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産経新聞【正論】18歳の意識の低さをどう見るか

 「自分で国や社会を変えられると思う」と答えた日本の若者は5人に1人(18.3%)、国の将来が「良くなる」は10人に1人(9.6%)―。日本財団が先に「国」や「社会」をテーマに、欧米3カ国(米国、英国、ドイツ)とアジア6カ国(中国、インド、インドネシア、ベトナム、韓国、日本)の17~19歳、各1000人を対象に行った「18歳意識調査」の結果である。

 ≪「将来が良くなる」は9.6%≫

 内閣府が昨年末、欧米など6カ国と日本を比較した7カ国調査でも政治やボランティア活動、社会問題の解決に関心が低い日本の若者像が浮き彫りにされており、ある程度、予想された結果とはいえ、あまりの数字の低さに驚きの声も上がっている。ただし、筆者は悲観する必要はないと考える。

 確かに「自分を大人だと思う」「自分は責任がある社会の一員だと思う」「社会課題について家族や友人などと積極的に議論している」に対する日本の若者の回答は、それぞれ29.1%、44.8%、27.2%と他の8カ国の平均より42~47%も低い。国の将来に関しても「悪くなる」が37.9%、「どうなるか分からない」の32%を加えると、70%が将来に不安を抱き、「国の役に立ちたいとは思わない」だけが14.2%と9カ国のトップとなっている。

 東京都内で11月29日から3日間、開催された日本財団のフォーラムで結果が紹介されると、会場からは驚きの声が上がった。69.6%が国の将来を「良くなる」と答えたベトナムの女子留学生は「わが国は貧しく15歳になると皆が働き始める。18歳にもなれば、国や社会から何を期待されているか誰もが自覚している」と豊かで自由な日本の18歳の姿に疑問を投げ掛けた。

 ≪杞憂(きゆう)だけでは何も始まらない≫

 「最近の若者は社会との接点が希薄で世の中を知らない」「〝大人が認めてくれない〟と決め付け、積極的に動こうとしない」「国の将来に向け、何をしたらいいのか分からない若者が増えている」といった指摘もあった。だからといって日本の若者の現状を杞憂(きゆう)するだけでは何も始まらない。経済発展が急速に進む中国やインド、インドネシア、ベトナムの若者が国の将来に向け高い貢献意欲を持つのは、ある意味、当然の姿である。

 これに対し日本は、世界が経験したことのない速度で少子高齢化が進み、国の借金も地方分を合わせGDP(国内総生産)2倍の1000兆円にも上り、どうすべきかいまだに「解」は見えない。難題山積の現状に、若者が将来に明るい展望を持てないのは、仕方ない話でもあるのだ。EU(欧州連合)からの離脱で揺れる英国の若者の43.4%が「悪くなる」と答えているのも同じ理由だ。

 加えて、国の根幹である外交や安全保障よりスキャンダルなど内政課題が優先されがちな国会や、「日の丸君が代問題」などで祖国への誇りが育ちにくい教育の現状が、若者の「国の在り方」を考える妨げにもなっている。知識優先の教育で若者の想像力や判断力が育ちにくい面もある。逆に言えば、こうした政治や教育の現状を改善すれば、国や社会の将来に対する日本の若者の関心が高まる余地は十分にある。現に9カ国中最下位といえ、44.8%は「自分は責任がある社会の一員だと思う」、60.1%は「将来の夢を持っている」、46.4%は「自分の国に解決したい社会課題がある」と答え、受け皿は十分にある。

 解決したい社会課題の1、2位に「貧困をなくす」「政治を良くする」が並び、「どのようにして国の役に立ちたいか」でも「きちんと働き納税する」「学業に励み立派な社会人となる」「ボランティアをする」が上位に並んでいる。過去に実施した国の借金に対する調査でも、70%以上が「不安」と訴える一方で、「借金を増やしてきた世代で負担すべき」とする声の2倍を超す若者が「国民全体で負うべき」と答え、「自分たちで負うべき」とする回答も5%に上った。若者としての覚悟と責任感の表れと理解する。

 ≪大人世代は環境整備する責任≫

 2014年に史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受けたパキスタンの人権活動家マララ・ユスフザイさんや今年9月、米ニューヨークで開催された気候行動サミットで世界の若者に温暖化防止に向けた行動を呼び掛けたスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさんを見ると、グローバル化が進む国際社会で今後、若者の声が一段と重みを増す予感がする。豊かな可能性を持つ若い人材は、わが国にもたくさんいる。大人世代には、政治や教育改革など彼らが育つ環境を整備する責任がある。

 18歳意識調査は改正公職選挙法で新たに有権者となった18、19歳の意識を探るため、対象を17~19歳に特化して18年9月からスタートし、今回の9カ国調査で20回目を迎えた。次代を担う若者の意見を今後の社会づくりに反映させるためにも、さらに信頼の高い調査に育てる必要性を痛感している。
(ささかわ ようへい)

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