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自給率で問題なのは食料ではなくエネルギー

不思議に思うことがあります。食料自給率問題とくらべてエネルギー自給率問題についてはあまり取り上げられないからです。

直近では食料自給率が40%をわずかに切ったようですが、エネルギー自給率はいくらぐらいだと思われますか。2008年でわずか3.9%です。ウランは海外から購入していますが、原子力発電を準国産として含めても16.7%しかありません。
エネルギー白書2010 - 第2部 第1章 第1節 エネルギー需給の概要 :

どちらが日本の安全保障上を考えると重要でしょうか。

エネルギー自給率のほうだという理由があります。

食料自給率は生産ベースではほぼ70%です。ほとんどが国内生産でまかなわれています。わざと低いカロリーベースで食料自給率問題を喧伝したのは、ふたつの理由が考えられます。農水省が予算と仕事を増やそうとしたことと、政治家で口にした人は、農村票を獲得したいためにそれに乗ったからでかなり悪質だと感じます。その問題に関しては与野党ともに同罪です。食料自給率問題は飼料問題、穀物問題にすぎません。

さて途上国なりの需要がさらに伸びた、あるいは資源国、あるいは輸送路が戦争などのなんらかの理由でふたつが同時に輸入困難、あるいは価格の暴騰が起こったとします。

どうなるでしょうか。

食料問題はおそらくにそう時間をかけずに解決すると思います。なぜならカロリーベースで食料自給率を低くしているのは鶏、豚、牛などの飼料などの輸入穀物なので、休耕田を活用してつくれば解決の方向に向かいます。

エネルギー資源はそうはいきません。輸入が止まれば電気も止まります。車も動かせません。工場もオフィスもすべてが機能停止し、暮らしも産業も壊滅的な打撃を受けます。

エネルギー政策は、資源を持たない日本にとっては死活を分ける重要問題です。いまはお金をだせば海外から資源を買うことができますが、いつまでもそうだとは限らないからです。太陽光発電もいまはシリコンを使っていますが、こちらも隠れた資源問題を抱えています。

残念ながら、それだけ重要な問題にもかかわらず、なにか浮ついていると感じる動きが気になります。全国の知事さんがメガソーラ構想に乗っていますが、ほんとうにメガソーラが日本を救うとまともに考えているとは思えません。

まだまだ議論すべき問題は多いのです。脱化石燃料としてのバイオマスにしても、日本よりはるかにエネルギー自給率の高い米国のほうが研究開発が進んでいるというのも不思議なことです。日本は中途半端で、バイオマス関連施設の約7割が赤字で、産業として育っていないのです。

福島第一原発事故は日本に思わぬ難しいパズルをつきつけました。原発が再稼働せず、LNG発電でそれを埋めるにしても、このままではさらにエネルギー自給率を下げることになります。

いずれにしても、しばらくは結論を急がずに、国民的な議論を高めることが必要だと感じます。しっかりとした議論の場をつくることを政府としては行なうことが必要だと思います。

誰がそんな流れをつくることができるのでしょうか。

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