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玉木さん、政権奪取したいなら共産党と組むのは致命的な戦略ミスです〜ゲーム理論で理論的な説明を試みる

21日付けの共産党機関紙『しんぶん赤旗』の記事に驚きました。

立憲主義、格差是正、多様性――政権交代での協力を合意
共産・志位委員長、国民・玉木代表と会談
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-12-21/2019122101_01_1.html

日本共産党の志位和夫委員長と国民民主党の玉木雄一郎代表が党首会談を行い、安倍政治を転換するため、(1)憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する(2)格差をただし、家計・くらし応援第一の政治に切り替える(3)多様性を尊重し、個人の尊厳を大切にする政治を築く――の3点の方向で、政権交代を図るために協力することで合意したというのです。

さらになんと今回の会談は玉木氏の呼びかけで行われたものなのだそうです。

共産党と協力合意ですか。玉木さん、そっちに行ってはダメでしょう。

ここへ来て日本の野党の左旋回が止まりません。

もし日本の野党が本気で自民党を打倒して政権をダッシュしたいのならば、戦略的にはただひとつです。

自民党政権を支える穏健保守票の奪取です。

現在の我が国の政党はこの11政党です。

■表1:我が国の政党一覧(2019年12月現在)

政党名|*国会議席数|

自由民主党 397
立憲民主党 91
国民民主党 60
公明党 57
日本維新の会 27
日本共産党 25
社会民主党 4
NHKから国民を守る党 2
れいわ新選組 2
希望の党 2
沖縄社会大衆党 1
無所属 41

※『木走日記』作成

イデオロギー的に左右の立ち位置を確認いたしましょう。

2議席以下の小党は割愛して7党の政策ポジションは、例えば憲法会見論議で言えばこんな感じ。

■図1:主要政党の憲法改正に対する立ち位置

※『木走日記』作成

中よりの3党のポジションは少し迷いましたが、立憲民主はもう少し右寄りかもとも考えましたが、最近の党代表の改憲消極的発言でこの辺にまで左にシフトしました、まあ、当ブログの私見ではあります。

さて、国民民主はこの中よりの立ち位置から一気に最左翼の共産党にまで手をつなごうとしているわけです。

完全な戦略ミスです。

この国で野党が打倒自民を目指し政権を奪回しようとするならば、野党第一党は「保守回帰」すべきであり、間違っても共産党についてはダメだと、当ブログは考えます。

当ブログが野党の立場ならば、自民党に対抗するには、政権を奪取するためには、共産党と協力するのとは真逆のベクトルを取ります。

ズバリ、『保守回帰』であります。

今の選挙制度のもとでは、野党が自民党に代わり政権奪取するためには、唯一の戦略であります。

野党の『保守回帰』こそが政権奪取の唯一の戦略であること、その理由は、2大政党制を目指しこの国に小選挙区制を導入されたことを今一度よく考えて見れば自明なのであります。

限られた小さな選挙地区を2大政党で議席を競うとすると、選挙に勝つためには両党の主張は競うように中庸(ちゅうよう)に寄り合うことになるからです。
 
ゲーム理論で理論的な説明を試みます。

ゲーム理論を思いついた人はハンガリー出身の数学者で近代コンピュータの父祖とも言われるジョン・フォン・ノイマンであります。

それを発展させたのは、アメリカ出身の数学者ジョン・F・ナッシュでありました。

ビーチのアイスクリーム屋の話です、少しの間お付き合いください。

ある浜辺で商品も価格も同じアイスクリームを売ろうとしているAとBがいて、いま浜辺のどこに店を構えれば一番売り上げが伸びるかを考えています。

浜辺は直線で客は均等に存在しています、夏の炎天下の浜辺のことです、客はもっとも近い場所にあるアイスクリーム屋から買うことが想定されます。

さてA,Bはお店をどこに立地すれば相手より売り上げを上げることができるか思案します。

結論から言うとA,Bともに浜辺の中央、ど真ん中に並ぶように店を構えることになります。

最初Aは浜辺の左側4分の1ほどの位置に、逆にBは浜辺の右側4分の1ほどの位置に店を構えたとしましょう。


この状態では、浜辺の左半分にいる客たちはAの店に、右半分にいる客たちはBの店にいくことでしょう、客は均等に存在していますから売り上げも均等、AとBの店は仲良く棲み分けられます。

しかし、どちらか少し賢ければどうでしょう、必ず店を中央よりに移し始めるはずです。

たとえばBの店が中央に移り、Aの店が左4分の1の場所のままだったら、Bの店が浜辺の8分の5の客にとって最寄の店となり売り上げを伸ばすことでしょう。


こうしてこの条件では、A,B両方の店は浜辺の真ん中中央に並ぶようにくっついて店を立地することになります。


売り上げを重視しライバルに負けないためのこれしかない戦略です。

これがこのゲームにおける均衡点なのです、このような均衡点をナッシュ均衡と呼びます。

それぞれ左右のイデオロギーを有する2つの政党が、閉じた地域で1議席を争う場合、ライバルより1人でも多くの有権者を引き付けるために、最初は左右に分かれていたその主張が中庸(ちゅうよう)にシフトしていく、戦略上浜辺のど真ん中に店が並ぶように、ゲーム理論によれば議席獲得のために2つの政党は小選挙区制では似たような中庸の政策を掲げざるを得なくなるわけです。

議席獲得のためには最も多くの支持を得られる政策を取らざるを得ないわけで、2大政党の政策は似たもの同士にならざるを得ないのです。

さて現状ですが、護憲派リベラルの論客諸氏は自民党安倍政権を「極右」との現状評価をしていますが、この現状認識こそが根本的に誤りなのです。

自民党安倍政権の政策は、欧米の極右政党の主張と比べれば極めて「リベラル」なのであり、今回の安保法制にしても大きな「自衛権」のくくりの中での法制化にすぎません。

安倍政権は安全保障政策で支持を得ているわけではなく、「アベノミクス」などの経済政策などが中心に支持を集めているわけです、その何よりの証拠として安保法案が国会で可決されても政権の支持率は大きく落ち込むことはありませんでした。

日本に極右政党など存在しないのです、すなわち安倍政権は保守の範疇の中でも政策的には極めてリベラルよりであると言えるのです。

つまり、現状は保守自民党が多くの支持を得ている状況なのです。

浜辺でいえばこの感じです。


この状況を野党が挽回するには、自民党と見紛うばかりの政策の『保守回帰』しかありません。


自民党政権が最も恐れているのは、自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党の存在です。

これは机上の空論ではありません。

例えば大阪です。

大阪では賛否はありますが「都構想」などの現実的改革を唱える維新の伸長が著しいわけです。

維新のその主張は自民党のそれとかなり親和性を有しているのはご承知のとおりです。

自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党が登場した結果、大阪府議会、大阪市議会における政党別議席数の構成は劇的な変化を遂げました。

このとき維新は共産党に依らず独自の力で自民党を打倒し第一党の地位を勝ち取りました。

この国の選挙で「ヤマ」が動くとき、それは自民党を緩やかに支持している多数派である「穏健保守層」が投票行動を変化させるときなのです。

この国には自由民主党という保守政党があります。

その自民党支持層の中の多数派であろう穏健保守層の何割かの支持を獲得できれば、大阪のように、大きく「山」は動きます。

かつて民主党政権が誕生した理由も、別に共産党などとの共闘などありませんでした、そうではなく自民党政権の経済政策の行き詰まりを主な理由に、穏健保守層の何割かが自民から民主に支持を変えたことが最大の理由です。

繰り返しますが、自民党政権が最も恐れているのは、自民党と見紛うばかりの現実主義で対抗する責任野党の存在なのです。

玉木さん共産党と組むのは致命的な戦略ミスです、残念です。

(木走まさみず)

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