- 2019年12月26日 10:25
退化するわたくし
さて、年末になって振り返ると、今年はアマゾンのプライム会員になったのが、なにかと個人的に影響を与えた気がする。
なった理由はお急ぎ便とかではなくて、nasneの動作が怪しくなってきたので録画運用が面倒になり、サブスクリプションのコンテンツオンデマンドを試したかったからだ。
なのだが、なんだか最近感じるのが個人的な退化だ。
いや導入当初は良かったよ。余計な管理に気を使わずに、映画だろうが音楽だろうが、firestickTVから呼び出して大画面テレビで観られるから。スマホにアルバムをダウンロードして音楽プレイヤーとして使えるしさ。
でもそのうち、なんかこう居心地の悪さを感じ始めたわけよ。
アマゾンプライム会員のサブスクは、通販で稼ぎたいアマゾン側が餌として差し出す、言ってみれば「おまけ」みたいなもの。いやつまり、他社の本気サブスクに比べると、品揃えで劣る。
たとえば思い立って久しぶりに映画「saw」を観ようかと検索すると、2から最新作まではプライム対象なんで自由に観られるけど、観たかった1は有料で追加コストが必要とかさ。ランボー観ようかと思うと同じく1だけ有料で、とかさ。スティング観たいけど有料とか。
いや別に金払って観ればいいだけの話なんだけどさ、「片や無料、片や追加コスト」となると、ついつい「無料の奴を探せばいいか」となる。
そんなことを繰り返してるうちに、私のコンテンツ消費は映画にしろ音楽にしろ「アマゾン様が追加コストなしでご提供くださるもの」にガンガン偏っていったわけよ。
これがなあ……。なんていうか、個人の趣味領域すら、無味乾燥の巨大企業に絡め取られてる感が凄くて。振り返ればガキの頃、ロックは私の命の必需品だった(あと落語と)。あれがなかったら精神の安定を保てたか疑問だ。命のために切実に必要としていたから、金なんかなくても、優先して突っ込んでいた。
それくらい真剣に向き合ってきたものなのに、今では100円単位でケチって諦めてるんだからな。
「退化するわたくし」というものを強く感じてしまって、ちょっとブルーだ。いやこれ別にアマゾンが悪いわけではない。そうではなくて、「もう音楽をその程度しか必要としてない」鈍磨した自分に気づいて、なんかげんなりしてるわけさ。
- tokyo editor
- 出版社の編集者。出版業界の実態について執筆している。