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小5男子の体力が過去最低に 運動不足で“動く子・動かない子”の二極化顕著に



 「小中学生男女、ともに体力合計点が昨年度より低下しており、特に小学生男子は、平成20年度の調査開始以来、過去最低の数値となった」。スポーツ庁が全国の中学2年生と小学5年生を対象に実施した体力・運動能力調査の結果、全体的に体力が低下傾向にあることがわかった。特に小学生男子は過去最低の数値となっており、ソウル五輪で金メダルを獲得した鈴木大地スポーツ庁長官は「私としても今回の調査結果を重く受け止めている」と語った。

 原因について鈴木長官は「授業以外の運動時間の減少、スクリーンタイムの増加、肥満の児童生徒の増加であると考えている」と説明、テレビやスマートフォン、ゲーム機などによる映像視聴時間の増加が背景にあると分析。「子どもたちには幼児期から日常的に遊びや運動を楽しんでもらいたい」と呼びかけた。



 3大会連続でオリンピックに出場、陸上男子400mの日本記録保持者を持つ高野進・東海大学体育学部教授は、後進の指導にあたる傍ら、NPO法人「日本ランニング振興機構」の理事長も勤め、全国で子どもたちに走る楽しさを伝えてきた。

 そんな高野氏は「全国の小学校を回ってアンケートを取ると、2~3割が走るのが嫌いと回答する。しかし、“速く走りたいか?”という質問には、99%の子が“はい”と回答する。さらに、“いつから嫌いになったか?”と聞くと、大体2、3年生から。だから僕はいつも“かけっこの神様がいて、それは段々いなくなっちゃうんだよ”と話すようにしている。“いつまでもいてもらうためには興味を持って、楽しいと思っていないといけない”と。実は小学生の日本チャンピオンになった子がそのまま日本記録を出し続けるかというと、そうではない。

むしろその逆で、小学校時代は普通に遊んでいた子たちが中学、そして高校で目覚めるというケースが多い。やはり小学校の間にベースができるので、そのあいだに外に出て運動しないと、その後の人生に影響が出てくる」と話す。

 「スポーツ協会では1日の中で概ね1時間くらいは外で運動しましょう、体育の時間、休み時間を含めて1時間程度は日を浴びて外で運動しましょうという提案はしているが、時間・空間・仲間という3つの場がない。そんな中で、むしろ都心部の家庭の方が積極的にスポーツ教室に通わせる傾向もある。あるいは福岡のある小学校では裸足で校庭を走ることを毎朝、数十年続けているが、その小学校の学力テスト、体力テストは上の方だ。地域や小学校によってすごく差があり、二極化していると感じる。そこで、体育ではない運動の時間を義務教育の中に設けてほしい。たとえば1時限目の授業が始まる前に“0時限授業”として、30~40分くらい時間をとって、そこで自由に運動や遊びをしてもらう。これは成績とは関係なく、評価もしない。そして先生の負担も考え、専門的な指導ができる、健康運動や楽しい運動が指導できる専門家を積極的に採用するのはどうか」。



 K-1 WORLD GP スーパー・フェザー級王者の武尊も、「僕も身体能力は高くなかったし、体力テストの結果は普通だった。小学校低学年から空手を始めて試合にも出ていたが、中学校くらいまで、ほとんど勝ったことはなかった。それでも小さい頃から野球もやったし、高飛び込みもやった。友達と遊ぶのもアスレチックに行って、SASUKEセットを作ったり。そういうことをしていたからこそ、身体能力が高くなったと思う」と明かす。



 名古屋大学大学院の内田良准教授は「今回の調査が体力の全てを測れているわけではないが、実は体力は80年代から落ちていて、2000年代に底をついて上がってきたところが、今回再び減ったということだ。高野さんが仰ったように、二極化が大きなポイントだと思う。全くスポーツをしていない子と、部活などをやっている子との差をどうするかを考えないといけない」と指摘。

「学校は安心安全なはずだったが、色んなリスクも背負っている、そしてこの2、3年で見えてきたのは、先生達もかなりしんどい状況にあるということ。スポーツ指導のあり方も、とにかく皆で大会に出て1位を目指すということで、かなり根性論的な部分もあった。スポーツという言葉の本来の意味は、“気晴らし”だ。“運動をしない”と、日本の、特に部活の文化の“一生懸命”の間にある、“楽しむ”というあり方が必要だ。そうすれば子どもも先生も気持ちを楽に、安全にやれると思う」と提言した。



 お笑い芸人のパックンは「ピアノ教室に通えば確かに上手にはなるが、教室に通わない人は誰もピアノを弾かないというのは違うと思う。英語も授業だけでやるから上達しない。普段からやれよと思う。“スポーツ嫌い”という人はいっぱいいるが、ちょっと体を動かしてみて“気持ちが悪い”という人はほとんどいないと思う。だから運動も普段からライフスタイルの中にあるものにしてほしい。教室に習いに行く人だけがスポーツをやる、あるいは体育の授業だけで運動するという概念を変えたい」と話していた。

 ただ、視聴者からは「スポーツ庁長官、学校の体育の先生とか、体育教育を担ってる人は、大体みんな子供の頃から運動が大好きなスポーツマン。だから運動が苦手で競うことも嫌いっていうインドア派のおとなしい子どもの気持ちや本音なんか分かりっこない」との厳しい意見も寄せられた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:武尊は身体能力低かった!?小学生の運動

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