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AI(人工知能)は仕事を奪うのか生み出すのか|なくなる仕事・新たな仕事【事例あり】

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巷では、シンギュラリティ2045年問題などが取り上げられ、AI(人工知能)がもたらす未来を不安視する声も上がっています。

その中には、将来の仕事の存在そのものが危ぶまれていると言われることも多々あります。事実、現在でもさまざまなビジネス現場でAIが導入されていて、省力化や人件費削減などの人の労働を代替するような動きも見られてきています。

結論から言うと、AIやロボティクスによって既存の仕事は必ず変化します。すでに単純な事務作業などは機械が自動的に行えるレベルまで到達しています。この流れは今後ますます加速していくでしょう。本稿ではAIによって私たちの仕事がどのように変化していくのかを見ていきます。

今更聞けないシンギュラリティ(技術的特異点)とは?

AIが仕事を奪うとは?なくなる仕事、なくならない仕事

Photo by mohamed mahmoud hassan on Pixabay

AIが将来、人間の仕事を奪うのか」という命題において、オックスフォード大学の論文と野村総合研究所のレポートから具体的に紐解いていきます。どのような仕事がなくなる、残ると言われているのでしょうか。

オックスフォード大学の論文

オックスフォード大学の論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?(外部リンク)」では、将来90%以上の確率で消える職業が紹介されています。

将来なくなる確率が高い職業・なくなる確率が低い職業とは、一体どのような仕事なのでしょうか?論文からいくつかピックアップしました。

なくなる可能性が高い職業なくなる確率
電話勧誘販売99%
保険の査定担当者99%
数理技術者99%
証券会社員98%
弁護士の秘書98%
不動産ブローカー97%
レジ担当者97%
料理人96%
事務員96%

参考:https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

傾向を見ると、主にAIの方が正確かつ素早く処理できる職業が消える可能性が高いとされています。現在でもレジの自動化や調理のロボット化などの機械化の兆候がみえるようになっており、一部の業務においては人間に代わる存在になりつつあります。

なくなる可能性が低い職業なくなる確率
リクレーション療法士0.28%
聴覚訓練士0.33%
社会福祉士0.35%
歯医者0.44%
精神カウンセラー0.48%
人事マネジャー0.55%
コンピュータアナリスト0.65%
教職者0.95%
エンジニア1.40%

参考:https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

一方、対話でのコミュニケーションが必要とされているカウンセラーや社会福祉士、専門性の高いコンピュータアナリストやエンジニアなどの職業は、仕事として残る可能性が高いと論じられています。AI化やロボティクス化が進む中、今後一層需要が高まっていくのかもしれません。

野村総合研究所のレポート

また、野村総合研究所のレポート(外部リンク)でも10〜20年後に日本の労働人口のおよそ49%が就いている職業において、人工知能やロボット等で代替可能との結果が出ています。

代替可能性が高い職業には、主に受付係や医療事務、スーパーの店員などの事務作業が多い一方で、代替可能性が低い職業にはバーテンダーや俳優、アートディレクターなど創造性の高いものが挙げられています。次の表は、代替可能性が高い職業と低い職業を対比したものです。

代替可能性が高い職種:全職種の49%代替可能性が低い職種:全職種の51%
事務員(一般・医療・経理など)・受付係・駅員・機械木工業・管理人(マンション・寮・駐車場)・金属加工業・建設作業員・自動車工(組み立て・塗装)・警備員・新聞配達員・測量士・タクシー運転手・電車運転士・路線バス運転士・配達員(宅配便・郵便・バイク便)・データ入力係・ホテル客室係・メッキ職人・レジ係

…etc
アートディレクター・グラフィックデザイナー・編集者・フリーライター・漫画家・シナリオライター・演奏家・ミュージシャン・料理研究家・フードコーディネーター・アナウンサー・放送ディレクター・報道カメラマン・セラピスト・作業療法士・理学療法士・犬訓練士・映画監督・舞台演出家・舞台美術家・俳優・テレビタレント・音楽教室講師・学芸員・ケアマネージャー・経営コンサルタント・医師・教員・保育士・幼稚園教諭・ネイリスト・美容師・デザイナー・学者・ツアーコンダクター・旅行会社のカウンター係

…etc

参考:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf

人間が担うべき仕事の特徴

Photo by mohamed mahmoud hassan on Public Domain Pictures.net

では、AIやロボットの発展によって、将来的にどのようになっていくと言われるのでしょうか。『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』で著者の松尾豊氏は3つの時間軸で切り分けて述べています。

短期的(5年以内)

短期的にはそれほど急激な変化は起きないだろう。ただし、会計や法律といった業務の中にビッグデータや人工知能が急速に入り込むかもしれない。また、ビッグデータや人工知能はマーケティングにも活用されるだろう。さまざまな事業でビッグデータの分析と人工知能の活用が進んでいくので、データ分析のスキルや人工知能に関する知識は重要になるだろう。広告や画像診断、防犯・監視といった一部の領域では急速に人工知能の適用が進んでいくはずだ。

出典:『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』 p.230より(松尾豊著、KADOKAWA/中経出版)

5年以内の短期的な時間軸だと、人間の仕事に対してそのすべてを担うほどのAIが参入してくることはまだないと考えられています。ただ、一部の事務作業や会計作業等にはAIが入り込む余地はあり、現在のAIのビジネスへの浸透具合をみると現実的な予測です。

中期的(5〜15年)

生産管理やデザインといった部分で、人間の仕事はだいぶ変わってくるはずだ。(中略)

異常検知というタスクは、高次の特徴量を生成できる特徴表現学習の得意とするところであり、「何かおかしい」ことを検知できる人工知能の能力が急速に上がってくる。たとえば、監視員や警備員といった仕事だ。明示的に監視するという仕事でなくとも、店舗の店員や飲食店の従業員でも、「何かおかしいことに気づいて対応する」という業務が仕事の中に織り込まれていることが多い。

こうした仕事は、基本的にセンサー+人工知能代替することができる。例外処理は例外処理で別につくればよくなるので、ルーティンワークの多くの部分は人工知能に任せることができるようになる。

出典:『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』 p.231より(松尾豊著、KADOKAWA/中経出版)

5~15年の短期的な時間軸では、まだルーティンでない仕事、つまりクリエイティブな仕事は人間の仕事として重要だと考えられています。クリエイティビティは人間の特有のものとして生き続ける可能性が高いです。

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