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「“極右”と言われたのが、今は“左翼”と言われる」「支持層のフォロワーになるなら政治家をやる必要はない」“ポスト安倍”を見据える石破茂氏に聞く

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ーーでは、自分が総理になったら、「桜を見る会」はやめるのか。

石破:やめない。「桜を見る会」の本来の目的は、勲章をもらって皇居に呼ばれることはないが、保護司さんや人権擁護委員さんや農業委員さんなど、本当に地域で一隅を照らしている人、一生懸命頑張っている人たちに、内閣総理大臣として“皆さん本当にありがとう”という機会だ。それをなぜやめなければいけないのか。


ーー情報公開や公文書の管理の問題については。

石破氏:私は福田康夫総理に防衛大臣としてお仕えしたが、福田総理の公文書に対する姿勢は徹底していて、公文書管理担当の大臣を置き、公文書管理の法律もお作りになった。国民の税金を使って行政がやることについては、可能な限り納税者に情報が公開されなければいけないのだという、福田総理の使命感や責任感があったと思う。私はそれを間近で見ていて、そういうものなのだ、と思った。「桜を見る会」も、安倍さんが個人的にやっているわけでも、自民党総裁としてやっているわけでもなく、内閣総理大臣として、国民の税金でやっている。だからそのことに対する情報は可能な限り納税者に公開されなければいけない。それは当たり前のことだ。

ーーしかし、そうした声が党内からは聞こえてこないように感じる。

石破:それは我々自民党員の責任だ。期数が上だろうが下だろうが、役職についていようがいまいが、徹底的に議論する。そして決まったらば従うという、それが自民党だ。だから私たちが若い頃は侃々諤々、みんな言いたいことを言っていた。それが言うことを言わせない、あるいは言ったことを完全に無視するようになった時に、自民党はおかしくなる。国会議員を34年やってきて、そうだと思う。政治改革の時もそうだった。小選挙区制には色々な評価があるが、若い議員たちは小選挙区制にすべきだと懸命に主張し、結果として握り潰した。そして宮澤内閣は選挙で負けてしまった。自民党の良さが失われた時、自民党そのものが危機に瀕すると思う。

ーー一方で、野党も支持を集められていない。

石破:小泉内閣や福田内閣、麻生内閣で閣僚をやっている頃の民主党には本当に迫力があった。前原さんや枝野さんのような論客がいて、予算委員会の中で2時間にわたって、1人で徹底して議論をしてきた。ごまかそうと思ってもごまかせない真剣勝負だった。閣僚席に座っていて、時計を見ながら“なんで時間ってこんなに遅く流れるんだろう”と思ったことをよく覚えている。だが今、野党の質問を見ていると、例えば5人で30分ずつ出てくる。そして“もっと追及したいんですけど、時間がありませんので次の質問に移ります”なと言われてしまう。ちっとも怖くない。なぜこんなことになってしまったのだろうと思う。

■「日本の価値観を根底から変える」


ーー小泉進次郎環境相についてはどう見ているのか。もし総裁選に立ったとしたら?

石破:彼は私が幹事長の時の青年局長、私が大臣の時の政務官だ。野党時代、そしてまた政権を奪還した後も、一緒に仕事をしてきた。本当に日本のために、大事に使っていかなければいけない人だと思う。彼が総裁選に出るという状況は非常に考えにくいし、私と小泉さんの国家観と自民党観が、そんなにズレているとも思わない。憲法や安全保障について徹底的に議論したことがあるわけではないので、そこが違うのであれば、どんなに親しくても対立せざるを得ない。当然、日本のために対決することはあるだろう。

ーーでは、総裁選に出馬するとしたら、何を旗印にするのか。

石破:日本の価値観を根底から変えることだ。江戸時代は「天下泰平」、とにかく安定が価値観だった。ところが黒船が来て、このままでは西洋列強の植民地になってしまうぞということで、安定から強さ、「富国強兵」になっていく。それが太平洋戦争の敗戦で徹底的に打ち砕かれ、今度は豊かさ、「高度経済成長」になる。今、それらに代わる価値観を見つけていかないと、この国はいかんのではないだろうか。

とうとう赤ちゃんの出生数が90万人を切った。予想よりも早かった。首都一極集中、つまり男女が最も結婚する東京で赤ちゃんが最も生まれない。ドイツではベルリン一極集中か、イタリアはローマ一極集中か、フランスはパリ一極集中か。違う。地方が豊かで活気がある。だからヨーロッパの国は人口が減らない。21世紀は世界の人口が2倍になるのに、これからの80年で日本の人口は半分になる。国の作り方、国家のあり方を根底から変えないとこの国は持たない。

それにはやはり多様性だ。東京に行って成功することが価値観で、同じものを安く、たくさん、大勢の人に作るというモデルだった。本当は農業も漁業も林業も、ものすごい力があるのに、それを最大限に生かし、伸ばしてこなかったのではないか。

ーー安倍政権も少子高齢化や一極集中を避けようと旗を振ってきてはいる。しかし、地方創生も含めて、うまくいっていない。

石破:このままいったら国がなくなるよ、という切迫感、危機感だと思う。自民党は一極集中を打破しようよというのは昔から言ってきた。田中角栄総理の時にも「列島改造」があった。しかし、現状を打破しないとこの国がなくなっちゃうよという危機感は、高校生だった私にはあまり感じられなかった。大平総理の時に田園都市構想、竹下総理の時にふるさと創生があったが、これらが失敗したら国がなくなるというほどの危機感はなかったと思う。しかし、今は局面が違いますよという、その危機感をもっと強く打ち出さないといかんと思っている。


ーー豊かな暮らしの割には、将来を不安視している子どもは多い気がする。結婚したり、子どもを産んだりということに対する不安が勝ってしまう。

石破:経済が伸びて人口が増えている時は、辛いこと、嫌なことを先送りしてもなんとかなった。人口の増加と経済成長がそれを予定調和的になんとかしてくれた。だが、人口がものすごく減る時代、そして経済がそんなに伸びない時代は、先送りすればするほど、次の時代にかかる負担はどんどん重くなってくる。それを政治家が言わないでどうするのか。

ーー一方で、自民党の支持層は、“また儲けさせてよ。またバブル呼び起こしてよ”という人が多い気がする。そういう支持層の気持ちも変えていくということか。

石破:次を見せないと、政治家なんかやっちゃいかん。単なる支持層のフォロワーになるなら、政治家をやる必要はない。それは世論調査機関がやればいい。有権者の方々は毎日忙しい。我々は政治をやっているのだから、色んな情報を知っている。それを国民にきちんと開示するのが、我々の責任ではないか。“有権者がこう思っているから、それに従いますよ。皆さん方が思うような社会を作りますよ”というのは、この時代の政治家としてやってはいけないと思う。

ーー若い世代の政治参加については。

石破:若い人が投票に行くだけで日本は変わる。入れたい人がいない、入れたい党がないとも言われる。だったら行って白票を入れればいい。だからそう簡単にはできないが、投票は義務化すべきだと思っている。この国をどうするかということに対して意思を表示できない人は、本当に主権者だろうか。この国の将来に責任を持ちませんというのは、私は国民として言うべきだとは思わない。その意味で投票は国民の権利だが、義務でもあると思う。そして投票する時に、自分が総理大臣だったらどうするかということを考えるのが主権者だ。民主主義というのはそれほど厳しいものだ。

ーー2020年はどのような1年にするのか。

石破:国は変えられるという意識を国民ひとりひとりに持ってもらう年にしたい。“どうせ変わらない”“私が行ったって変わらない”。それは民主主義の破壊だ。平成の30年というのは、ひょっとしたら民主主義がものすごく変質した時代かもしれない。金利がつかないということで、間違いなく消費者が変質した時代だ。だが、今ならば取り返せる。国は変えられるんだという、そういう思いを主権者に持ってもらう。そういう1年にしたい。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

▶映像:石破茂議員が生出演「左翼と呼ばれる」

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