- 2019年12月28日 18:08
【原発避難者から住まいを奪うな】届かぬ避難当事者の叫び、耳を傾けぬ福島県の内堀知事。叫んでも頭を下げても方針変えぬ福島県「追い出し訴訟も家賃2倍請求もやめない」 - 民の声新聞
1/32011年に起きた原発事故から8年9カ月が過ぎ、原発避難者たちの「住まいを奪うな」という叫び声がかき消されている。21日に東京国際フォーラムで行われた「ふくしま大交流フェスタ2019」では、今年も避難者や支援者たちが福島県の内堀雅雄知事に直接、訴えたが知事は無反応。25日には、避難者団体と福島県職員が話し合ったものの、福島県は「追い出し訴訟も家賃2倍請求もやめない」と改めて拒んだ。来年3月で原発事故から丸9年。聖火リレーと五輪開催でますます、原発避難者の小さな声など内堀知事の耳には届かなくなりそうだ。

【「避難者の追い出しはやめて!」】
「内堀さん!待ってください!」
今月21日に東京国際フォーラムで開かれた「ふくしま大交流フェスタ2019」。福島県の内堀雅雄知事とプロ野球・元ヤクルト監督の古田敦也氏のトークショーが終わり、ステージ裏に下がろうとする内堀知事に、「福島原発かながわ訴訟」原告団長を務める村田弘さん(77)=福島県南相馬市小高区から神奈川県横浜市への避難を継続中=が声をかけた。
これを合図に、他の原発避難者や「福島原発かながわ訴訟を支援する会」(ふくかな)のメンバーなども立ち上がって声をあげた。「原発避難者の追い出しはやめて!」と書かれた紙を掲げる避難者の姿も。今年も結局、内堀知事は避難者団体との話し合いの場に一度も顔を出さなかった。何度申し入れても会おうとしない内堀知事に想いを伝えるには、こういう方法を取らざるを得ない。だから毎年、この時期に行われるイベントでこうやって直接行動を続けているのだ。
当事者の話を直接聞く事もせず、内堀知事は避難指示が出なかった区域からの避難者(いわゆる〝自主避難者〟)への住宅無償提供を打ち切り、家賃補助制度も2年間のみ。そしていよいよ、国家公務員宿舎への入居を続ける5世帯に対し、退去とこれまでの家賃支払いを求める訴訟を起こす。過去には、避難当事者が〝直訴状〟を手に福島県庁を訪れた事もあったが、その時も内堀知事は直接受け取らず、担当課の職員が受け取った。
村田さんたちの声をかき消すように、ステージでは女性アナウンサーが次の予定を紹介していた。内堀知事は例年通り、何ごとも無かったようにステージ裏に下がって行った。古田氏とのトークショーでは、こんな事も言って古田氏を喜ばせた。
「東京五輪で野球の試合会場となっている福島市の県営あづま球場に関して、まだまだ直して欲しいという声を監督や選手からいただいている。ギリギリまでベストに近い形まで直していきたい」
野球場は求めに応じていくらでも直せるのに原発避難者の要求には応じない。内堀知事が何を優先して何を切り捨てているのか。それが如実に現れた言葉だった。



(下)古田敦也氏とトークショーを行った福島県の内堀知事(左)。「東京五輪で野球の試合会場となっている福島市の県営あづま球場に関して、まだまだ直して欲しいという声を監督や選手からいただいている。ギリギリまでベストに近い形まで直していきたい」などと語った=21日午後、東京国際フォーラム
【避難者の〝直訴〟に沈黙した知事】
内堀知事への抗議行動を終えた避難者たちは、「ふくしま大交流フェスタ2019」とは別会場で開かれた「ふくしま避難者交流会」にも参加。避難者と言葉を交わした内堀知事に改めて「住まいを奪うな」と訴えた。
「避難の協同センター」代表世話人の松本徳子さん(福島県郡山市から神奈川県川崎市への避難を継続中)は、何度も何度も内堀知事に直接、訴えたという。
「国家公務員宿舎に入居している〝自主避難者〟に対して家賃2倍請求などやめてくださいと言いました。
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター