという特殊な事情もある。
「自分たちの組の上の人間からまったく説明がない。何があったか知りたければ週刊誌を読むしかない。今はネットで即時に情報が流れるが、その分ガセが多い」(関西独立組織幹部)
噂に一喜一憂していれば、いつか情報操作に振り回される。暴力団にとってネットの普及は諸刃の剣だ。
●調査・文/鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2020年1月3・10日号