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「ヤクザ続けたくない」令和の暴力団組員の本音

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ヤクザから見た安倍首相は「覇気がない」

「線が弱い。覇気がない。あの迫力では相手を打ち負かせない」

これは週刊ポスト(1/3・10号)に掲載された「ヤクザ世論調査 現役組員100人に聞きました」にある安倍首相の評価だ。なるほど当たっている。

ヤクザというのは政治が好きらしい。ヤクザになっていなければ政治家になっていたと公言する親分たちが多いそうだ。


4 刑務所を出所した指定暴力団山口組ナンバー2の高山清司若頭(中央)=2019年10月18日、東京都港区のJR品川駅 - 写真=時事通信フォト

ハマコー(浜田幸一・故人)なんかは、ヤクザが政治家になったといわれても、そうだろうなと思うしかなかったが、そんな政治通のヤクザたちは安倍首相を評価していないというのである。

東京オリンピックに関しては賛成が多いそうだ。なぜなら、前の東京オリンピック(1964年)では建設現場に作業員を派遣したりして、えらく儲けたそうだから。

山口組の分裂抗争については、回答無し、そう簡単には収まらないという見方が多いようだ。

「自分たちの組の上の人間からまったく説明がない。何があったか知りたければ週刊誌を読むしかない。今はネットで即時に情報が流れるが、その分ガセが多い」(関西独立組織幹部)

「これからも続けたいか」という質問に対しては…

では景気についてはどうか。“悪い”が80%を超えている。意外なのは、かなりの人間が民間の生命保険に加入しているそうである。だが、妻が亡くなっても、暴力団という反社会勢力が受取人では払えないといわれ、今まで払った保険料だけ返金してきたところもあったという。

以前は健康保険証を持っていないヤクザもいたが、今は他人名義を使用すると詐欺罪になるから、国民保険には全員が加入しているという。

国民年金を約1割が支払っていて、以前払っていたというのを加えると、3割近くになるという。“今は年金保険料は払っていない”が約7割。

なぜなら、暴排条例でヤクザは表の仕事ができないことになっているし、銀行口座も持てない。表向きヤクザは無職でなければならないから、無職で無収入。したがって住民税も健康保険料も最低クラス。年金は申請すれば免除になるが、支給されるかどうか。

だが、厚労省年金局事業管理課によれば、基準を満たしていれば年金は支給されるそうだ。払われると、郵便局なら直接受け取れる。

ヤクザをこれからも続けたいというのは少数で、“いいえ”が圧倒的。

令和になってもヤクザは生き残るか? 違法ドラッグや売春がなくならない限り、ヤクザは残る。その通りだろう。

死者29人、560人が逮捕された史上最悪の「山一戦争」

話は変わるが、現役時代に私が取材したヤクザの話をしよう。

ヤクザは三日やったらやめられない。

そう思ったのは、私が現役の月刊誌の編集者だったとき、「山一戦争」を取材しに一和会の某組長の家に行ったときだった。

「山一戦争」とは、1984年8月から1989年3月にかけて、山口組と一和会が血で血を洗う抗争を繰り広げた事件をいう。

300件以上の抗争があり、山口組側に死者10人、負傷者17人、一和会側は死者19人、負傷者49人が出た。抗争に巻き込まれて警察官、市民4人が負傷し、逮捕者は560人にもなった史上最悪の抗争事件である。

きっかけは、山口組四代目組長に竹中正久若頭が就任したことだった。これに反対する山本広組長代行らが竹中の就任挨拶に出席せず、反竹中派が山菱の代紋を組事務所から外し、「一和会」を結成したのである。

8月に山口組系組長が、一和会の若頭補佐を刺殺して抗争の火蓋が切られた。

そして、1985年1月26日、竹中正久組長(当時51歳)が、大阪・吹田市内のマンションで一和会組員にピストルで撃たれ、翌日、意識を回復しないまま死亡したのである。

MSN産経ニュースWest(2011年10月11日付)「【関西事件史】山口組4代目組長射殺事件(上)病院に組員ら300人」で、打たれた直後の竹中組長の様子をこう書いている。

「胸や腹に銃弾を受け、瀕死(ひんし)の重傷を負った竹中組長は、自力で自分のベンツに乗り込み、配下の組員の運転で大阪市南区(現中央区)内の南組事務所に向かっていた。そこから救急車を呼び大阪警察病院に搬送されたのだった」

山口組は舎弟頭を組長代行にし、後に五代目に就任する渡辺芳則山健組組長を若頭補佐にして、報復を開始するのである。

一和会系組長にアポを入れ、豪邸へ入った

当時、実話系週刊誌が毎週、この抗争事件を報じていたが、現代や文春などは読者層も違うとして、あまり熱心にやっていなかった。

だが、山口組組長が殺されたとなると、がぜん、読者の関心も高まり、その筋に詳しいライターたちに依頼して取材合戦が熾烈になっていた。

私のいた月刊誌でもやろうということになり、私とトルコ風呂(今のソープランド)に詳しく、そこからヤクザにコネのある記者と2人で一和会系の組長にアポを入れ、取材に向かった。

組長の豪邸の周りを多くの警察官が取り囲んでいた。身分証の提示を求められたが、「取材だ」というと通してくれた。

大きな門をくぐると、若いヤクザたちに取り囲まれ、「何しに来た? どこの者だ?」と、口々に誰何(すいか)される。月刊誌の名前を告げても、「しらねぇな、そんな雑誌」とニベもない。

後でヤクザの一人から聞いたのだが、彼らは現代や文春などは読んだことがないという。愛読書は実話や大衆で、ここから情報を得る。一般人の現代や文春のようなもので、一番クオリティーが高いのがアサヒ芸能だそうだ。さしずめヤクザ界の中央公論といったところか。

アサ芸に自分の名前が載ると切り抜いておいて、みんなに自慢そうに見せて回るそうである。

一斗樽にふぐ刺し、呼べば燗酒が出てくる

ようやく通された大広間には、組長が床の間を背に座り、その周りに子分衆、といっても幹部たちだろうが、ズラリと座って、まるでヤクザ映画の1シーンのようだった。

組長の横には一斗樽がいくつも並べられ、膳にはふぐの刺身が人数分置かれていた。組長曰く、警察がうるさくてゴルフにも行けない。外へも出られないから、知り合いが酒やコメ、名産品を山ほど送ってくれるので、こうやって毎日、宴会をやっているというのである。

その口調にも、態度にも、抗争の渦中にいるという緊張感は感じられなかった。あまりのなさに、これで山口組と闘えるのかと心配になったほどだった。

そんなとき、先のような感想を持ったのだ。兄貴がタバコを取り出すと、若いのが飛んできて火をつけてくれる。「酒」といえば、すぐに燗酒が出る。まるで大学のスポーツ部のように、きびきびしていて動きに無駄がない。

チンピラのうちは辛いだろうが、ある程度の役職が付けば、ヤクザって居心地はいいのだろうなと思わせた。

だが私には、命じられるまま鉄砲玉になって、敵を殺す度胸はない。

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