- 2019年12月28日 08:44
政治語らぬ有働由美子はつまらない - 室井 實
我ら中年のアイドル有働由美子の「news zero」(日本テレビ)が、2年目を迎えた。
期待していた爆発的な視聴率もなく、「報道ステーション」(テレビ朝日)には追い付けない。無難にキャスターを続けているとは思うが、各局のニュースショーを見ている者には物足りない。
印象批評すれば、有働はMC(司会者)であって、キャスターではない。他局のキャスターは政治モノでも、それなりに語る。炎上することもあるが、それがメインキャスターだろう。
桜を見る会への発言さける有働アナ
憲政史上最長になったという安倍政権。季節はずれの冷水を浴びせるように、「桜を見る会」疑惑が出てきた。各局とも取り上げているので、有働にも期待した。彼女らしく、ニヤリとするコメントが聞けるだろうか? だが、それは期待外れだった。

Ⅴ(ビデオ)で流れた安倍総理発言の微妙な変化を見ながら、
「なんだかなぁ〜という気がします」と、小栗担当局次長に振る。小栗は「若者が政治への関心を持たなくなりますね」と発言。
有働も張り切って話した。
「(政治家が)憧れの職業になるように、安倍総理にも多くの人が疑問に思っていることを、スッキリと説明して欲しいものです」
同局の朝の番組に引っ掛けて、上手く話したと喝采した。ところが、局の上層部から何か言われたのか、以後は「桜」のⅤは流れるのだが、残念ながら有働のコメントはなく、スルーする事が多い。
高性能シュレッダーが登場した時も、反社会的な勢力と官房長官との写真が出た時も、マルチ商法ジャパンライフ山口元会長の招待状が出た時も、有働はダンマリ。局アナの喋りを聞いているだけ。
閉会直前の参議院本会議。安倍総理に野党が質問。当然、各局とも報道したが、この番組は──、
① 島根の小学生死亡
② 名古屋の小学生イジメ
③ 80歳の逆走事故
…と続いて、「桜」はスポーツ後の⑧番目。女子アナが安倍総理の「山口氏とは個人的関係はない」「復元は不可能」と、弁明を伝えるだけで有働の発言はなし。
翌日、データ保存に言及したが「このまま終わってしまうのでしょうか?」と話しただけ。
それでいてスポーツに話が変わると、イキイキと喋る。関西で育ったため、当然ながら野球は阪神ファン。六甲おろしも歌える。
「取材では行けませんが、こっそりと外野席で見ています」
相撲の時期には炎鵬の大ファンで、勝てば本番中に子どものように騒ぐ。ゴルフも大いに語る。
“御用ジャーナリスト大賞2018"にランクインした過去も
NHK退職直後には、「今後ジャーナリストとして…」と発信。池上彰に、たしなめられた有働。政治問題に発言しないようでは、メッキが剥がれた。
「やはり、安倍政権と近い読売グループの日本テレビ。夜の人気番組のメインキャスターでは、政治的発言は難しいでしょう。天皇陛下即位祝賀式典の司会を務めたことも、これに輪をかけたでしょうね」(放送担当記者)
安倍政権には腫れ物に触るように、忖度しているのだろうか?
そのせいか、ニュースサイト「LITERA」の“御用ジャーナリスト大賞2018”に堂々10位にランクインした。
〈ニュース感覚zeroの忖度体質キャスター、爆誕〉
〈政権の問題に切り込まない、そもそも取り上げないという有働の姿勢は、まさしくいまのメディアを象徴する〉
と書かれた。ちなみに1位は田﨑史郎(政治ジャーナリスト)。
有働が27年間勤めたNHKを電撃退社したのが、18年3月末。マツコ・デラックスや、くりぃむしちゅーの事務所に所属。同年10月改編で栄えある「news zero」のメインキャスターとして、出演したのは記憶に新しい。
〈有働由美子が1日の終わりに伝えるニュース番組。きょう起きた大切なニュースをみなさんと一緒に「じぶんごと」に〉
と番組案内には書いてある。
他人事に対する「じぶんごと」なのだろうが、語感が良くないし解りにくい。
いや「じぶんごと」ならスポーツだけでなく、自分の言葉で語ってもらいたい。政治モノを語らないジャーナリストなど、いない。
室井實(むろいみのる)
フリーライター 1950年、栃木県生まれ。明治大学法学部卒。東京タイムズを経て徳間書店に入社。「アサヒ芸能」報道部、編集事業室室長、「Goods Press」編集長代理、スター・チャンネル広報部長(出向)、徳間に戻りマルチメディア企画開発、部長。ディレク・ティビー取締役宣伝部長(出向)。徳間に戻り執行役員宣伝部長を歴任。徳間書店退職後、東北新社広報室長。2011年に東北新社を退職し現在に至る。
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